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転生悪魔は街まで歩く

無限回廊からの帰還、祝福しよう。

まぁ、幻術対策を今度からするがよい。

いくつもの礼、貴様らが迷宮で遊んでいる間に頂戴した。それから対価にあの魔術師ももらって行く。


ラプラス

ーーー


そんな置き手紙をしてあの場から逃げて来た。もちろん荷馬車を漁って高級そうなアイテムを山ほど貰ってきたが。

自慢の奥義が破られてうなだれるアリーシャを連れていまは街に向かっている。

いい奴らだったが寝ている間に魔物に食べられたって知ったことではない。

しかし面白いものを見させてもらった対価に魔界より召喚した"狂いの魔剣"という動いて浮いて敵を勝手に殺す剣型の悪魔を置いて来てやったが。

無限回廊といえど無限なのは回廊(迷宮)の中で無限に囚われるわけではない。

時間としては10分の移動制限だが、体感時間は5日くらいらしい。

らしいというのはゲーム時代の魔法の説明欄にテキストとしてかかれていたからだ。

敗北を認めたへっぽこ天才魔術師をつれ道を歩く。

「おい、どっちだ」


「あっち」

斜め左をさすアリーシャ。


「おい、」

「なんですか」

「貴様、幻魔と契約しているだろ」

「幻魔?しりません」

もっとまともな嘘言えよ。

知らねーわけねーだろ。じゃあどうやって魔術師になったんだよ。


「惚けるな、魔術師が魔術師たるには悪魔と契約する必要があるのだ、まさか我を魔術師とわかった上で魔術師狩りに怯えているわけではなかろう」

「は?待ってなんの話」

「なんのだと?魔術師の話である」

話がすれ違ってる?


「それに精霊様を"悪_魔"といかにも悪そうな言い方で呼ぶってどういう神経してるのアンタ!」

「はっ、精霊?あー、精霊……なるほどね」

かわいそうに騙されてるよ。精霊の方が良さそうだもんね。でも悪魔だから人間を騙して悪魔陣営に引きずり込もうとしているんだよ?

「それにアンタ古代精霊でしょ!神木の所有者でしょ、アンタが知らないわけないじゃない!私を試してるの?馬鹿にしてるの!?……私だってアカデミーでは学歴トップだったんだからね!」


は?あの魔術で学歴トップ?ワロタ。井戸の中の蛙とはよく言ったものよ。


「神木?知りませんなぁ。はてなんのことやら。私め、神木も古代精霊も存じません……ただの通りすがりのエルフでして」


「ならこの鎖ときなさいよ!」


「学歴トップならこの鎖くらい自分でときなさいよ!」


「なねするな!」

「なねするな!」

「まね、まねよ!噛んだやつまで真似するなぁぁぁ!」

「まね、まねしますよ!噛んだやつまで真似しちゃうなぁぁぁ!」


「ああああああああ!」

「アッハッハッハッ!」


揶揄いどころがあるな。

アリーシャ。魔術師としてはダメだが面白い。度胸があり。胸はそこそこ。ルックスはよい。これまた茶髪。黒っぽい目に白い肌。顔立ちはスッキリしている。


「何見てんのよ」

「いや、全然、結構好みじゃない」

「言う前に断るな!」


「おい」

「はいはい、あっちですよ」

「そうじゃない、アルトハランの王はアルバートアレックスの筈だがあっているのか?」

「は?、アルバート・アレックス・シューシュル王は初代よ。アンタいくつよ。初代が王だったのは1200年以上前でしょ」


は?1200年……だって。

は?いやいや何を言っているんだ。

設定?どういうことだ。

混乱する中質問を続ける。


「初代王はいきてるのか」


「はぁ?初代様は人間よ。1200年も生きているわけがないじゃない」


頭が真っ白になった。

死んだ?えっ、死んだのか。

いやどうだっていいだろう、所詮ただのギルメンじゃないか。

それに死んだらリポップが当然だろ?

ぐるぐるする頭。混乱を極める中アリーシャは続けた。


「と、言いたいけどね。実は生きてたのよ!?信じられる?王家に伝わる秘術で延命していたららしいの!

でも、副作用として体が鉱石化したらしいの。それで世界中にアルバート・アレックス・シューシュル王の病気を直したものに賞金として皇金貨40枚をくれるというからアカデミートップの私がわざわざ出向いて来たというのに、まさかこんな羽目になるとは思わなかったわ!」


「なんだ、生きてんじゃねえか!」

驚かせやがって!寿命が縮んだわ!絶対。ふざけんなよという気持ちを込めて蹴りを入れた。手加減して。

悪魔が本気で蹴ったら絶対しぬから。一応はさ。


「いったぁい!!何すんのよ!」

「手加減したんだいいだろう」

「良くない!手加減もしてないでしょ!」

「した、我は寛大だからな。小癪な人間は些細なことで死んでしまうと知っている。故に軽く小突いたのだ」

「乙女の尻を蹴るとか犯罪よ!種族とか関係ないわ!モラルとかないわけ!?」

「ない」

「断言するな!」


ああ、やばい。どうしよう。こいつ面白いんだけど。

街に着いたらお役目御免して衛兵にでも殺人未遂犯として突き出そうと思ったがやめよう。

歩いたり話したりお腹がすいた俺はアイテムボックスから取り出した果実をかじりだした。


しゃりしゃり


シャリではないぞぃ。


「うっわ……」

「あー、うめぇ」

「アンタそれが素でしょ」

「酢?シャリとでもかけてるのかい?つまらない冗談だ」

しゃりしゃりとシャリとお酢を掛けてシャリシャリだ。


「意味わからないのだけど」

「ふふ……貴様のような小癪な人間どもにはまだ早かったということだ」

「適当なこと言わないでくれる?馬鹿になりそうだわ」


うっわ……と引いていた割には俺が食べている果実が気になるらしい。


「なんなの?その……体に悪そうな果実は」

「ほう、よく果実だとわかったな」

「私の精霊が言ってるのよ"懐かしい、あれ、美味しい、木、果実、うまい、うまい"って」

え?魔術師と契約している悪魔って喋れるんだ……。今初めて知ったわ。


「知りたいか」

「知らなくてもいいけど寄越しなさいよ、レディーファースト。知らないの?」


「知らん。だが欲しいのだなこいつを。ふむ、ならば貴様にこれを下賜しようではないか」


「ん、ありがとう」


アリーシャは受け取ったものを見てめを見開いた。


「ってこれアンタが食べ残した芯じゃない!!」


「いらぬのか?ならば捨てて来るがよい」

「ゴミくらい自分で捨てて来なさいよ!」

「ゴミではない……フフフ家臣に下賜したのだ」

「誰がアンタの家臣よ」

「照れているのか?まあそう謙遜せんでもよい」

「してないわ!自分で捨てろ!」

「レディファーストだ。女先にゴミ捨てさせてやる」

「さいってー、ふんっ」

「《至れ獄園"ヘルファイア"》」

さっき家臣になったへっぽこ魔術師のアリーシャが生ゴミを投げつけて来たので魔法で焼き尽くした。

「無駄遣ね」

「そうでもない」


「寄越しなさいよ、てかなんなのその果実は」


2個目をたべていると、また物乞いを始めた。

「はぁ……なんと愚かな。主君に物乞いとは呆れた家臣だ」

「ああああ!?だから家臣にすんなっ!」


「えっ?要らないの?」



くぅうぅぅ……。

誰かの腹の虫が鳴った。

アリーシャは耳を真っ赤にしていた。

「要らないの?」

目の前で果実を掲げて右に左に振ると顔もついて来た。

「要らない?」


「いる……」


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