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【BL】いつも側に  作者: Ag/あぐ
第4話「彼等が正義ってヤツですか?」
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09・処罰

「なんだこの状況…」


それから暫くすると、奥の部屋から委員長と秀君が出てきた。委員長の呟きに、俺と修ちゃんは同時に手を止め顔を向ける。


「おや。海道委員長様に梅木副委員長さん、お話は終わったのですね」


「はい、終わりましたが…なんですか、これは…?」


修ちゃんがにこやかに二人に近寄ると、そんな修ちゃんに秀君は俺達の背後を指差して困惑気味だ。


「ああ」


俺達の背後。


後ろで手錠により拘束された両腕、紐で一括りにされた両足。そんな状態で転がされている生徒達の事だね。青い顔でプルプルと震えて芋虫みたい。


これは修ちゃんが、微笑みながら一人一人に何かの写真を見せながら囁いている間に出来上がった作品だ。俺は足の紐を手伝った。


「君達ばかりに仕事をさせるのは悪いかと思ってな。少しばかり彼らに大人しくしてもらっていたんだ」


「ふふふ、今ならきっとなんでも話して下さいますよ」


「…」


「…」


あれ、二人とも黙っちゃった。ちなみに他の風紀の人達は部屋の隅で固まっている。


「あー…、なんつぅか」


「?」


委員長がポリポリと額を掻く。


「とんでもない奴等を入れちまったっていうか。…まぁ、かなり得したな」


「………ええ」


このまま風紀に欲しいくらいだぜ、と呟く委員長に秀君も黙って頷いた。


「おや。我々はお役に立っておりますか?」


「かなりな」


それは良かった。少しでも負担を減らすことが出来たみたいだ。


「それより被害者の様子は?」


「え?あ、ああ…」


加害者生徒達の元へと戻る修ちゃんと委員長を横目に、俺は秀君に聞いた。


「それが…」


えっ、何かあったの!?


秀君は何故か苦笑して背後の扉を見た。


「話はきちんと聞けたんだが…北嶋雄大が山下悟を決して離そうとはせず、なんだか気まずいというか、微妙な空気だった…」


「…………そうか」


まぁでも、それくらい今回は許してあげてほしい。一緒に現場に駆け付けた秀君なら分かっていると思うけど。


ここはなんとなく空気を読んで、暫く被害者組の事はそっとしておく事にする。彼らならこんな所で盛り上がったりはしないだろうし。


「では、海道委員長様にきちんとお話ししてくださいますよね?」


「「「っ…ハ、ハイ」」」


そんな結論で俺と秀君が修ちゃん達に意識を向けると、丁度加害者組から話を聞く所だった。


修ちゃんは一体なんの写真を見せていたんだろう。俺と修ちゃんの姿を見た時点で大人しくはあったけど、あんなに騒いでいた生徒達が今ではすっごく従順になっている。てか脅えてる。


「っ…お、俺は、結城の親衛隊と小向兄弟の親衛隊に頼まれた」


「っ…俺は久山の親衛隊と緒方の親衛隊だ」


「皆ターゲットが同じだったんだ!だ、だから全員で…ッ」


「あの平凡をヤったら、あいつらも俺達の相手をしてくれるって言うからっ…!」


「………おやおや」


彼等はビクビクしながらも正直に答えた。そんな彼等に俺達は溜め息を吐く。


親衛隊の綺麗所に相手をしてもらうというそんな小さな約束なんかで、山下君をあんな目に合わせたのか。


思わず舌打ちする。それを聞いて彼等は肩を跳ねらせたけど、何ビビってんだよ。


「まぁまぁ、永代君」


「黙れ悪魔。貴様こそ何をする気だ」


「いえ、そんな大した事ではありませんよ。少し彼らの頭をスッキリして差し上げようかと…」


あーらら。これは修ちゃんもご立腹だね。


唐突にどこからかバリカンを取り出すと、格好良くセットされている髪に近付けていく。


「ヒッ!?そ、それだけはっ…」


「坊主はやめてくれ!坊主だけはやめてくれぇ!!」


「遠慮なさらずに。きっと似合いますよ」


「いやだぁあああああ!!!」


「ごめんなさい!ごめんなさいぃいい!!」


「母ちゃああああああん!!!」


容赦なく修ちゃんは電源を入れる。ウィイインという音に彼等はもう涙目だ。そんなに坊主が嫌か。今まで行ってきた悪事に比べると甘い罰すぎるのに、打たれ弱すぎでしょ。…そして修ちゃんはもの凄く良い表情だ。


「…おい悪魔、貴様」


「副会長っ!」


「永代ぉおおっ!!」


そんな修ちゃんに俺はストップを掛ける。何故か加害者達が俺にすがってきたけれど、


「床に何か敷いてからにしろ。掃除が面倒だ」


「「「えぇえええ!?」」」


こっちが「え?」なんだけど。俺がやめさせるとでも思ったの?そんな訳ないじゃん。


「ッ…ふっははは!こ、こいつらマジ風紀に欲しいわ!」


「………委員長」


近くで見ていた委員長の爆笑する声と秀君の疲れたような溜め息が聞こえた。


でも俺達、正式に風紀に入る気はないからね。


「はー…笑った笑った。でもそろそろそこら辺で終わりにしろよお前ら」


全員の髪を両サイドだけ刈り上げていたら、委員長のストップが掛かってしまった。ゆっくりじわじわと全剃りしたかったんだけどね。


「ふふふ、委員長様の命令とあれば仕方ないですねぇ。残念です」


本当にね。


カチッとバリカンのスイッチを切って修ちゃんは立ち上がる。修ちゃんの腕が良いからなのか、逆にちょっとイカした髪型になっちゃってる。これじゃあこいつら鏡で自分達の髪型見たら喜んじゃうかも。全員全く同じ髪型なんでちょっと可笑しい感じだけど。


恐怖による視野の狭さでそれに気付いていない加害者の彼等は、委員長にキラキラとした視線を向けた。地獄のような状況から救ってくれた救世主、みたいな?


「これまでてめぇらがやってきた事は決して許されるもんじゃねぇ。今回だって、未遂とはいえ親衛隊連中に手を貸して強姦までしようとしたんだ。本来なら退学処分にしてやりてぇ所だが…」


眉間に皺を寄せ苦々しく言う委員長。

“してやりてぇ所”って事は退学にはしないのか。


「理事長の許可がおりなかった。お前らの親には多額の寄付を受けてるんだとよ」


はぁ!?何それ!

そんな事ありなの!?


俺は何度か会った事のある理事長の顔を思い出した。以前転校生の案内を頼んできたのも理事長だった。でも俺は理事長の事はあまり好きじゃない。多分修ちゃんも。だから理事長の前では素を出した事もなかった。そしてそれはやはり正解だったみたい。


理事長は生徒の心配ではなく、寄付金の方を心配するような人だったんだ…。


「だからてめぇらには一週間の謹慎を下す」


なんとも納得のいかない処罰だ。これでは彼等はまた同じ事を繰り返すかもしれない。また被害者が出る。そうなったらどうするんだ。どうしてくれるんだ。


ああ、そうだ。ここはそうならないように今のうちにもっと修ちゃんに脅しかけてもらおうか。


「「「「ほ、ホントすみませんでしたぁあああああ!!!」」」」


「あ?」


「「「「!?」」」」


(って、あれ?)


皆して処分の軽さにやるせない気持ちで黙っていると、加害者の生徒達が揃って謝罪を口にする。芋虫のような格好で転がっていたが、なんとか土下座のような仕草も見せてきた。


流石にこれには驚く。一体何事だい。


「…おい、何の真似だ?」


委員長が頬をヒクヒクさせながら聞く。

すると彼等は何故か俺と修ちゃんをチラッと見てから顔をさらに青くして口を開いた。


「頼む!親なんて関係ねぇ、俺を退学にしてくれ!」


「何度でも謝る!だから俺も退学が良い!!」


「俺自身は親のせいで自主退学出来ねぇんだ!」


「この魔王コンビとはもう一生関わりたくねぇええ!!」


「「…」」


酷い言われようじゃん?


あ、委員長と秀君が俺達に向かって「一体こいつらに何したんだ?」みたいな視線を向けて来る。でも実際に脅したのは修ちゃんだから、俺にも分からないかな。


でもこの様子なら彼等、退学にしなくてももう絶対悪さはしないよね?


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