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【BL】いつも側に  作者: Ag/あぐ
第2話「恋のライバルってヤツですか?」
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03・探し人

「会長様」


「!」


はっとする。今の“会長様”は、俺じゃない。

突然背後から、聞き慣れた第三者の声がして慌てて振り向いた。


「水上か」


そう、修ちゃんだ。俺は一応気配には敏感な方なんだけど、全く気付けなかった。なんでドア開く音しないの?なんで足音忍ばせたりするの?毎度驚かされる身にもなってほしい。


「お探しの方は見つかりましたか?」


「…いや、いねぇ」


俺が心の中で騒いでいる間にも二人は会話を続ける。


「でしょうね。ここには見知らぬ生徒とお菓子くらいしか見当たりません」


今なんか“見知らぬ”の部分が微妙に強調されていたんだけど…。


「…チッ、もう良い。水上は先に生徒会室に戻ってろ」


「…」


「この学園に黄金がいるって事だけでも分かったんだ。焦る事はねぇ」


「そうですか。わかりました。では私は先に戻ってますので」


「ああ」


え?相当手こずっているって話だったのに、とうとう黄金の居場所が分かったの?今の会話からして、やっぱりこの学園の生徒だったの?


ドキドキと嫌に心臓が鳴る。修ちゃんが意味有り気に俺をちらっと見てから立ち去った。


『だから隠れろって伝えたのに。なんで接触してんだよ、バカハル』


数秒後にそんなメッセージが届いたが。


うわ。どう言い訳しよう。


「おいシロ」


「!は、はいっ」


返事に『(>ω・)てへぺろ☆』と打つと、すぐ様『アホ』と送られてきた画面を、会長の声で慌てて隠す。一応机の影でやっていたので気付かれずに済んだっぽいけど。


「気が向いたらまた来てやるよ」


いやいや。

最後の最後に俺様な上から発言ですかっ…。


「ッいえいえ、結構ですから!」


副会長の俺と会計の修ちゃんにとってはかなり困る発言だ。


「おめぇに拒否権はねぇよ、じゃあ“またな”」


そう偉そうに言うと、会長はニヤリと笑って去って行った。


くそぉ!格好良いなんて思ってないんだからね!!


+++


「で?」


「ハイ。あれだけじゃ意味が分からなかったし、アイスボックスクッキー食べたかったから、作ってました」


夕飯時。

ここは修ちゃんの寮部屋で、俺はリビングの床に正座して修ちゃんに先程の会長との接触について説明していた。


「そしたらいきなり会長が」


「入ってきた?」


「…ハイ」


俺が小さく頷くと、修ちゃんは深い溜め息を吐く。やっぱり怒ってるのかな。


「ハル」


「はい」


「そういうのは俺が見てる所でやってくれよ!なんだよ!この萌える展開!!」


「…………へ?」


「この接触イベント、いつかは起きると思ってたんだよ!でもなんで今日なんだ!会長、突然出て行くんだもんな!間に合わねぇよ!それで二人を会わせないようにハルに連絡したっていうのによぉおお!!」


「は?え?あ、あの…修ちゃん?」


「昨日も!俺の観察対象の二人がいつの間にか一緒に管理人室に寝泊まりする事になってたしよぉおお!!」


最近俺まじタイミング悪すギルぜ!と喚く修ちゃんに、思わずポカンとしてしまう。怒ってた訳じゃないのか。…ていうか、


修ちゃんが壊れた。


どこかで頭でも打ったのだろうか。それとも何か変なものでも食べたとか…。


「あの、修ちゃ」


「あ、気にすんな。今の俺は腐男子タイムで大反省会中だから」


「そ、そう…」


それならまぁ安心…なのだろうか?


「それより会長はなんであそこに来たの?」


あの調理室は前にも説明したが、あまり生徒には知られていない場所だ。


「修ちゃんもあそこに会長が来る事分かってたみたいだし…なんで?」


首を傾げて聞いてみると、何故か修ちゃんがふっと笑った。


「修ちゃん?」


「ハルが素の時幼く見えるのは今みたいな仕草とかが原因だよな」


「え?なんだよ急にー」


流石にムッとする。俺は幼くない。


「ははっ悪い悪い!…実はな」


全然悪びれた様子じゃなかったけど、俺もそこまで怒ってた訳じゃないし、修ちゃんの言った事だから気にしない事にした。


でだ、修ちゃんの説明によると、原因は転校生の発言によっての出来事だったそうな。


なんと、会長達が疑っていた通り、転校生は黄金の知り合い、又は関係者だったみたいだ。


俺が去った後の生徒会室で、修ちゃんが人数分のお茶を配り終えて退出しようとした時。会長が隣に座る転校生を引き寄せながら黄金について聞くと、転校生は途端にもじもじしながら少し拗ねた口調で言ったそうだ。


「この学園にいるし!」


その言葉にブレイクメンバーの顔色が変わった。


「楓それ本当ォ!?」


「楓ちゃん!本当なのっ?」


「え?…あっ」


詰め寄られ、そこで自分の発言を思い出して遅まきながら慌てて手で口を覆ったが、そんな転校生を誰も気にせず、会長が無言で立ち上がった。


「結、城…」


久山が珍しく心配そうに彼を見上げる。


「見つけ出す」


「あっ、比呂!?」


そうして一人、黄金を見つけるために校舎内をくまなく探し始める会長。


「そういう事で、調理室にも行く可能性がかなり高くてな。ハルの状況によってはヤバい事になるかもなって思って連絡した。俺もその時には移動してて、焦りもあったし、理由打つのももどかしかったんだよ」


「…そ、っか」


やっぱり会長は黄金を探してたんだ。でもなんで会長はそこまで必死に探してるんだろうか。


「大丈夫かハル?」


「え、わっ!?」


くしゃくしゃっと優しく頭を撫でられた。なんだかまた子供扱いだ。


「同い年ー!」


「ふはっ」


俺が口を尖らして修ちゃんを見上げると、修ちゃんはそう笑った後「あ」と口を開いて疑問顔。


「そういえば、ハルって動物並みに気配とかに敏感なのに、俺は兎も角、なんか会長にも気付かないよな?」


「へ?」


修ちゃんの発言に俺はまぬけな顔をしてると思う。


「そんな事…」


そう言いながらも思い出す。

転校生と初めて接触した日。食堂へ向かう際に会長が生徒会室の前で待っていた時も、黄金について修ちゃんに話を聞いた日、扉の前で出会した時も、今日の調理室で接触した時も…。


「あ…」


「だろ?」


これは否定できないみたいだ。修ちゃんが何故か物凄くニヤニヤと見てくる。なんだよぉ。


「そういうの萌えるなぁ、ハル?」


「い、意味がわかりませんー」


思わずフイッと顔をそらす。そうだ。そんな事よりも、俺は修ちゃんに聞きたい話があるのだ。


「…ねぇ、修ちゃん」


「ん?」


「転校生って最初、会長の事嫌がって避けてたよね。なのに今日には仲良くなってて、距離縮んでて、昨日俺が出てってから何があったの?」


俺が俯きがちにそう聞くと、そっと修ちゃんに手を取られ、立ち上がらせられた。そのままソファーに座るよう促される。


「ちょっと待ってな」


修ちゃんはすぐに戻ってきた。何か色々手に持って。


「…これは?」


テーブルに置かれたいくつもの、


「小型カメラだな」


「小型カメラ…」


「そしてこれが編集したものになります」


「編集…」


ドンとノートパソコンを置かれ、モニターを向けられる。


「昨夜は苦労したなぁ」


「え?」


もしかして、今日疲れた顔してたのって長時間の演技強いられたり、転校生の相手に疲れてただけでなく、これ編集してたから?


「俺に抜かりはないぜ」


「修ちゃん…」


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