プロローグ : 黒い星と青い星
「あなたの計画もここまでよ……!」
暗い世界。見渡す限り何も無い平地で2人の女性は向かい合っている。
片方は真っ赤な髪に真っ赤な服。全身は赤く光り輝いている。
もう片方は真っ黒な髪に真っ黒な服。
闇のように暗い黒に覆われている。
真っ赤な女性は怒りを表しながら真っ黒な女性に持っている剣を向ける。
「別に計画なんてどうでもいいのよ?ただ楽しみたかっただけだから」
真っ黒な女性は薄く笑いながら抑揚のない声で答える。
「楽しみたかっただけ………?そんな理由でこんなことをしたの!!?」
真っ赤な女性は更に怒り、身体からは真っ赤な光が炎のように揺らめく。
「そうよ?別にどうせ死ぬ運命なものだったからいいでしょ?」
真っ赤な女性とは対称的に真っ黒な女性は落ち着いた姿、声で諭すように言ってくる。
その姿はさらに真っ赤な女性の怒りを買う。
「そんなことより楽しませてくれるのかしら…?」
真っ黒な女性は向けられた怒りを意に返さず真っ赤な女性に対して笑みを向ける。
その数瞬後に2人の女性は姿を消した。
真っ赤な女性の剣は真っ黒な女性の首に向かって振られたが、杖に阻まれ、周りに強烈な衝撃が走り、平地に大きなクレーターができ、周りの土が吹き飛んでいく。
2人の戦いは白熱していき、地面の形を変えながら爆炎と紫電を辺りに撒き散らして地形を変える程の激しい戦いをしている。
そして何度も爆炎と紫電を撒き散らしながらも戦いは不意に終焉を迎える。
剣が砕け、真っ赤な女性は表情を変える。
「ぁ…………」
真っ黒な女性が杖を横に振るうと紫電が真っ赤な女性を横に薙ぐ。
真っ赤な女性の胴体は紫電に焼かれながら真っ二つになり崩れ落ちると光の粒子へと変わって空へと昇っていった。
「なかなか強かったわね」
真っ黒の女性は笑みを見せながらも空へと杖を掲げる。
「___________」
杖からは真っ黒な闇が放出されていく。
闇は空を黒く染め、更には地面までも黒く染めていく。
何も無く闇で真っ黒になった世界となった。
「…この世界もこれで終わりね」
闇は人をも溶かし、更に闇は濃くなっていく。
この世界には闇を止められるような人は居ない。先程粒子に変わった彼女が最後の希望であった。
闇は深く、真っ黒に変わり、この世界は闇に沈んだ。
「次の世界に行きましょう。次もまた楽しめるといいわね」
そう呟いた瞬間に彼女の姿は消える。
そしてこの世界の生命体はいなくなり、世界は終わりを迎えた。
___________
「あの青い星良さそうな所ね。次はあそこにしましょう」
何も無い空間を漂っていた所、何気なく周りを眺めていたところに見えた青い星。
周りの星よりも小さいが生命体の気配もあり、環境も良さそうなのを彼女は感じた。
そしてその青い星に彼女は向かっていく。
「また楽しめたらいいわね」
彼女は笑みを浮かべながら青い星の地上へと降り立った。
その時から青い星には魔物が溢れ、その世界の住民を襲っていく。
この世界の住民達には戦う力が無い。
住民達が魔物に蹂躙されている中で突然魔物と戦う力を得る。
この世界の住民達は『魔法』を得て、魔物を倒し、地球に住む人間達は今でも生き延びている。