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【BL】いつも側に  作者: Ag/あぐ
第4話「彼等が正義ってヤツですか?」
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10・委員長の心配

「三人共、ご苦労だったな」


何人か風紀委員を付けて加害者生徒達を帰すと、委員長が労いの言葉を掛けてきた。委員長自身は机に座って新しい書類の山を捌いている。


(委員長はまだ、これから別の仕事があるのか…)


「いえ、大した事はしていません」


「何謙虚になってんだよ。あいつらをこんなに早く処罰できたのはお前らのお陰だろうが。正直言うと、流石のお前らでも手こずるかと思ってた。だけど、あっという間に全員風紀室に連れて来られただけでなく、自白までさせるとはな。手間が省けて滅茶苦茶助かったわ。ここに連絡があって平を向かわせた時にはいなかったみたいだが、あいつらを気絶させたのは北嶋とお前らなんだろ?」


「「「……」」」


うーん、間違ってはいない。

確かに俺達がやった。…けど、それは素の俺達であって、今の俺達ではない。


秀君だけだったら素直に頷けるんだけど、現場には北嶋君と山下君もいたからな。もし改めてそこん所確認されたら、話が食い違いそうなんだよね。


その為、俺と修ちゃんと秀君は三人して委員長から視線を外す。で、俺の向けた先は風紀室の扉で、そういえばと先程の光景を思い出した。


(加害者生徒達、凄い勢いで出てったな…)


拘束を解いた後、委員長が「謹慎の間、この二人に会わなくて済むぞ」て言った途端一斉に立ち上がって、修ちゃんが「あなた方が今後悪さをしなければ、もう直接会うこともないでしょうねぇ」と言った瞬間にダッシュだった。見ていて面白かったよ。付き添いの風紀委員は慌てて追いかけてて可哀想だったけど。


「オイなんだお前ら。何故俺から視線を逸らす?特に梅木、お前はずっと俺の事だけ見てれば良いんだよ」


「?あの、ずっと委員長だけを見るというのは流石に無理かと思いますが」


「……マジレスか」


委員長ドンマイ…。

修ちゃんは隠れて俺のシャツぐいぐい引っ張るのやめようか。


「くっ…腐腐。さて、私達は一度教室へ戻りますね」


今笑い方が怪しかった気がする。


「あ、待て。永代と水上は残れ。…梅木は行って大丈夫だ」


そこで何故か俺と修ちゃんだけが呼び止められた。珍しいなと思ったのと同時に、秀君の体が一瞬強ばった気がする。でもそれは本当に一瞬で、視線を向けた時にはいつも通りの秀君だったから、もしかしたら俺の気のせいだったかもしれない。


「分かりました。二人とも、俺は先に教室に戻っていますね。…委員長はあまり無理をなさらずに。では失礼します」


「…ああ」


「はい。教室でまたお会いましょう」


そのまま静かに部屋から出ていった秀君。それを見送って向き直ると、委員長がなんか悶えてた。


「う、梅木が俺の心配をっ…!」


…これ、聞こえないフリとかしといた方が良いんだよね?


「さて委員長様。私達にまだお話か何かあるのでしょうか」


「!…っあ、ああ」


そう修ちゃんがにこやかに話し掛けると委員長はハッとしたように俺達の顔を見た。そして誤魔化すようにコホンッと咳払いをひとつ。そんな事しても意味ないけどね。


「お前ら、本気で風紀に入る気はねぇか?」


(わぉ、直球だなぁ)


さっきそんな事言っていたのは聞こえていたけど、そんなに俺達が欲しいの?まだそこまで活躍していないと思うんだけど。


「ありません」


「ないですねぇ」


「即答かよ。…まぁ、だとは思ってたが」


委員長は結構あっさり引き下がった。


(あれれ?)


「随分とあっさり引きましたね」


「あ?…まぁな。強引な勧誘する程困っている訳じゃねぇし。本人の気持ちは大事だろうが。一応確認しときたかっただけだからな」


思わず聞くと、委員長は苦笑して答えた。


すまん。そう言って目線を下げて謝罪してきた委員長を俺と修ちゃんは静かに見つめる。なんだか続きがあるような気がした。


「…ただ俺は」


そしてそれは間違いじゃなかった。


「はい」


「俺がいるうちに、あいつに強力な味方…仲間を作ってやりたいと思ってるんだ」


「副委員長さんに、ですか?」


修ちゃんの問いにフッと笑みで答える委員長。その姿はなんだか凄く大人に見えた。


「…俺はもうすぐ卒業しちまうからな。信用できないとかそんなんじゃねぇんだ。あいつならら俺の後を任せられる。そう断言できる。けど、そう思う気持ちとは別に、真面目で抱え込み勝ちなあいつがどうしても心配になっちまうんだよ。過保護だろ?」


「「…」」


委員長…。


「それと最近のあいつ、なんだか様子が可笑しくってよ。俺がさりげなく聞いても何も話さねぇ。お前らなんか理由分かるか?」


それを聞きたくて引き止めた。そう言って今度は少し苦しげな表情を作った委員長に、俺と修ちゃんは一瞬視線を合わせて首を横に振った。


確かに今日の秀君は可笑しな所があった。流石委員長はとっくに気付いていたらしい。


何か悩み事でもあるのかな。委員長がさりげなくとはいえ聞いて駄目だったのに、俺達に話してくれるかどうか。まぁでも、大事な友達の秀君だからな。悩んでいるなら俺個人としてもどうにかしてあげたい。


俺はそう思って口を開く。


「梅木が誰にも話さず考え込んでいるというのなら、そっとしておくべきでしょうね」


「は…永代!?」


「しかし、僕も彼は真面目すぎる所があると思っています。今回も一人で悩みを抱え込み、堂々巡りに陥っている可能性がありますね。なので、僕もそれとなく聞いてみます。では、失礼します」


「ふふふ、永代君は素直じゃないですねぇ。私もこれで失礼致しますね、委員長様」


俺は委員長に一方的に伝えるとさっさと部屋を出た。後ろから修ちゃんが笑いながらついてくる。


扉が閉まる寸前「あれが噂のツンデレってやつか?」と呆然とした声が聞こえたけど、今のツンデレだった?

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