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-༠༠༣- Soldier



東京との時差は3時間半。

一週間の滞在を今後どう過ごそうかと考える。



『コヒマはインパール作戦があった場所。

日本はのぐが沢山死んだ。

おばあさんが日本はのぐがとても勇敢だったと言ってた。

小学校でも教えてくれる。

コヒマはJapanese Soldiers Flowerていう花が咲くよ。

紫で綺麗。

小さい頃友達とのぐが埋まってるお墓に行った。

草が沢山だったから少し抜いて、Japanese Soldiers Flowerを取って置いた。』

『ありがとう、もしかしたら俺の親戚も戦っていたかもしれないね。』

『のぐのおじいさんにのぐ?』

『>のぐのおじいさんにのぐ?


○ のぐのおじいさんののぐ?


わからないけど。

でも、沢山の「のぐ」の為に、ありがとう。』

『どういたしまして!(*≧∀≦*)

日本語を教えてくれてありがとう!』

『どういたしまして!(*≧∀≦*)』



折角だから、「のぐ」の墓参りはしよう。



そして、少しダーシャの街を見て歩こう。



夕飯にはまだ少し早いけれども、ホテルから出て適当な料理が出そうな店に入る。

ナガ族はモンゴロイド系なので、凌が入店しても特になんの違和感もなく招じられた。

他に客はいなかった。

英語メニューがあるか訊いてみる。

店員の女性は目を丸くした。

「Where are you from?」

「Japan」

声を上げて喜び、女性は厨房へと急いで入り、すぐにメニューを持って調理担当らしき男性とにこにこしながらやって来る。

差し出されたメニューは日本語だった。

どうやら当たりを引いたようだと凌は思った。



「わたしは日本が好きです。

コヒマは日本人の兵士がたくさん死んだ場所。

あなたもそれで来ましたか?」

「うん、そんな感じ」

愛想よく訊ねて来た店主と思しき男性に、凌は適当に相槌を打った。



「とても正確な日本語を使っているね」

メニューを眺めながら凌が言うと、店主は嬉しそうに「どうもありがとう!」と言った。

「日本語を勉強する友達がたくさんいる。

日本人の友達がいる人もたくさん。

だからこの店は日本語が使えるよ。

よく来たね、お客さん」

本当にホテルを出てすぐに見かけたから入っただけの店なのだが。

これを知っていての旅行代理店の采配だったのだろうか。

そういえばそんなことを言っていたような気もするが、真剣には聞いていなかった。



「……じゃあ……ダーシャという子を知っている?」



ナガ料理だと書かれていた煮込み物と緑の瓶のライム水を頼んで、駄目元で凌は訊ねる。

「ダーシャ?いるよ!」



あっさりと返ってきた言葉に凌は拍子抜けした。

「お客さんダーシャの友達?」

「うん……会いに来たんだ」

女性店員がまた声を上げて、凌には解らない言葉で何事かを捲くし立てる。

「ここに呼ぼうって」

店主が翻訳してくれて、凌は驚いてまごついた。



「その人が俺の友だちのダーシャかはわからない」

「会ってみればわかる!」

「そりゃそうかもしれないけど……」

女性店員は早くもスマートホンを取り出してフリックしていた。

「お客さん、名前は?」



「しのぐ……『のぐ』だよ」



「のぐ!」

「のぐ!」



店主も女性店員も一息に興奮して、店主は凌の手を取り、女性店員はスマートホンを耳に当てた。



「日本ののぐ!すごい!日本ののぐ!」

上下に振られた手を複雑な気持ちで見やって、凌は「俺は、Soldierではないよ」と断りを入れてみた。


「名前が『のぐ』なんでしょう!すごいね!かっこいいよ!」

「どうなんだろう、Soldierという意味なんでしょう?中二病っぽくないかな」

「『ちゅーにびょう』てなに?」

「子どもっぽいってこと」

「そんなことはない、日本のSoldierは立派だった」

「うーん、戦ったのは俺じゃないしなぁ」



「ダーシャ、二時間で、来ます!」



嘘だろう、と凌は思った。

会えない、と彼女は言ったのに。



2019/07/18

現在のナガランド州の実情にそぐわない描写があったため変更しました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公の心情や周りの情景が分かりやすく、すらすらと読めました。 ほろ苦い話ではあるものの、綺麗に纏められていて読み終わりがスッキリしているのも好みです。 [一言] ツイッター企画が無ければ…
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