新たな試み~世界融合(第6話)
間章 嘆く神々の試み②
我々の一人は言うには、世界の融合こそが鍵だと。
様々な試みでもって世界を存続させようとしてきた我々だが、世界を融合させるという行為はしてこなかった。
そもそも、世界の融合など推奨できたものではない。
同じように育てたのならば似通った世界に成長はするが、決して同じ世界になることはない。
その世界の核となる星々は勿論の事、そこに住まう生物や環境、あらゆる法則、概念が異なるのだ。
そんな異なる世界を混ぜ合わせるようなことをしたら、良くて対消滅は免れない。
最悪だと、その余波で他の世界も消滅する。
ところが、その提案をしてきた一人は可能だと言い切った。
曰く、同じ世界の種子から生じた世界同士であれば親和性が高い為、諸々の調整を我々が行うことで融合可能なのだとか。
実に信じ難い話であったが、我々の過半数がその提案に応じることとなった。
進展のない現状を打破し得る可能性に、我らは賭けた。
融合する世界として選ばれたのは、過去最大の世界から生じた十二の種子の内から成った四つの世界だ。
二つではなく、四つである。
その理由としては、現存する世界の中でそれなりに成長しており、滅びが近いという二点。
特にこの四世界は消滅まで時間の問題であった為、今回の試みを行うのにちょうど良い塩梅の世界だった。
この四世界を上手く融合させることができたならば、安定した一つの大きな世界になるらしい。
そして、これが上手くいけば、全てではなくとも多くの世界を早すぎる滅びから救うことが可能となる。
提案者曰く、我々が調整を誤らない限りは成功率は高いとのことだ。
正直なところ、我々は繊細な作業が苦手であるが、今回ばかりは失敗できない。
この試みに我々の今後が懸かっている以上、絶対に失敗は許されないのだ。
試みを実行するにあたり、打ち合わせは念入りに行われた。
世界融合を行うのは提案者に任せ、残りの我々は総掛かりで世界の調整を行う。
理想は各世界の生命が誰一人損なわれることなく、尚且つそれらの全てが支障なく生活できる世界環境に整えることだ。
その過程で地形や建造物の変化や同列個体の融合等が生じるが、それは必要な事なので損なわれたとは捉えない事とする。
そして、ようやく世界の融合が始まる。
これも短い