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再開と疑問

 ~春風 陽葵side~

 

「ひーくんだよね」

 

 ひーくん!?

 そんな呼び方されたことないけど!?

 いや1人だけいる、幼少期よく一緒に遊んだ女の子が僕をそう呼んでいた。

 

「もしかして有栖?」

 

「そうそう、小さい頃よく一緒にいた胡桃坂(くるみざか) 有栖(ありす)。ほんと久しぶりだね、ひーくん」

 

 最後にあったの小学4年の頃だけど、見た目が変わりすぎていて全然気づかなかった。

 昔が女の子らしくなかったわけじゃないけど、その時に比べると凄く女性らしくなっている。

 今一度有栖の全体像を見る。

 長いストレートヘアの茶髪に、整った顔、そして何より目が行くのは制服越しにも分かるその胸の膨らみ、学年一どころか学校一何じゃないだろうか。

 町を歩けば、アイドルやモデル等に誘われてもおかしくないスペックをしている。

 

「有栖もこの学校だったんだな。それにクラスまで一緒とは」

 

「ほんと凄い偶然だよね」

 

 偶然か、この前もそんな言葉を聞いたな。

 

『ひーくん大きくなったら結婚しようね』

 

 不意に昔のことを想い出す。

 有栖はこの約束は憶えているのだろうか。

 有栖は今の僕を知ってもなお、また話しかけてくれるのだろうか。

 

 

 #####

 

 

 高校生活が始まって早一週間、気づけば過ぎ去っていた。

 最初の数日は話しかけてくる異性が何人かいたが、気づけばクラスメイトの女子は立花さんと星宮さん、あと有栖以外本当にどうしても必要なとき以外は話しかけてこなくなった、……いや近づかなくなった。

 僕が近くに行けば逃げるように離れるものもいる。

 その必要なときである授業中のグループディスカッションでもあっても、極力僕には話しかけないようにし、どうしても話しかけなければならないときはどこかビクビクしながら、機嫌を伺うように話しかけていたのが印象的だった。

 分かっていたこととは言え、現実を目の当たりにすると心に来るものがある。

 僕そんなに駄目かな、正直なところ何がそんなに嫌なのか教えてほしいと心底思う。

 だが、その答えを得ることは永遠に出来ないだろう。

 だって聞こうとしてもみんなして危険人物を見つけたように脱兎のごとく逃げ出すんだから。

 

「はぁ────」

 

 思わずため息が出てしまうのも仕方がないだろう。

 

「どうしたの溜息なんかして」

 

 そう言うのは一緒に昼食を食べていた立花さん。

 僕はいつも通り立花さんと星宮さんの2人と教室で食事をしていた。

 2人は手作り弁当、僕は朝コンビニで買ったパンを食べていた。

 

「……いやべつに何でもないよ」

 

「そんな深刻そうに溜息して何でもないってことはないと思うけど……」

 

 立花さん、今日もほんと優しい過ぎて涙でそう、女神かな。

 でも、正直なところ僕と普通に接してくれる異性である2人にはこの内容を相談しても余り意味がないんだよな。

 …………いや待てよ、同性だからこそ分かるものがあるんじゃないか。

 それに女子だけの情報交信経路があるかもしれない。

 相談するだけ無料(ただ)なんだし思い切って相談してみたらいい気がしてきた。

 

「中学の頃から思ってたんだけど、僕って何でこんなに女子から嫌われてるのかなぁって」

 

「「嫌われている?」」

 

 不思議そうに首を傾げる星宮さんと立花さん。

 

「えっ!? 嫌われてるよね、星宮さんと立花さん以外の女子で2回以上話したことある人中学以降殆どいないんだけど」

 

 小学校の頃や中学校の最初の頃はこんなことなかったんだけどな。

 ほんと何が原因なんだろう。

 

「あー、なるほどね。それは別に嫌われてるわけじゃないよ。まぁ嫌っている人もいると思うけど、そう多くないと思うよ」

 

 星宮さんの言葉を聞いて余計に疑問に思った。

 人間生きていたら大なり小なり一定数の人には嫌われるものだ。

 だから僕のことを嫌いな人がいるってのはしょうがないことだと思う。

 だけど、僕の女子からの嫌われっぷりはそんなレベルを遙かに超越しているのは誰の目から見ても明らかだろう。

 それなのに星宮さんはそこまで嫌われてるわけじゃないって言った。

 じゃあなんで僕は女子からこんな対応を取られるのだろうか。

 

「じゃあなんでみんなこんな反応なの?」

 

 僕は僕らと同じようにクラスで昼食を食べている人たちの方を向く。

 男子同士、女子同士、はたまた男女混合で食べているグループや1人で食べている人もいる。

 しかし、クラス内を見渡している僕と目が一瞬でも合いそうになった女子は例外なく目をそらす。

 何より一番やばいのは僕たちの周りだけ他に誰もいないってことだ。

 普通僕たちの横や前後で誰かが座っていてもおかしくないのに4限が終わると僕の席の周りにいるみんなは即座にどこかに行ってしまう。

 まぁ友人の方に行っただけかもしれないし、学食に行っただけかもしれないからなんとも言えないちゃ言えないけど。

 何となくだけどそれは違う気がするんだよな。

 

「あーそれは何というか、えっと……」

 

 凄く言いにくそうな様子の星宮さん。

 えっ!? そんなに言いにくいことなの?

 

「言いにくいことだったりするの?」

 

「言いにくいっていうか、言いたくないっていうか。…………いや違うかもしれない。今言ったことは忘れて。ただこの件に関しては誰に聞いても春風さんがほしい答えが返ってくることはないと思う」

 

 ますます意味が分からなくなった。

 ただ、僕が自分自身で知るしかないってことは分かった。

 

「陽葵君ごめんね、私もこの件に関してはいまいち分からないから役に立てないけど、困ったことがあったら言って。できる限りの手助けはするから」

 

「おまえが言うな、おまえが」

 

 星宮さんがぼそっと何か言ってた気がするが聞き取ることが出来なかった。

 こんな僕に相談に乗ってくれたり、手助けするからって言ってくれる立花さんや星宮さんにありがたく思うと同時に何でこの2人は僕と普通に接してくれるのだろうかという昔から思う疑問が頭に浮かんで消えなかった。

面白い、続きが気になると思って頂けたならブックマーク、評価お願いします。

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