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【BL】いつも側に  作者: Ag/あぐ
第4話「彼等が正義ってヤツですか?」
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03・証のピアス

「おや、今からお仕事ですか?」


「あ…うん、そうなんだァ」


「…おはようございます」


つい気まずい空気が流れる。

いくら俺達の為に頑張ろうとしていても、今までの態度に負い目を感じているんだろう。


「えと…あっ、水上先輩も永代先輩も何持ってるんですかぁ?」


空気を明るくする為なのか緒方が努めて明るい声で聞いてきた。


「ああ、これですか」


「風紀に行く前に、荷物をまとめていてな」


「昨日出来なかったものですから」


「あ…」


「……」


でも話題選びを間違ったね。

再び気まずい空気に…。


すると修ちゃんがフォローするかのように、段ボールをひょいと皆に見せつけるようにして持ち上げた。


「まぁ、ほぼ生徒会にも風紀にも必要のない私物ばかりなのですけどね。例えば、×××に××××する為の、少々痛みの伴う××とか、×××に×××を×××する為の、××みたいな物とかですかね」


え、修ちゃんの机の中そんなもん入ってたの?エグすぎない??


って違うね。流石は修ちゃんだ。

皆の顔色が悪くなった。これはたぶん会計への恐怖心により、いつもの空気を取り戻す感じだね。俺は暫く見守ってようかな。


「永代君もですよね」


(え?)


しかしそんな考えを一瞬で読まれたようで、そう話しを振られて目を合わせると、皆の視線を感じた。


(くそぉ、修ちゃんめ…)


そう思うが、注目されると俺もつい演技に力が入ってしまう。


「貴様と一緒にするなこの悪魔が。僕がそんな物を所持している訳がないだろう。僕の私物は、×××の×××を二度と×××ないよう、独自の×××で××した、××な××××に僕自ら××を××した、既に××済みの××的な××××××だ」


ペラペラと適当に口走っていくと、皆の顔色がますます悪くなっていく。一瞬これはやり過ぎたかもと思ったが、そんな心配はいらなかった。


「っ…ぷは!ミナミナもハルハルも相変わらずすぎィ~」


「副会長、水上先輩との違いが全く分かりませんよ」


「あはは☆てか永代先輩の方がエグいですよぉ」


「二人、いつも通り…」


皆が急に笑いだしたのだ。どうやら上手く俺達のペースに乗せられてくれたみたいだ。


(良かった)


いつまでもあんな気まずい空気というか、関係を続けていたくはないからね。


「では皆様、私達はこれで…」


「あっはい!」


「俺達頑張るしィ」


久しぶりの雰囲気で暫く会話して修ちゃんがにこやかに告げると、皆は少しだけ名残惜しそうに俺達を見つめる。


「中を見ても諦めるなよ」


俺がさっさと中に入れとジェスチャーしながら告げると、四人は渋々俺達の横を通る。応援のつもりだったんだけど、生徒会室の中を見て固まる彼らに、あまり意味はなかったなと思った。


「…まぁ、せいぜい頑張れ」


違う台詞で再度背中を押すと、やっと四人から絞り出すような声で返事をもらう事ができた。


俺と修ちゃんは荷物を廊下に置くと、さっさと教室に向かう事にした。仕事をやらなくて良くなったので、今日くらいは授業に出ようという事になったのだ。委員長もきっと、今日くらいは許してくれるはず!


「あ」


階段を降りていると、下から会長が上がってきた。まだ隈は残っている。


「おはようございます、会長様」


「あ?…ああ、てめぇらか」


会長は修ちゃんの声でやっとこちらの存在に気付いたようだ。ちょっとボーとしていた。


「君もこれから仕事を?」


「…まぁな」


「そう」


視線を合わせずに答えてくる。俺は思わず目を細めた。


「…頑張って」


「おぅ。……あっ?」


擦れ違い様にそう言うと、驚いたように振り向かれた。でも俺は気にせず階段を降りようとする。


「っ…!?」


(って、わっ?)


しかし、急に腕を掴まれた。

思わず目を見開き会長を見つめる。


「…ちょっと、腕。何?」


「っ!?…あ、な、なんでもねぇよ」


俺も吃驚したけど、会長の方が俺以上に、自分の行動に驚いている様子だった。


急に今の俺が“頑張って”なんて言ったから驚いたのかもしれない。こんな事、今までの付き合いで一度たりともなかった事だしね。


「永代君」


「ああ、分かっている。会長、僕達は行くよ」


「あ、ああ…」


会長大丈夫かな。俺としてはそんな驚かせるつもりはなかったんだけど。


「ハル」


「ん?」


会長から離れ、誰もいない廊下を歩いていると、修ちゃんが小さく呼び掛けてきた。その声に俺は顔だけを向ける。修ちゃんは何故か満面の笑みを浮かべていて。


「グッジョブ!」


朝から最高の萌えをありがとう!そう言って、俺に親指を立てて見せてきた。


「…いや、どこに萌えたの?」


俺は不思議にそう返すしかないのであった。


+++


渡り廊下を抜け、教室のある一般棟にやってきた。登校時間帯なので生徒達で廊下が賑わっている。ここ最近は気分転換にたまに校舎裏とかに出る事はあったけど、ほぼ特別棟と寮の往復ばかりだったのでなんだか懐かしさを感じてしまう。


「そういえば永代君」


「なんだ悪魔」


俺達が通ると余計に騒がしくなる廊下を進み、教室へと向かいながら目を合わせずに会話をする。


俺と修ちゃんは同じクラスだ。というか同年の生徒会メンバーや風紀メンバー、顔や家柄の良い人気ランキング上位の人間はほぼ全員がこのクラスに集まっている。なのでもちろん会長も久山も、あと秀君も同じクラスだ。最近忙しくて教室で会う事はないけど。


「今日の授業でクラスの出し物を決めると、担任の重増(しげます)先生が仰ってましたね」


「…それがどうした」


あ、そうなの?

修ちゃんはいつ先生に聞いたんだよ。


「私達のクラスは何をするんでしょうねぇ」


「僕が知る訳ないだろう」


そう言いながら俺も気になる。


去年は何をやったんだっけか。そう思い、しかしすぐに気付いた。


去年は確か、生徒会の補佐として駆り出されてクラスの出し物には参加出来なかったんだった。何をやってたのかさえ覚えていない。これはこれでなんだか寂しいな。


『二年の永代と水上。今すぐ風紀室に来てくれ』


そのまま修ちゃんと会話を続けながら歩いていると、もう少しで教室だという所でそんな放送が流れた。


この声は委員長だ。

もしかしなくてもこれは…。


「永代君」


「ああ」


修ちゃんの呼び掛けに、大人しく方向転換する。


うん、そうだよね…。

生徒会が仕事を再開しても、どこの委員会も忙しさは変わらないよね。風紀なんて特に忙しいよね…。授業を受けてる余裕なんてないんだよね。


「悪ぃな、早速仕事だ」


俺達が風紀室に入ると、机で書類を処理している委員長に言われた。


「永代に水上、これを…」


呼ばれて右を向くと、秀君が何かを差し出してくる。


「一応、風紀の証だ」


「……」


受け取り小さなそれを見つめて僅かに首を傾げてしまった。


(これ、ピアスだよね?なんでピアス?)


顔を上げ、秀君に目で問い掛ける。


「ノンホールピアスだから穴はあけなくても大丈夫だ」


いやいや、そんな事を聞きたいんじゃなくて。


「何故ピアスなんですか?」


俺が内心で秀君に突っ込みを入れていると、修ちゃんが代わりに聞いてくれた。


「あ…それは」


「?」


しかしそんな疑問に、秀君はものすごく言いにくそうな表情。


「梅木?」


「何年か前の委員長が…」


(うん…?)


「暴れる違反者を取り締まる時にチラリと見えるピアスが色っぽくて良いよな、と言い出したそうで、それから…」


「「……」」


…うん。

風紀にも色々あるんだね…。

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