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【BL】いつも側に  作者: Ag/あぐ
第2話「恋のライバルってヤツですか?」
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05・親衛隊による制裁

今日は二限目まで授業を受けてから、その後修ちゃんと二人きりの生徒会室で仕事をして過ごした。ある程度捌けた所で、今は校舎裏の秘密の場所で昼寝中だ。まぁ秘密といっても誰もが利用出来るガゼボなんだけど。何故か奥まった場所に建てられているので、ここも他の生徒達には知られていない寛ぎスペースの一つだ。


顔を柔らかい毛が擽り目を覚ます。

詳しくはないので種類は分からないが、薄黄色っぽい縞模様が入った猫が甘えるように身体を擦り付けてくる。


「んー…バニラおはよぉ」


他にも、俺の周りには愛くるしい猫達が囲うようにして寝そべっている。この猫達には俺が勝手に甘そうな名前を付けた。バニラ、ショコラ、プリン、クリーム、エクレア…等々。定番の甘い物。この子達には首輪がついていて、学園内で誰かが飼っているっぽいのだが、俺がその名前で呼ぶとそれぞれ反応してくれるので気にせず呼び続けている。


「さてと」


猫たちと戯れ、満足した所で立ち上がる。そろそろ放課後といえる時間帯だし、生徒会室に戻ってまた仕事をしなくては。


ぐっと伸び、欠伸をかましてから歩き出す。暫くすると、何やら校舎の方が騒がしい。


「結構いるな…」


なんとなくの人数を予想しながら近づいていくと、しかしふと背後から可愛らしい鳴き声がして、俺は慌てて振り向いた。


「ありゃ、着いてきちゃったの?駄目だよバニラ」


当然俺の言葉は伝わらず、足に頭やお尻をすりすりと擦り付けてくる。バニラは雄で、あの猫達の中で一番懐いてくれているんだ。だから俺もこの子を一番可愛がってしまう。


今から向かう先で、声の主達に気づかれたくはないんだけど、ここまで甘えてくるバニラを追い返したくもない。可愛いは正義。と言う事で、俺はバニラを抱き上げて、そのまま騒ぎの方に近づいた。バニラが抱っこ好きの猫で本当によかった。


「だから、あんたみたいな奴が近付いて良い方達じゃないんだよ!」


「そうだよ!身の程を知れこのオタクが!」


「なんだと!お前ら人を見た目で判断するのか!?最低だな!それに比呂達はお前らみたいなのがいるから友達が出来ないんだ!俺はあいつらの為にも絶対お前らの言うことなんて聞かねぇ!」


うわ何だこれ。

騒ぎの元に近づくと、そこには、ボサボサ頭が特徴的な例の転校生と、そんな彼を囲う可愛らしい容姿の少年達がいた。何となく見た事がある。たぶん会長の親衛隊の子達だ。


「それと、お前らじゃねぇのか!俺の下駄箱にゴミ入れたり、机に落書きしたのは!」


え?転校生そんな事されてるの?

俺も小学生の頃、下駄箱に紙がいっぱい入ってて、それを修ちゃんが回収してくれたり、机の中にも「女子だ」って書かれた紙入れられたり嫌がらせされたなぁ。ひどいよね、俺どう見ても男なのに。地味に精神にクるよね。


「はっ!そんなのまだ序の口だよ!今日は忠告だけにしといてあげるけど、今後も結城様に付きまとう様なら、もっと酷いことが待ってるんだから!それが嫌なら、身の程を弁えて今後の過ごし方を改める事だね!」


「はぁ!?ふざけんな!そっちこそ何様だよ!そんなんだから親衛隊は嫌われてんじゃねぇのか!?」


「!う、うるさい!何も知らないくせに!あんたみたいな奴に僕達の何がわかるっていうの!」


うわー。

なんか急に殴り合いが始まってしまった。


「ぎゃっ」


「あがっ…」


でもやっぱり転校生、強い。…いや、親衛隊の子達が弱すぎるのか。


転校生は一切手加減をしない。思い切り蹴り飛ばし、殴り飛ばす。素人相手に強者がする事じゃない。


これは俺、出た方がいいかな。


「止まれ風紀委員だ」


と、そこで。俺のいる場所とは真逆の方から二つの陰が。途中から気付いていたけど、思ったより早かったな。


「ふ、風紀っ?」


「か、海道様!」


「梅木様もっ…!」


お。見知った二人だった。

俺はそのまま陰で様子を見守る。


「一般生徒から、結城比呂生徒会長の親衛隊に転校生の二堂楓が呼び出されたとの情報が入った。お前ら親衛隊の規則だと、今回は忠告だけの筈だが?」


「それはこいつがっ…」


「言い訳は聞き入れません」


「う、梅木様っ…」


オレンジ色の派手な髪に、装飾品をジャラジャラと身に付けた高身長の男前と、制服を軽く着崩しただけの真面目そうな、しかし強面の美青年。一見不釣り合いの二人だけど、ものすごく息が合っている。


「おい梅木」


「はい委員長。…ここにいる、君たち全員には風紀室に来てもらいます。もちろん転校生の君もです」


「は、なんで俺も!?俺はこの後比呂に呼ばれててっ…」


「うっせぇチビだな。お前も親衛隊の奴らに手ぇ出しただろうが」


「なっチビじゃねぇ!それに手が出ちまったのはこいつらがっ…」


「今回は正当防衛なんて言葉は通用しないですよ。全て見てましたから」


「おめぇが余計な事を言わなければ暴力沙汰にはならなかったと思うぜ?俺は。それに、ちょいやり過ぎたな」


「うっ…それは」


はい。風紀の勝ちだね。転校生は何も言い返せなくなった。


「委員長、副委員長っ…」


その時丁度、二人以外の風紀の人達が到着した。転校生と親衛隊の子達は風紀委員にまとめて連れていかれる。だからその場には、隠れている俺と、風紀委員長と副委員長だけが残った。


「…ふぅ」


俺もそろそろ退散するか。いい加減生徒会室に戻らないと、修ちゃんに調理室立ち入り禁止令とか出されちゃう。


「待て。さっきからそこに隠れている奴。いい加減出てきたらどうだ」


「ありゃ」


これって俺の事だよね?


「早く出てきた方が身のためですよ」


副委員長にまで言われてしまった。


「はいはい、今出ますよー」


俺はバニラを地面に下ろしてから、二人の前にゆっくり姿を現した。

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