8 : 私の決意(side:アオイ)
ランクCが1体とランクEが2体の討伐を終えて私は支部に戻る。
マリナはそのまま直帰させており、私ひとりで会議室の中に入る。
「マリナちゃんはどうだった?」
会議室に入ると直ぐにリコから尋ねられる。
扉を閉めて、鍵をかける。
「私が行った時には終わってたし、楽勝だったんじゃないかしら?記録はある?」
無言でリコが1枚の紙を渡してくる。
………炎魔法で1発ね
「……………それでね、アオイとの模擬戦の結果と今回の討伐結果からCランクに昇格が妥当だと判断されてるけど…アオイはどう思う?」
「はぁ!? あの子にCランクは早すぎる!Dランクにしてもっと経験積ませるべきよ!」
「私もそう思うんだけどねー…上からの指示でもあるの……」
「あのクソ狸…………!!!」
中四国支部の支部長であるリコの上司とは、魔法局人事部の部長であるゴウリキとなる。
ぶくぶくに太ったクソ狸であるゴウリキは自分の評価のことしか考えていない。
ランクが高い者が多い方が人事として評価されるから覚醒をしたマリナのランクを早く上げたいのだろう。
特に2段階上がることは稀で、評価も高くなるからCランクなのだろう。
覚醒をした事、模擬戦の内容、今回の魔物の討伐状況。
Cランクの基準としてはギリギリ満たしていないと私は思う。
模擬戦のこともリコの事だから、かなり誤魔化して報告してるはずだし、ただ魔法を確認しただけなのにCランク相当とされているのはおかしい。
嫌なことに、あいつは元Sランクとして活躍してたから上層部に味方が多い。
そのため、ある程度は自分の好きなように采配できる力を持っており、下手な反論が出来ない。
リコも反論したらどこに飛ばされるか…下手したら辞めさせられるかもしれない。
そして空いた枠には自分の駒を置くはず。
どうしようも無さそうね……
大きくため息をつく。
「少しは落ち着いた?」
「うん………リコも大変ね」
乾いた笑顔で返される。
「Cランクにするのは分かったけど、あの子は私が組むからね」
「それでお願いねー…じゃあCランクにするってアレに言っておくからマリナちゃんにも伝えておいて」
「リコも頑張ってね」
リコは少し驚いた顔をしながらもそのまま部屋から出ていく。
なんとなくだけど、リコの雰囲気から多分Bランクにしろとか言われてるんでしょうね……
___________
リコが出ていったことで押さえ込んでいた感情も表に出てくる。
顔は怒りに歪み、歯を噛み締める。
「あいつはあの事件があったのにまた繰り返そうとしてる」
右手を振り上げるがその手を止める。
右手につけているブレスレットが目に入り、私の心はさらに乱れる。
「私は____________」
右手を振り下ろし、大きな音を立てる中で決意を声に出す。
大きな音で声はかき消されたが決意はハッキリとさせた。
壊れた机を放置して私は会議室から出る。
私のやるべきことをしないと