116 : 香織の覚悟
魔法局にいるはずのレオンに会うために香織は魔法局へと向かった。
途中で香織は足を止める。自分が向かう先で、魔力が無くなっても分かるくらいの強大な魔力を感じる。
感じる魔力だけでも差を感じてしまっている。これほどの強大な敵と戦うなんて無理だと思えるほどの魔力であり、香織の足は動かない。
戦うことから逃げた香織が立ち向かうには大きな壁だった。
「玲央………?」
巨大な魔力の塊と衝突するレオンの魔力を
香織は感じた。魔力に押しつぶされながらも輝くレオンの魔力。
「…」
助けに行かないと。
そう思ったが足が動かなかった。
大きな壁。
「あたしは…臆病者ね」
魔法使い辞めた時と同じ。
あたしは弱い。死ぬのが怖い。
足がすくむ。
進めば死が待っているのが分かっているからだった。
「それでも………」
それでも、1歩進む。
足にまとわりつく死の恐怖。
それが香織の歩みを止めさせる。
死が壁となり香織は壁にぶつかる。
「あたしは…玲央を助けたい」
例え自分が死んでもレオンを助ける。レオンが死んだ世界で自分は生きて居られない。
更に1歩前へ進み壁を…………
壊す。
「待ってて」
壁が壊れると視界が広がる。死の恐怖によって曇っていた視界には希望が見える。
明日を生きるための道を、未来への道を求めて。
香織は希望を求めて走る。
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香織は昨晩にレオンを止めるための仕掛けを街に仕掛けていた。
周りの魔力を乱して魔法を使えなくする仕掛けだった。
魔力を強制的に止める方法はフランの魔力によって意味がなかったために改良したものだった。
別の魔力をぶつけ、魔力自体を掻き回せば魔法は発動しきれない。
そのため、香織は保存していた自身の魔力をその仕掛けに組み込ませた。
周りの魔力の残滓から魔力を増幅させ、香織の魔力で魔力を乱す。
それが香織の仕掛けたものだった。
でも、今必要なのはそれではない。
香織は回路を繋ぎ変える。
増幅させた魔力をぶつけるのではなく、使用するようにと。
1度しか使えないものに変わったが、レオンを助ける為には必要だと感じたのだった。
「動いて」
香織は走りながらも仕掛けを起動する。起動された仕掛けは魔力が伸びて繋がる。繋がりあった仕掛けは更に魔力の線が伸び、大きな魔法陣へと変わる。
魔法陣は組み込ませた香織の魔力を増幅させた。
走り抜けて行くと道の先には戦いが見える。
目では追い切れない速度の戦いだったが、2人の動きが止まる。
香織が認識できた時には、レオンは血で濡れ、イレイアが剣を構えている状態であった。
「させない」
香織は仕掛けを起動させる増幅された香織の魔力が周りの魔力を乱し、魔法を妨害させる。そして増幅させた魔力を使って魔法を発動させる。
「慈愛の雫」
波紋が拡がり、増幅された香織の魔法が辺りを包む。
波紋がレオンに当たるとレオンの身体が治っていく。血で濡れた腕からは傷が癒えて正常の身体へと戻る。
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「聖女…?いや、なんだ?」
イレイアは突然魔法が乱された感覚に困惑する。乱された魔力は一瞬であったが、イレイアの中を駆け巡った。
その中に聖女の魔力を感じた。
聖女だと思われる女性をイレイアが見るが、今は魔力すら感じないただの人である気配しか感じない。
違和感。
理解のできない現象。
斬るしか無い
イレイアは魔力を使うと一足で香織に接近する。認識できるはずのない程の高速の一撃。
「お前の相手は俺だ」
だが、その一撃は香織には届かなかった。
香織を守るように現れたレオンによって防がれる。
「………そうだったな」
レオンの力を受け流すようにしてイレイアは後ろへと飛び距離を開ける。
「香織、お前は下がってろ」
「でも!」
「邪魔だ」
「ッ………」
香織も元Aランクの魔法使いであり、ある程度の速度は見切れてはいたはずだが、今の攻撃は全くと言っていいほどに見えなかったのだった。
自分自身がレオンの邪魔になる事は分かる。
レオンを死なせないように出たはずが、レオンの邪魔になる。
(もしもの時は)
香織はレオンの言うことを聞くように後ろへと下がる。
2人の戦いの邪魔にならないように、レオンの意識を阻害しないようにと。
次とその次の話がなかなかまとまらず遅くなりました。
次は明日投稿予定です




