表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【BL】いつも側に  作者: Ag/あぐ
第5話「彼の素顔ってヤツですか?」
53/54

05・集合

(わたくし)、実行委員会との明後日の催しについての話し合いが終わって、一度風紀室に顔を出そうと思っていた所だったのですが、皆様はこんな所で何をしているのです?特に生徒会の皆様は」


(ああ、なるほど。そこでミスコスの念入りな話し合いが行われていたんですね分かります…)


今までの空気を吹き飛ばすかのように、その場を修ちゃんの穏やかな声が支配する。いやマジで空気一瞬で変わったな。


「今日は文化祭本番の前日という事で忙しい筈ですのに、こんな所で御三方は一体……何を?」


「「「っ…」」」


微笑みの悪魔、開眼!!


…いや別に、普段目を瞑っているという訳じゃないんだけどね?


途端にビクッと体を跳ねらせる三人に、俺はちょっとだけ可哀想になる。


「おや、あなたは…」


ふと修ちゃんが、今気付きましたといわんばかりに俺の方を見た。さっきアイコンタクトしたんだけど、周りに気付かせない所とその演技がこれまた流石だ。


「ッあ、そうだ!修二先輩、聞いてくれよ!」


しかし、修ちゃんが何か言う前に、転校生が声をあげた。味方を得たのだと思ったのか、雰囲気を明るくさせた転校生に少し呆れる。


「はい、なんでしょう」


「こいつシロっていうんだけどな!親衛隊のくせに比呂の連絡先知ってたんだぜ!」


…だから親衛隊じゃないって!いい加減しつこいんだけど。


「別に可笑しくはないと思いますよ?」


「そうだよな!やっぱ無理矢理比呂から聞き出し……ってはぁ!?何言ってんだよ修二先輩!」


「楓君はいつも元気ですねぇ。何をそんなに驚いているのですか?」


「い、いや、だって…!」


修ちゃん最強か?

転校生をこんな簡単に戸惑い焦らせてしまうなんて。


「彼、シロ君は一応風紀の方ですよ。先日挨拶をしましたので間違いありません。逆に親衛隊員っていうのが初耳ですね。なので、会長様が風紀の方へ連絡先を教えていても別に可笑しな事はないかと私は思いますが。今まで何故か敵対…とまではいきませんがあまりいい関係ではなかった生徒会と風紀が、こうしてちゃんと協力関係にあるというのは、とても喜ばしい事ですよね」


「えっ、風紀の子だったの!?」


「そ、そう言われればァ、髪で見えてなかったけど確かに耳にピアス付けてるじゃァん…」


「だからさっきの身のこなし、だったんですね…」


なんか修ちゃんのお陰で色々な事が解決したわ。やっぱり頼りになりまくる。


「あ……う、…くぅっ」


ほら見て!転校生敗れたり!?


修ちゃんの言葉に反論出来なくなったのか、プルプルと体を震わせながら、変な声を出して俺の方を見てくる。分厚い眼鏡で瞳は見えないけれど、きっと恨めし気に睨んでいるのだろう。俺はついスカッとした気分になった。けれど、


「…おい。てめぇらマジで何してんだ。良い加減にしろや」


そこで本日二度目となる登場。

不機嫌オーラを背負いながら、なんと会長が久山を従えてこの場に戻ってきてしまった。本来なら嬉しい展開なんだけど、タイミングが最悪だ。転校生とは会って欲しくなかったのに。


「あっ、比呂ぉ!!」


会長が現れた瞬間、修ちゃんの時以上に明るく嬉しそうな声を上げて駆け寄って行く転校生。


俺はそれをただ見つめるだけ。俺はあんな風に積極的に接する事が出来ない。そこだけはちょっとだけ羨ましくある。


「…よぉ楓、久し振りだな」


「っ…」


転校生の姿を確認した会長はそう言ってニヤリと笑う。


嫌だ。会長の馬鹿。

そんな風に思う資格は俺にないんだけどね。

つい、きゅっと唇を噛む。


「お、おう、久し振り!てかなんで最近生徒会室入れてくれねぇんだよ!この前行った時も、忙しいからって陸達に追い返されたんだぜ!?」


会長はそのまま緒方と双子に話し掛けようとするそぶりを見せたんだけど、気付かなかったのか転校生は横に並んで喚く。なかなか戻って来ない三人を迎えに来たんだろうけど、空気が読めない転校生はそれを邪魔しちゃっている。


「楓、悪ぃけど忙しいんだ。話なら文化祭が終わった後いくらでも聞いてやるから今は遠慮してくれねぇか?」


「…………え?」


すると、なんと会長が僅かに面倒くさそうな表情で転校生にそう言った。それには俺も驚く。会長は転校生を気に入っていた筈だ。さっきも笑い掛けていたのにどうしたのだろう。


しかし、俺と修ちゃん以外の役員達には戸惑いがなかった。というより他の役員達は気まずそうな表情だ。そういえば、さっきも彼らはそんな態度だったな。


「そんな、比呂なんでっ…お、俺と話したくねぇの?」


「あのな楓」


転校生は泣きそうなのか、俯いて声を震わす。

それを見た信者の友人二名はキッと会長を睨むんだけど、いやいやなんでそこで睨む?転校生は兎も角、この二人もとことん周りが見えてないよね。


空気がだんだん重くなってきたのを感じて、俺はパチンッと思い切り手を叩いた。見事に皆の視線が俺に集まる。


「なんですかこの空気。先輩は三人を迎えに来ただけでしょ。忙しいんならさっさと行った方が良いっすよ。あ、もしかして甘いもの不足ってやつですか?でもすみません、今飴ちゃんくらいしか持ってないんですよ。ぶどう味ですけど、いります?」


腰に手を当て、仕方ないなぁという表情を向けると会長の眉間に皺が寄った。


「誰がいるかっ!チッ…ムカつくがシロの言う通りだ。おら、三馬鹿共さっさと行くぞっ」


「「「…え、あ、はい」」」


会長の呼び掛けに、見事に三人の返事が重なった。面白い。てか本人達、三馬鹿共で返事して認めちゃったよ。


「ふぅ」


でも良かった、これで解散の流れになるよね。


「ま、待てよ比呂!」


と思ったけど、やはりそんな事は転校生には全く関係がなかったというか、意味がなかったようだ。会長の制服の袖をぎゅっと掴んで引き留める。


それ、何か狙ってやってるの…?


「はぁ…なんだよ楓」


会長は再び振り向くと怪訝な顔を向ける。会長も意外と鈍いんだね…。


「比呂っ…比呂はなんで…」


溜め息まで吐かれていたというのに振り向かれて嬉しそうだった。けれどすぐに引っ込めて何故か俺の方を指差してくる。


「シロなんかに携帯番号教えたんだよ!」


「「「は?」」」


続いた彼の台詞には俺だけでなく、この場の何人もと反応が重なった。


(何を言い出すのかと思えば…)


さっきの修ちゃんの説明でその話は終わったものだと思っていたのに、転校生は会長本人に聞かなきゃ納得出来ないようだ。


「あ?携帯番号?」


「お、俺には教えてくれなかったのに、なんでシロなんかには教えてんだよ!やっぱ脅されたんだろ!?比呂から教えたなんて嘘だよな!?」


転校生てば先程の修ちゃんの話を意地でも信じないつもりだ。てか聞かなかった事にしちゃってるな。


「いきなりなんなんだよ。つか俺から教えたって、なんで楓がそんな事知ってんだ」


興奮する転校生に対して会長は怪訝顔をより深めるだけだった。まぁそりゃそうだ。突然自分の連絡先をなんで他人に教えたんだって文句言われてもね…。


「!」


と、そこで会長と目が合う。

そのままスタスタと近寄られて戸惑った。


「あてっ」


そして何故か軽く頭を叩かれる。

いやいやいや、なんで!?


「…お前、何知られてんだよ」


「うひゃっ」


小さく文句を言われたと思ったら、両手で頬を引っ張られる。


えっ、俺が悪いの!?

会長が電話してきたからバレたのに!?


「おい比呂!なんで俺を放ってシロなんかにばっか構うんだよ!ちゃんと答えろよな!」


そんな会長と俺を、転校生は勢い良く引き剥がす。さっきから“シロなんか”とか酷くない?


「うーわァ。会長がこれまた気持ち悪ィ」


「やはり別人ではないですか、アレ」


「怒ってあんな風に人の頬抓る事ある?★」


「キモ、い…」


うん、それはもう良いからこの状況から誰か助けて下さい。


「おやおや素敵な三角関係ですねぇ」


修ちゃんもそんなニヤニヤしてないで助けて!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ