6 : 魔法について
支部から帰ったマリナは帰った姿のままベッドに横たわりそのまま眠ってしまっていた。
マリナは母親に叩き起され、気が付くと次の日の朝になっていた。
(………朝?)
寝起きのぼーっとした状態で起き上がり、朝の日差しが部屋の中に入っているのを見る。
時間は朝…理解するとマリナはベッドから飛び起きる。
「なんで朝なの!?夜起こしてくれなかったの!!?」
「夜ご飯の時に起こしたわよ!でも要らないって言って寝たのはあんたでしょう!!」
マリナにはそんな記憶がない。
昨日の記憶もすぐには思い出せていない。
(お腹すいてるのにそんなこと言うわけないよね!)
思い出せないが、夜ご飯食べずに寝るとは思えない。
(ちなみにボクも食べた方がいいって言ったのに聞かなかったのはマリナだよ?)
「ひゃっ!?」
頭の中に響いてくる声にマリナはびっくりして声がでてしまう。
(そうだった…昨日は色々な事があったんだった……)
段々と思考が覚醒してきて、昨日のことを思い出してくる。
エルと出会ったり、魔物を倒したり、アオイと模擬戦したり。
疲れすぎて横になったら起き上がるのもキツくなって夜ご飯を食べなかった記憶を思い出す。
「大丈夫?体調悪いの……?」
いきなり黙り込んだマリナを母親は心配して声をかける。
「大丈夫…ちょっと考え込んでただけだから……」
「え………麻里奈が……?」
(聞こえてますよお母さん。
そしてなんで更に心配するような目になってるのかな?
そしてなんで額に手を当てて来るのかな?)
マリナは母親をジト目で見る。
「熱はなさそうだけど、授業は無理に出なくてもいいのよ?」
「大丈夫だから!!というかお腹減ったから食べに行く!」
マリナはベッドから起き上がりリビングへと向かう。
テーブルの上には朝ごはんが用意されている。
「私も出るからあとはよろしくね?何回も言うけど無理はしなくていいからね」
「んぁーい。いってらっしゃいー」
マリナは目玉焼きとハムが乗ったトーストにかじりつきながら出ていく母親に返事をする。
時間は7時半。
余裕は無い。
朝食を食べ終わり、食器を洗ってからまずはシャワーを浴びる。
母親から受け継いだ金色の髪は光り輝いて見えるため、マリナは髪をいつも綺麗にしている。
(昨日はそのまま寝ちゃったから早く手入れしないとね…)
色々とやること全て終えると授業開始時間の3分前になっていた。
マリナは直ぐに学校から支給された端末を開いてバーチャル上の教室に入る。
「ギリギリセーフ!」
マリナが教室に着くと他の人は既に教室の中に居た。
「本当にギリギリだな。寝坊か?」
マリナが席に座ると隣の席の男の子が話しかけてくる。
この子はマリナの幼馴染の三上湊斗。
親達が友達で家も近かったため子供の時から一緒に遊んでた。
「遅れてないから寝坊じゃない」
マリナがそう返すと湊斗は面食らった顔をしながらも乾いた笑顔を見せる。
「それでは授業を始めます!」
湊斗は何か言いたそうな顔をしていたが、授業が始まったために言うのを辞めて前を向く。
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「皆さんわかってると思いますが、98年前に大災害が発生しました」
大災害。
突然現れた巨大な魔物によって世界は破壊され、人々は蹂躙された。
軍隊が出撃したが、魔物には効果は無く、地球に多大な影響を与えてしまった。
人類が滅亡するのも時間の問題と思われている中で生き残っていた人は突然「魔法」という名の魔物と戦える力を得た。
魔法が使えるようになった若者が協力して魔物と戦い、多くの犠牲を出しながらも人類は滅亡の危機から去った。
魔物の脅威は去ったが世界各地は魔物や核兵器によって破壊され多くの地域で人が住めなくなった。
多くの国が滅亡したが、日本は壊滅的な破壊は免れた
ため他国のような大国ではないがずっと続いている。
魔物は度々現れるが、現在は魔法が使える者達によって倒され、世界は守られている。
魔法は使える者は小学生くらいの年齢から使えるようになり、25歳過ぎたあたりから急激に弱くなってくる。
若者のみが魔法を使える世界となっている。
(ちなみに、終焉の魔女が地球に来たから魔物が現れて、地球が魔物に対抗できるように魔法と妖精を作ったんだよね)
(聞いたことないよ……?)
(ふーん?妖精なら全員知ってるけど…なんでだろ?)
なぜその情報を知らないのか、マリナは不思議に思った。
もしかしたら上位の人達は知っているかもしれない。
でも下位の人に教えてない理由も分からない。
不安を煽るため?