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そんなこと言わなくたっていいじゃん

作者: 白い憂さ欺

「もういいよ、それ以上言うくらいなら何も言わないで」

そう反論された。イラついた様子を押し隠しているのが分かって緊張する。何か具体的な恐怖を感じたわけじゃない。けど、これ以上仲が悪くなりたくなかった。元から仲がいいわけでもないけど、これ以上の悪化を恐れる心は皆だっておんなじはずなのに。

「言っちゃ悪いけどそんなに言われたくない。人になにかさ……助言されたくない」

あっそう。そう思ってしまって心が揺れた。自分の罪をその時に自覚した。自己満足の押し付けを待たしてしまったんだと理解した。あの子に悪いけど私だって傷ついた。そんな言葉が思いついて、思わず彼女から距離を取った。

「……」

その子は私に見せてくれていた紙の束をさっとカバンにしまってしまって、ノートを取り出し始めた。

そして私はさらに理解する。私は、私の自己満足を素直に受け入れてくれる都合のいい配慮してくれる人ばかり求めていたんだと。

「ごめんね」

「……」

いたたまれなくなって自分の席に急いだ。少し泣きそうだった。何も言わなければよかった、何も気づかないふりをすればよかった。ただ、読んで褒めればよかった。

その子の手が止まっているのが見えた。顔を少し上げていた。口を少し開けて隣の子に話しかけていた。たった斜め二つ前に座っている私にはあまりよく聞こえなかった。けど、私のやつちょっと読んでみて、というその言葉に異常に反応してしまって、

「もういいや」

私は、机に突っ伏す。


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― 新着の感想 ―
[良い点] まさに、善意は悪意ですね。 [一言] 自分は逆に必要もないのに笑顔で余裕をアピールしてしまうタイプですがこの辛さは、わかるー。
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