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消滅する世界群(第5話)

間章 嘆く神々の試み①

 世界を創造するのは容易いが、世界の滅亡を防ぐのは難しい。


 我々は、幾度も世界を創造し、幾度も世界の盛衰を見守ってきた。


 過剰な技術の発展の末に、些細な失敗で滅んでいった世界があった。


 単一種による統一の末に、病原性の細菌によって滅ぼされた世界があった。


 恒久の平和の末に、腐敗するように緩やかな滅びを迎えていった世界があった。


 理想を追い求めた末に、現実に叩きのめされて多くの世界は滅びていく。


 創造と滅びは表裏一体であり、決して滅びぬ世界など存在しない。



 我々が創る世界の根源は植物の種子のような物であり、それに水を与え、芽吹かせ、育てるのが我々の役目。


 この種子は世界が滅ぶ際に残る物であり、その数は少なくとも一つから、多い時には数多の種子が残る。


 ところが、いつからか、種子が残ることなく世界が消失する事態が頻繁に起きている。


 我々は様々な手を打ったが、状況が改善されることはなかった。


 わかったことと言えば、世界が育ち切る前に滅びを迎えてしまうと種子が残らぬという事実。


 以前はそれでも問題はなかった。


 正確には、世界が成熟するのに、それ程の手間も時もかからなかった。


 なのに、今では常に監視していないと枯れ始めてしまうほどに、世界は弱々しくなっていた。


 種子に問題があったのか、あるいは、我々の方に問題があるのか。



 我々は退屈していた。


 或いは、絶望していたとも言える。


 世界を創り、それが滅ぶまでを見守る。


 世界が育つ様は我々を喜ばせたが、それも長くは続かない。


 唯一の例外などなく、世界は必ず滅びる。


 長い時をかけて大きく育つ世界はあれど、最後には滅びてしまう。


 昔であれば、大きく育つ世界は無数にあった。


 しかし、大きく育つ世界は似通った世界になり易く、そのような世界に我々は飽いていた。


 そこで、世界の多様性を求めた我々は、思いつく限りの方法でもって世界を創った。


 そうして創られた世界は我々にとってほんの瞬きのような時であれど、様々な姿を見せてくれた。


 代り映えのしない世界に退屈し、絶望していた我々にとって、それらの姿は希望のように映った。



 その結果、現在に至る。


 世界の多様性を求めた結果が、世界の寿命を縮め、新たな世界の種子が残らないという事なのか。


 思い返せば、大きく育った世界は数多くの種子を残していた。


 我らの元に残された種子はあとわずか。


 現在育てている世界も、大半が枯れて手遅れで消失が始まり、それなりに育った幾らかの世界もどうにか存えている状態。


 これらを全て失った時、我々の元には何も残らない。


 世界の種子を失った時、我々は役目を失い、ただ無為の時を過ごすだけの存在になり果てる。


 それだけは、何としてでも避けなければならない。


 我々は必死に考えを巡らせた結果、我々の一人が、とある提案をしてきた。

短いなぁ……長くしたいなぁ……

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