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神導の世界で  作者: 吹詩緋影
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学院入学と陰謀

はじめまして!初投稿となります!

学校との合間に執筆がんばりますんで応援よろしくおねがいします!!!

 初夏、爽やかな風が澄み渡る大陸西側の小さな国、「魔法都市国家エレヴァン」でその子は生まれた。

風のささやきは神々の喜びを表現しているような−−−そんな気がしただけなのかもしれない。


その子の両親は、思い込み過ぎかと笑い我が子を見つめる。

「そうだなあ…スアルなんてどうだ?」と父、「いい名前ね!貴方はスアル…良い子に育ってね。」と母はスヤスヤ眠る我が子に笑いかける。


後に世界を大きく揺るがす存在になるとは誰も予想はつかなかった……


      ◆◆◆

 魔法都市国家エレヴァン−−−ここは多くのマナで満ち溢れる豊かな国。大陸の西側に位置する小さな国だが、国民は不自由なく暮らしている。魔法都市国家というだけあって王都には{エレヴァン国立魔法学院}があり、魔法が得意な国民や、世界各国の貴族たちが通っている。


エレヴァンは太古の昔、風の神が住んだ土地とされており、多くの国民が風神を信仰している。

世界各国にはこのように神の住んだとされる土地があり、その国は魔法都市国家として認知されている。

そんなエレヴァンの辺境にスアルは住んでいた。


朝日が入り込んだ眩しさでスアルは目を覚ます。

朝食のいい香りが鼻を刺激する。どうやら朝食は出来上がっているようだ。

身支度を済ませ下の階に降りる、何も変わらない風景、だがそれもしばらくお別れだ。


「おはようスアル!昨日はよく眠れた?」と母がいつものように聞いてくる。

「うん、よく眠れたよ。」僕はそれにいつものように返す。

「今日から魔法学院の寮に入っちゃうなんて…ママはさみしいよ〜」

そんな彼女みたいな発言をする母だが、そのとおりだ。

 

 僕はこの春に魔法学院に入学することになった。

なぜ入学することになったのかと言うと、平民にしては高い魔力量持ち、精霊と契約をしたという噂だけでわざわざ校長の方から入学しないかという文書が送られてきたのである。

自慢しているように聞こえるかもしれないが、これ中々ないことらしい。

こうは言ったが母や父の期待に応えれそうで内心嬉しかった。


魔法学院には入学選抜制度があり、いくら招待を受けようと試験は避けられない。

こういった試験では、魔力量が多く、戦闘経験に優れている王貴族や蛮族といった者が上位に入りやすい。

だが僕は平民の身でありながら3位という成績で入学することになったのである。

神童だとか、神の使いだとか期待をかけられているが、重荷なのでやめてほしい。


僕は学院から支給された制服を着ながら母に目を向ける。

僕はもう15になるというのに母が心配そうに見つめている。

それもそうか息子の門出だもんな。


支度を終え、玄関先に立つ。

すると母が「パパにも立派な姿を見せてあげたかったわ…」と目を潤ませて言った。

僕の父は死んでしまったわけではない。ただ色んな都市に商売へ出かける大物の商売師なので簡単に戻ってはこれなかったのだ。

「そうだね、また夏頃に戻ってくるからその時にお披露目しよう」と言うと

「そうね、パパもきっと楽しみにしてくれるはずだわ!」といつもの明るい母に戻った。

時間も時間なので寮へ向かうことにした。

「それじゃあ、行ってきます。」

「行ってらっしゃい、風邪と怪我だけは気をつけるのよ?困ったらママに連絡してね。」

そんな母代表みたいな言葉を言った母を後ろに僕は学院へと向かって足を進めた。


 足を進めた、とはいえここはエレヴァンの辺境。もっとも国境が近い集落である、徒歩だけで行けるわけないし、ましてや馬車すら来ない。

そもそも国境の村に迎えなど来やしないものだ。普通の人なら慌てるが、僕は違う。

馬車は来ない?徒歩じゃ無理?じゃあ何で行くんだい?

                 魔法で行くんだ!!

”古の風神よ、風の加護を授け給え”

詠唱を終えると、身体が淡く光り宙に浮く。

「んっと、大体10分でいけるな」と独り言をいい、僕は王都へ向かって空を移動した。


      ◆◆◆

 校長室から漏れる話し声を彼女は聞いていた。

彼女の名はヒイナ、スアルと同じく今年学院に入学する生徒である。


((まったく、今年の生徒は優秀なようで))

((本当にそうですよ、特に神童スアルが入学要請に応じたのが大きいですかな))

校長と教師の一人だろうか、断定は出来ないが校長と男性が会話をしていた。

((主席入学となるヒイナ・ノア・ヒストリア様はどうなのでしょうか?))

((ヒストリア王国の第2王女ですか、彼女も戦姫と呼ばれる異名を持った実力者です。もうすでに教師より強いかもしれんし今後が楽しみですじゃ))


何を隠そうヒイナとは、魔法都市国家ヒストリアの第2王女である。

幼き頃に失踪し、生きて戻ってきたかと思えば4大精霊の一柱、水の精霊ウィンディーネと契約していたという謎多き過去を持っている。

スアルと似た境遇だが王族級のマナを持ち、騎士団長から直々に鍛え上げられたヒイナと平民としては多いマナを持つが、戦闘経験の少ないスアルでは天と地ほどの差がある。


((さて、未来ある子供達が入学するまで後3日を切ったぞ、楽しみじゃなあ))

((ええ、きっとこの世界の次世代を背負って立つ者たちとなるでしょう))

そうして会話は終わった。ヒイナは別に盗み聞きをしていたわけではない。ただ、校長に呼ばれて来たタイミングで取り込み中だったので仕方なく待っていたのだ。


先程のもうひとりの男性はエレヴァン王家の使いだったらしい。胸元にあるエンブレムがそう示していた。

王家の使いの男性が去ったのを確認し

「失礼します、ヒイナ・ノア・ヒストリアと申します。招集に応じ参上しました。」そういって扉の前に立った。

「入って良いぞ」という校長の声。


校長室へ入ると「この度は急な招集に応じてくれてありがとう。明々後日の入学式の……」

「要件はなんでございますでしょうか」と校長の言葉を遮り本題へと意識を向けさせた。

パチクリと目を見開かせ驚いていたが、すぐに整え直し

「コホンッ!君に頼みたいことがあっての、実は………」と校長は密かに言った。


要約すればこうだ、スアルを監視しろとのことだ。スアルは辺境の地に住むただの一般人なのだが、エレヴァン王家は”監視せよ”と命じたらしい。同じ境遇の者のことは気になっていたヒイナだがエレヴァン王家の監視する理由が理由だった。


 ”王家は精霊と契約し、多量のマナを持つスアルを邪魔者としてみている。そこで王家に反逆する意思を向けたときには”速やかに始末せよ”と。

校長は言い切るとフゥ…と大きなため息をついた。それもそうだ、これから学院に入学する優秀な人材を王家に反する意思だけで殺してしまえと命じているのだから。


「ワシはもちろん反対なんじゃ、だが王家直轄で運営しているこの学院では命には背けないんじゃ……」

校長が困ったものだ、と弱音を吐く。

「私ももちろん反対なのですが、王家はなぜそのような傲慢に陥っていしまったのでしょうか?」

ヒイナは純粋に持った疑問をぶつけてみた。

「うぅむ…第2王子ハルノス様の入学かのう…彼も今年入学する一員であるんじゃ。しかし入学成績は振るわず5位という結果になっておる。”王族たるもの平民に負けてはならぬ”という現国王のプライドからなのではないかとワシは思う。」

校長の見解は概ね合っていると思う。ヒイナもそういった者を目撃したことがあるからだ。

はぁ〜〜と大きなため息をつき

「わかりました、監視は行います。ですが手を下すことは決してしません。それでもよろしいでしょうか」

「構わん、ではよろしく頼む」

その言葉を聞いたヒイナは校長室を出て自室へと戻った。


自室にて、帰り際に手渡されたスアルに関した資料にヒイナは目を通していた。

「え〜っと、名前がスアルーー……!?」ヒイナは衝撃を受けた。

名前欄には”スアル・レヴィス”たしかにそう記されていた。

「まさか…レヴィスの人間だったとは…」

ヒイナは口角をあげ、久しぶりに訪れた高揚に身を震わせていた。


主人公の登場が少ない第一話となってしまいましたが、次はちゃんと出しますんで(汗)

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