もんじゃ
数秒おきに暗くなるスマホの画面を何回もつける。
わかっていたことだけど時刻は7時をすぎている。
わかっていても7時ちょっと前からスマホの着信を気にしてしまうのはもう性格だからしょうがないけど…。
スマホの画面が点く。LINE電話の表示
音を出してるわけでもないのに、すぐに着信に気づいてしまうことがなんかくやしくて、少し時間を空けて電話に出る。
「もしもし?」
「もしもし!今家の前通るとこだけど、でれる?」
「はーい。わかったー」
ダッシュで家を出ると丁度大地と秋の乗った車が家の前を通ろうとしていた。
運転は大地で、助手席に秋を乗せている。
私は後部座席に乗り込んだ。
「悪い悪い!ちょっと遅くなった!」
「いやいや~ぜんぜん~」
「何食べたい?日向の好きなものでいいよ」
大地は気を遣って聞いてくれる。
「え…う~ん?なんでもいいけどな…好きなものはもんじゃ焼きかな」
「いいな。もんじゃ食べたくなってきたわ」
そう秋が言ってもんじゃに決まった。
前の座席でふたりは話してたけれど私は特にふたりと共通の友達がいるわけでもなくて話が分からないし、下手に聞くと会話に水を差して秋にイラつかれたら嫌だなと思って黙っていた。
たまに、大地は私を話に入れようとしていたけれど、秋は機嫌が悪かったのか(疲れてテンション低かっただけかもしれないけど)なんとなく冷たくて怖かったので話しづらかった。
秋は面白いけど、その分相手への笑いの評価も厳しいし、人の好き嫌いもはっきりしてるんだと思う。
秋に気に入られてる親友の大地はよっぽど笑いのセンスが合うんだろう。
もんじゃはおいしかったです。
ごちそうさまでした。(ちゃっかりおごってもらった)