表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

なろうラジオ大賞応募作品

帽子始まりの恋は

作者: 牧村 咲希

「連絡先教えてってさ〜。この色男め」

 先日友達に付き添って、知らない集まりに顔を出した。そのときにいた女の子の一人が、どうやら俺のことを気に入ったらしい。

「なんでだろ。あんまり関わってなかったはずだけど」

 河原でのバーベキュー。部外者は出しゃばらず、控えめにしていた。

「分からんけど、おしゃれなデニムキャップの人って言ってたから、アキだろ」

 帽子が目印ね。帽子好きの俺はいつも帽子をかぶっている。シンプルなキャップはもちろん、小洒落たハットも、実用的なニット帽も、個性的なベレー帽も、帽子なら何でも好きだ。

 だから俺の帽子をみそめてくれた彼女に、悪い気はしなかった。

 友達づてに連絡先を交換し、メッセージのやり取りをしたのちにデートした。


 トントン拍子に付き合うことになった俺たち。順風満帆だ。デートのたびに

「今日の帽子もおしゃれだね」

「今日の帽子、かわい〜い」

「今日のもこもこ〜触りた〜い」

 まっさきに俺の帽子に反応する。

 嬉しい。嬉しいんだけど……何だろうこのモヤモヤは。自分の帽子に嫉妬が芽生える俺がいる。

「どうしたの? 変な顔して」

「どーせ俺は変な顔ですよ。帽子負けしてるよ」

「なーに、急にすねちゃって」

「急じゃない。いつもいつも帽子ばっかり褒めてさ。俺と帽子、」

 言いかけてやめた。ダサすぎる。

「好きに決まってるじゃない。どんな帽子も似合うアキくんが好きなの。アキくんだから似合うんだよ。大好き」

 ぎゅっと抱きつかれた。彼女の大胆さと可愛さに、

「俺も大好き」

 と返した。

 帽子をかぶっていて良かった。これは照れ隠しの手段でもあるから。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ