三項 流石に飽きた(第11話)
第一部 新世界の産声編 一章 交差する世界 一節 オアシスにて
オアシス生活も三か月ほどになると、流石に飽きるな。
「何が飽きるって、食い物だよなぁ」
遭難中とはいえ、オアシスを荒らすほどに植物や生き物の乱獲はしていない。
となると、相棒に積んであった糧食が主な食事になるんだが、これが飽きる。
軍用の糧食だから、味よりも保存性と栄養に重きを置いているから仕方がないとはいえ、飽きてしまうのはしょうがねぇ。
早いところ、ここから脱出して美味い物が食いたい。そして何よりも――
「何よりも、酒が飲みてぇなぁ……」
キンキンに冷えたビールと美味い肴で一杯やりてぇ。
酒の肴はがっつりとニンニクの効いた鶏の唐揚げがいいな。
歳を食ってからは脂っこいものを控えていたが、今は無性に食いたくて仕方がない。
「……しっかし、平和なもんだな」
それこそ、三か月ほど前まで戦争をしていただなんて信じられねぇくらいには平和だ。
星のあちこちにはまだ化け物共の残党が残っていると思ったが、全く見かけない。
まあ、俺が宇宙に上がってからそこそこ経っているから、完全に追い出すことには成功したんだろう。
このオアシス周辺で見かける生き物と言ったら人の頭くらいの大きさの鼠や拳大の毒虫、後は足の長さくらいの蛇ってところだ。
一番美味かったのは蛇だな。次点で鼠か。毒虫はいまいちだったな。
現在、このオアシスの食物連鎖の頂点は俺ってわけだ。
凡そ脅威と言えるような生き物がいないのはありがたいが、張り合いがねぇんだよな。
あの殺伐とした日々が恋しいと思う日が来るとは思わなかったな。
まあ、この生活もあとわずかだ。
相棒の修理はだいぶ進んだし、動くだけなら可能な状態まで直っている。
一度動作確認をしておかないとならねぇが、結構電力を食うから慎重にいかねぇとな。
「ちっとばかり出力が高いんだよなぁ」
完全にいかれた相棒の推進器は敵機をそのまま載せる様な形で挿げ替えたから、不格好だが性能だけを見たら上がっている。
ただ、敵機についているそれは相棒より大きな機体を馬鹿みたいな速度でぶっ飛ばす代物だ。
推進剤こそ必要としないが、馬鹿みたいに電力を食うってのが精査した結果わかっている。
そんな代物だから耐衝撃性も考えて操縦席周りも替えたかったんだが、先の戦闘で綺麗にぶち抜いてしまった為、断念した。
「ま、何とかなるだろ」
なるようになる。
これまでそうして生きてきたし、死ぬまでそうしていくつもりだ。




