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魔法で世界を救います!  作者: しゃのん
6章:最強の魔法使い
115/118

114 : 炎と炎と


「まるで嵐だな」


 剣戟を防ぎながらレオンはそうボヤいてしまう。

 行動を一手でも間違えたら死。反応速度を超える速度のイレイアの攻撃を紙一重でレオンは受ける。

 今までの経験と勘により目で追いきれていない攻撃を避け、避けきれない攻撃は剣で防ぎ致命傷を避ける。


 2人の戦いは超高速であり、レオン以外であればコンマ1秒も持たないような猛攻をレオンは30秒も耐えている。

 攻撃は何百回も繰り返されているが、まだ動けているだけでもレオンは他の魔法使いとは違うことがわかる。

 それでも時間が経てば経つほどに増える傷。血が流れるより前に別の傷が増え、イレイアの剣はレオンの命を刈り取ろうとしている。

 灼熱の炎がレオンを掠め、命を削る。


 2人の力の差は歴然である。このまま続けたところでレオンに勝てる要素は無い。

 レオンの目の前の存在から迫るのは強烈な威圧感。レオンですら怯んでしまいそうな圧を感じてレオンの額から汗が落ちる。

 後ろに下がれば、逃げれば、生き残れるかもしれない。

 それでもレオンは前に出る。Sランクとしての矜持ではなくただの戦いへの執念。それがレオンを前に進ませる。これまでの戦いは今を楽しむためだと思えるほどの高揚感がレオンを突き動かす。

 だが…


「勝つには俺だけでは足りないな」


 レオンは自分の強さを理解している。イレイアは今のままでは絶対に勝てない相手であることも理解できている。

 勝つために必要な事を考える。まず、大前提として速さが足りない。風魔法ではイレイアの速度に負けている。そこに関してはレオンには秘策がある。

 秘策はあるが諸刃の剣である。場所を見て使わなければならなかった。

 そして、魔力が足りていない。レオンよりも強大で強力な魔力。同じ属性であるレオンの炎魔法はイレイアの炎魔法に食われてしまう。そのために必要なものは…


(オレの力を使え)


 自身の妖精であるフランの魔力を使うしかない。レオンは自身の魔力に妖精であるフランの魔力を混ぜ合わせる。

 炎の妖精であるフランの魔力はレオンの魔力と相性が抜群であった。

 灼熱の炎と化した魔力が爆ぜるがイレイアの魔力には及ばない。


「その魔力…不思議な魔力だな」


 イレイアは未知の魔力に警戒する。だが、炎の魔力が上がっただけだった。魔力自体はイレイアが強く、現状だけではレオンに勝てる要素は無い。

 それでもイレイアは警戒する。

 先手必勝。イレイアはレオンに剣を振るう。音速を超えた剣からは灼熱と化した炎が溢れ、レオンに襲いかかる。


旋風(せんぷう)


 レオンの嗅覚はイレイアの攻撃を事前に予測する。レオンの認識しきれない速度での攻撃を風魔法で強化された剣でイレイアの剣をギリギリのところで受け切る。

 受け止めた剣の速度はゼロとなり、速度の優位は無くなる。

 強い相手と戦いをする為には攻めの手を緩めてはいけない。


獄炎(ごくえん)


 レオンとフランの魔力を多く注がれたレオンの灼熱の炎を帯びた剣はイレイアの炎を喰らう。


「少し強くなったか…だが、まだ弱い」


 イレイアの圧が増す。飲み込まれていた炎は息を吹き返してレオンの炎を飲み込み始める。

 レオンはその光景を見て力を緩める。一気にレオンの方へと剣が近付くが、レオンは右手に持つ剣を横へと逸らし力を逃がす、その力を辿るようにイレイアの剣がレオンの横を振り抜いていく。

 力の流れの隙を突いたレオンの行動はイレイアの行動を一手遅らせる。

 この一手を確実に物にする。最速で最高の攻撃を与えるために奥の手である魔法を使う。


紫電(しでん)


 抜いていた力を込める。左手に残っている剣がイレイアに迫る。振り抜かれたイレイアの体勢はレオンの剣を受けられる体勢では無い。

 紫色の電気がレオンに纏い、音速を超える速さで動く。


雷牙(らいが)


 風魔法の最速を軽々と超える速度。雷魔法で強化された思考の中でも避ける事は難しい程の一瞬の攻撃。

 それが、イレイアへと振り下ろされていく。

 振り下ろされていく剣は空気を切り裂き、近くに雷が落ちたかのような轟音をたてる。


「………ッ!?」


 イレイアに迫る剣は炎で赤く染まり、融解する。イレイアの魔法で弱くなったところで更なるレオンの魔法に剣が耐えきれなかったのだった。

 融解した剣はイレイアへ届かず、レオンの振り切った左手は空を切り、轟音と衝撃を撒き散らしながらもレオン自身にダメージを与える。


「…………………ッ」


 レオンは魔力による力の制御によって左手のみに大きく力を集中させたことで左手がダメになっただけだが、左手が中から裂ける激痛により、動きが一瞬硬直してしまう。

 この一瞬の硬直は戦いの間では大きな隙となる。痛みが襲いながらもレオンはイレイアを警戒するが、イレイアはレオンを見たまま動かない。


「………」


 違和感しか無かった。殺気は充満し、今にもレオンを殺しそうな雰囲気のイレイアがこの隙をつかない選択はありえない。


「雷…………か?なるほどなるほど、だから私はこっちと言われたのか」


 イレイアはレオンを見る。殺気と獰猛な笑み。

 イレイアの剣は赤く光り、イレイア自身も赤く光る。炎が舞い、空気を焼く。

 炎が世界を支配する。


「はッ、まだ強くなんのかよ」


 炎に耐性の無い人間であれば行動することも出来ない気温。まるで太陽が近くにあるかのような焼けるような熱を感じながらもレオンは楽しそうにイレイアを見るのであった。

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