4 : Bランク アオイ
「申し訳ないけど私の魔法は攻撃特化だからマリナが防御してね」
アオイはBランクで、風魔法で短剣や細剣を使って戦うタイプだ。
相手の隙を付き、風魔法で切れ味の上がった剣でトドメを指す戦いを得意としている。
「今から攻撃するから防御してね」
アオイがそう言うと同時にアオイはマリナへ飛びつきながら短剣を突き出す。
「風纏・烈風」
「…アースウォール」
マリナはいきなりの攻撃に少し遅れるが、魔法で厚い土の壁を出して短剣を受けようとする。
「硬ったいわね…!」
アオイの攻撃は土の壁の表面を抉り、厚い壁は全く貫通することなく受け止めた。
「風纏 ・疾風」
アオイは更に追加で魔法を発動する。
アオイの短剣は緑色の光を纏い、その短剣でアオイは土の壁を切りつける。
土の壁には衝撃が走り、最初に抉ったところを起点にヒビが入る。
「ふっ」
アオイは短剣を引き、もう一度突き出すと土の壁に更に衝撃が走り、貫通してしまった。
「これならランクB相当の魔物にも耐えられそうね」
(ランクBの魔物に耐えれるような壁を普通に壊すアオイさんもどうなのよ…)
マリナはアオイがなんの苦も無く壊すのを見て苦笑してしまう。
「水魔法はどうなの?私に使ってみて」
アオイはそう言うと物凄い速さで駆ける。
アオイの速度だと半端な攻撃では避けられてしまう。
マリナは自分の使える魔法を考え、ひとつの魔法を選ぶ。
「スプラッシュ!」
小さな水の球が複数出てきてアオイがいる方向へと弾けるように発射される。
単発だと当たらないと思ったマリナは範囲攻撃を行った。
アオイは動きを止めて短剣を構えると飛んでくる複数の水の球を切る。
水の球は切られると崩れ、攻撃力は無くなってしまう。
「ええ………」
マリナはアオイに魔法を切られて引いた顔になっている。
(エルの能力でそこそこの威力になっているはずなのに剣で防ぎきる…?1発の威力ですら前までの私の全力の魔法よりも強いけど…)
水の球ひとつひとつが今までの本気の魔法の威力よりも強いが、何も無いかのようにスパスパ斬られている。
「マリナの言ってることは合ってそうね。これほどの強度の土魔法は今まで使えなかったし、水魔法もかなり強くなってるもの」
「……………」
アオイの強さにマリナは言葉も出ない。
(この人でBランクならSランクはどんなものなの…)
魔法使いの強さはランク付けされており、最低はGランク、最高はSランクとなっている。
アオイはBランクで、支部長のリコはAランクとなっている。
Sランクは日本では8人認定されていて、その中の1人は世界でもトップ3に入るくらいの強さだ。
(エル?終焉の魔女はSランクの人でも倒せないの?)
(微妙かな?世界中のSランク全員で共闘出来れば倒せるかもだけど)
(共闘…………出来ないよね………)
国も違い、思考も違う。
そして日本はまだマシな方だがSランクの人達はプライドが高い人が多い。
Sランクの中でも争っている国もある。
Sランク同士は共闘することはほとんど無いが、前に共闘を見た時は、2人で協力して倒すというよりは、どちらが先に倒せるのか勝負をしている感じだった。
戦ってる時は普通に相手を巻き込みながら技を使ったりもしていた。
2人でもそんな感じだったから複数人で共闘してって無理だと思ってしまう。
マリナはため息をついた。