38 : Sランクの巣窟
季節は完全に夏になり、外はかなり暑くなってきた。日差しは強くて外にいるだけで溶けてしまいそうな季節だ。
そんな中、とある一室でマリナは震えていた。
「紹介するね〜。この子はマリナさん。リコ先輩の居る中四国支部に所属してて、ウチが寝てる間にランクSS倒した子ね!」
リースの横には男が3人も居る。
「レオンさんに、ジェイドさんに、タリオ君。知っての通り、全員Sランクだよ〜」
Sランクしか居ない部屋に連れていかれたからだ。
リースに呼び出しを受け、リース部屋に着くとマリナはリースに腕を引っ張られて別の部屋へと連れていかれた。そこに待っていたのがこの3人なのだ。
「オレからでいいのかな?オレはレオンだ!よろしくな!」
赤い髪をした大きな男がマリナに手を出し握手を求めてくる。見た目も加わり、かなり熱そうにみえる。
この男はレオン。日本1位と言われている男だ。得意な魔法は雷魔法で、一瞬で移動し敵を切り裂く。スピードもパワーも桁違いだ。他の属性の魔法も使え、更に妖精まで居る。妖精がいることを3年前に公開し、大騒ぎとなったこともある。
「よろしくお願いします………」
マリナが恐る恐る手を出すと掴まれて握手してくる。そして強く握られて手が痛い。
「レオン!君は力強いんだから握手はダメだって言ったよね!」
痛いと思っていると、ジェイドと呼ばれた青白い髪の色をした男がレオンを止める。
「すまんすまん!………本当にごめん!!!」
レオンはヘラヘラ笑っていたが、マリナの手が赤くなっているのを見て頭を下げる。頭を下げる速度は速く、残像が見えた気がした。
「い、いえ………」
マリナはレオンに少し引き、手から痛みが引いたような気がした。
「レオンは本当に気をつけてよ………
えっと…次は僕でいいよね?僕はジェイド。よろしくね」
3人の中ではいちばん小柄な青白い色の髪をした男が声をかける。男性としては平均的な身長であるが、1人だけ小さく見える程に他の2人は背が高い。
「よろしくお願いします」
この男はジェイド。日本で2位と言われている。氷魔法が得意で、剣が触れたものを全て凍らせる魔法を使う。そのため、防御も効かない一撃必殺の剣となっている。
魔法使いとしても長く、15年の間前線で戦っている。死が隣にあり、年齢による魔力の消失のある世界でジェイドより長く前線に居る者は他に居ない。
「俺はタリオだ。よろしくな」
黒い髪の男が前に出てくる。レオンよりは小柄だが、ジェイドよりも背が高く、痩せ型だ。
「よろしくお願いします…」
この男はタリオ。日本で5位と言われている。様々な武器を使うテクニカルな戦い方をし、魔法は重力魔法。エンタペスと同じく、重力のデバフを与えたり、重力による加速を使ったりしている。タリオの魔法は同じSランクであってもかなり影響を受ける程に強い。Aランク相当では動けないくらいの強さである。エンタペスより遥かに強い。
「とりあえず今日居る人はこれだけかな〜?マリナさんと同い年のアリスさんとも会わせたかったけどね〜」
アリスとは同い年ではあるが、映像でしか見たことは無い。アリスは日本8位と言われている闇魔法使い。サポートタイプとなっており、そこまで火力は高くない。ちなみにマリナが堕天使戦で使ったダークバインはアリスが使っていた魔法だ。
「会わせると言ってもアリスは無理でしょ。人見知りだったよね。僕も未だに怖がられているし」
ジェイドはため息をつく。自分が比較的柔らかい顔である事は分かっている。だが、それでもアリスからは怖がられているのだ。出会って挨拶をしただけでその反応だったのだ。
「あの子は人見知りで男性嫌いだから…マリナさんなら……………多分大丈夫!」
リースは苦笑いを浮かべ、マリナを見る。可愛いマリナならアリスも大丈夫だろう。リースはそう思った。
(そして、ウチへの緩衝材になって欲しい)
アリスのことを思い出しながら、ついでに願いを込めておいた。




