思い出のクッキー
兄の受験がやっと終わった。
落ちたのがなかった。
おめでとう。
まぁ、繰上げ合格が半分以上だったけど。
おめでとう。
受験が終わったら、クッキーを作りたいって言ったの。
兄、、、いっくんって呼んでるんだけどね、いっくんが作るお菓子は丁寧だから美味しいの。
「私のレシピ本のクッキーは美味しくないよ。」
って言ったら、
ネットからレシピを引っ張って来て作ったみたい。
味はね。
美味しいの。
すっごく。
もう、涙が出ちゃうくらい。
いや、涙が出そうなのは、このクッキーの味が2年前に親友だったあの子が作ってくれた最初のクッキーと同じ味だったから。
サクサク、ほろろ。
誰が食べても美味しいって言うと思う。それくらい美味しいんだけどね、あの味は私を未だに縛ってるの。
物理的に縛ってるんじゃないよ。
ただね。ずっと、あの子との思い出に囚われてる。
って感じなの。
多分もう、抜け出せない。