表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【BL】いつも側に  作者: Ag/あぐ
第3話「修復可能ってヤツですか?」
31/54

05・全体会議

『これから全体会議を行います。各委員会代表と担当の先生方は特別棟第2会議室へ集合してください』


本日最後の授業終了チャイムが鳴り終わり暫くすると、そんな放送が校舎全体に流れた。当然会長達にも聞こえた筈だ。


生徒会室でそれを聞いた俺は、軽く息を吐きながら机の上を片付け席を立つ。


「ハル」


「うん」


既に立ち上がっていた修ちゃんが会議で使う書類や資料などを持って近寄ってきた。


「緊張してるか?」


「ううん。修ちゃんは?」


「俺も」


「だよねー」


お互い顔を見合わせて、つい笑ってしまう。


「行くか、ハル」


「うん。行こう、修ちゃん」


扉に手を掛けて、同時に無表情と微笑みを浮かべる。会議後、俺達が戻るのは、生徒会室(  ここ  )か風紀室か。


「…」


何やら急激に、甘いものが食べたい気分になった。


+++


『第2会議室』


第2会議室は、生徒会室と風紀室がある階の、下の階にある。この階にはいくつか会議室があるのだが、第2会議室が一番広い作りになっていて、大事な会議はだいたいこの部屋で行われる。


「着きましたね」


「…ああ」


廊下を進むと室名札が見えてきた。扉は解放されていて、向かい側から委員代表達がちらほらと中へ入っていくのが見えた。俺達もさっさと入ろうと歩みを早めた所で丁度、風紀代表二人の姿を認める。あちらも俺達に気付いたようで、委員長が片手を上げた。


「よぉ、お二人さん」


「これはこれは。海道委員長様、梅木副委員長さん、こんにちは」


「本日は宜しくお願いします」


俺と修ちゃんが軽く頭を下げると、委員長はふっと笑った。秀君はそんな委員長の後ろで何やらそわそわしていて。


「?」


(どうしたんだろ…)


「どうした梅木」


「!…あ…永、代」


委員長の後ろをひょいと覗き込むと、秀君は今やっと俺に気付いたみたいだった。何故か若干涙目になっている。


「…い、いやそのなんか…自分の事じゃないのに…結城会長達はちゃんと来るのか、とか考えてしまって…き、緊張を…っ」


「!」


(は?何、この良い子!優しい子!)


思わずキュンとする。スキンシップは苦手な方だと思っていたけど、今猛烈に抱き着きたくて仕方がない。俺が必死に悶えに耐えていると、ふいに肩をつんつんされる。


振り向くと修ちゃんが何やら指差していた。


その方向に視線を向けると、委員長が何故か右手で顔を覆って震えていて思わず目を瞬く。


「?」


え…何してんの?


修ちゃんにそう目で問い掛けてみると、口パクで『萌え』とか言われたけど、俺にはよく分からなかった。


「…とうとう今日だな」


「そうですねぇ」


気を取り直して。

委員長が俺と修ちゃんを見て、ニッと笑いながら言う。すると修ちゃんも微笑みながら同意した。


「約束は覚えてんだろうな?」


「はい。委員長様は私達がそんなにも早く約束を忘れてしまうような人間に見えるんですか?」


「そりゃあ違ぇけどよ。…これはあれだ。お約束の確認ってやつだな」


「ああ、成る程…そういう事ですね。確かにドラマ然り漫画アニメ然り…このような勝負事には何故か勝負直前に改めて確認を取りますからねぇ」


「だろ?」


「ええ。ではすみませんが、もう一度やり直しましょうか」


「そうだな」


いやいやいや。別にいらないでしょ。


修ちゃんと委員長、いきなり気が合いすぎじゃないかい?委員長が意外にノリ良くてちょっと吃驚だよ。


「委員長」


修ちゃんと委員長がさっきのやり取りを本当にやり直そうとしていると、大分落ち着いて真剣な表情で黙っていた秀君が、腕時計を見てから委員長を見上げた。


「そろそろ中に入った方が…」


「あ?…ああ、そうか」


そこで委員長も自分の時計を確認して頷いた。


「ま、とにかく。結城会長とその仲間たちが来なかったら、お前らは風紀(オレ達)のもん、だからな」


そう言ってそのまま扉をくぐる。


「永代」


「梅木?」


そのまま続くと思われた秀君だが、何故か俺の手を取り目を合わせてきた。


「きっと、大丈夫!」


「!」


秀君…。


「ありがとう」


嬉しいよ秀君。


「…」


でもね…。


なんか委員長が室内からすっごいガン見してきてるから早く行ってあげな?


会議室に入ると既にほとんどの席が埋まっていた。皆一斉に、席へと向かう俺と修ちゃんを見てすぐさま視線を反らす。…ちょっと傷つくよ?


「副会長」


生徒会の指定席に座り、参加者が揃うまで暫く書類や資料を見直していると、どこかの委員会の人に呼ばれた。顔を向けると彼は少し言いにくそうにしながらも俺に伝えてきた。


「あの、生徒会以外…揃いました」


生徒会の席は、俺と修ちゃん以外は空席のままだ。


「…」


はぁ…と無意識に溜め息が溢れる。


チラリと修ちゃんを見るが、修ちゃんは前を向いたまま微笑んでいるだけ。


次に委員長に視線を向けてみると、やれやれといった表情で頬杖をついていた。秀君は俯いていて表情が見えない。


会長達は来なかった。


俺は、不思議な事に何の感情も浮かばない。無表情のまま、一度立ち上がって挨拶をしてから、会議の進行を始めた。


+++


各委員会から話を聞いていき、会議も終盤に近付いてきた。全委員会の報告が終わると、最後に行事についての話し合いがある。委員の報告最後は風紀委員会だ。俺はこの時になってやっと会長達に感情が向いた。


まだ、まだ時間はある。

会長達は、会長はきっと…。


「報告の最後は俺達風紀委員だな。最近の学園についてだが…」


委員長がガタリと立ち上がり、手元の資料を見ながら報告を始める。


転校生の名前が上がり、それについての対策等が話される。けれど、あまり頭に入ってこない。


「副会長」


軽く俯き、じっとノートに視線を向けていると、何やらツンツンと太股辺りをつつかれた。


え?と顔を上げ前を向くと、委員長と目があった。


「永代副会長、風紀の報告は以上だが…」


「ああ、すみません」


内心だけ慌てて席を立つ。


後で修ちゃんにお礼を言っておかなくては。修ちゃんに足をつつかれなきゃ暫くあのままだったと思うから。


「では、以上で報告は終わりにして、次は今後の行事に…」


途中で言葉が途切れる。皆が不思議そうにしてるけど俺はそれ所ではなかった。


自然と視線が扉に行く。


「?」


「副会長?」


俺の視線に気付いたのか、皆も怪訝気味に視線を扉に向けていく。すると、


バン!と大きな音を立て、扉が勢い良く開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ