111 : 魔女とマリナ
今年最後の更新となります。
今年もありがとうございました。まだ続いてしまいますが来年もよろしくお願いします。
私は更に世界を周り、全てを滅ぼしていった。
滅ぼしていく中で痛みを感じる。
沢山の命を奪っていく重み。私が私で無くなっていくような感覚だった。
それでも、私はやり遂げなければならなかった。
私が私である為に、私が未来を守るために必要だった。
自分は生命を奪う悪として、人を殺していく。
誰にもあの苦しみを味わせない為に。私が全ての罪を背負い、人に安らぎを与える為に全てを殺していく。
私と同じく強い力をもった存在がいた世界もあった。
私を悪として倒そうとしてきたが、私が倒した。私はその魂を保存する。
天使と自称していた男とも出会った。人よりも上位の存在であったが私の方が強かった。
私は誰よりも強くなっていた。
天使よりも、悪魔よりも、神にも負けない存在となっていた。
私を止められる者は居ない。
そして、私の心はいつの間にか闇で染められていた。
破壊し、魂を保存し、破壊していく。
世界は私の思い通りに浄化されていった。
私の自我は無くなり、破壊尽くすだけの存在となっていた。
これ以降の記憶は朧気だが、青い星を見つけたことは覚えている。
私の故郷と同じような見た目の星。
懐かしい記憶。それが私の中には残っていた。
「……………」
この星は平和に見えていたが、各国はお互いに牽制しあっていた。小さな争いは絶えず、お互いがお互いを潰そうとする。どの世界でも変わらない。
やっぱりどの星も変わらない。滅亡させるしかない。
希望は絶望となり、そして私は負の力を加速させる。
「今度も…楽しませてくれるのかしら…」
負の力は正の力を加速させる。勇者の居ないこの世界も私が入れば勇者が産まれる。
勇者を倒して私は正義となる。
私はこの地に降りた。そして力を使う。私の力は近くにいた生物を魔物へと変え、世界は混沌へと沈んでいく。
人同士の争いは人と魔物への争いとなり、争いは人を進化させていく。
「私は………」
そして、私の意識は完全に飲み込まれていった。
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魔法を止める。時は一瞬しか経っていないはずだが、魔力が大量に消費された感覚が残っている。
「ダンタリオンが…俺…かぁ?」
「そう。あなたの魔力はダンタリオンと完全に一致してる」
ダンタリオンはあの時死んだ。肉体は死んでしまったが、魂は彼の魂だ。彼と同じ魔力の波長、長年一緒にいたわたしならわかる。
「………記憶は全くないが……なぜ邪魔をするんだぁ?お前はここも消すつもりなんだろぉ?なぜだ?」
ダンタリオンには出会いから私がわたしなるまでの記憶を全て見せた。
絶望し、全てを終わらせようとした記憶。わたしでありながらもわたしでない記憶。
「わたしは…もう少し頑張りたい。人の力を…わたしの力を信じてみたい」
「信じたところで変わらないでしょ?私がどれだけ絶望したか…わかってるでしょ?」
空からわたしと同じ声が聞こえてくる。見上げればわたしが成長した姿。わたしが私だった時の姿。
「あなただって…分かってるんでしょ?だからわたしを作った。間違ってる?」
あれこそ終焉の魔女。わたしであり、私ではない存在。絶望という概念から出来た負の存在。
「さすが私。なら分かるわよね?私は終焉の魔女。この星を滅亡させるわ。あなたに止められるかしら?」
「わたしが止める。もう、あなたの好きにはさせないから」
わたしなら止められる。
わたしには終焉の魔女として不要だった聖女の力がある。
前は失敗したけど今度こそは全て守る。
「ふふ…。頑張ってね」
終焉の魔女がこちらを微笑みながら消えるとダンタリオンが魔法を使う。わたしも魔法を使い、応戦する。
「ホーリー・ライト」
ダンタリオンの闇魔法は光魔法で浄化するしかない。でも、今のわたしの力ではダンタリオンの魔法を抑えきれない。
「アース・ブレイク」
「サモン・フェニックス」
ダンタリオンの土魔法は湊斗が相殺し、空間魔法はアリスちゃんの召喚獣が炎で焼き払った。
「俺も」「アリスも」
「「居るから」」
わたしには2人の友達が居る。1人ではダンタリオンには勝てなかったかもしれないけど3人なら勝てる。
もう誰も死なせない。
わたしが希望を、願いを現実にさせる。




