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ひまわりになりたい  作者: 水瀬花
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解せない

 思えば、由布君と初めて話したのは大学2年の春だった。

でも私はその前から由布君のことを知っていた。

私の大学での数少ない友人と由布君は同じサークルで仲が良かったというのと、由布君が長身、たれ目な一重、黒髪、綺麗な肌のいわゆる塩顔イケメンだったからということが大きいと思う。

わたしと友人が一緒にいるときにも由布君はよく友人に話しかけにきていたから、ついでにわたしもちょっと話してみたいなあと思っていたけれど、よっぽど可愛い女の子じゃないとこういう時話しかけられたりはしないんだ。

だからきっとこの時のわたしのことを由布君は全然覚えてない。


 2年生になって5人ひとくみのグループ学習があった。自分の興味のある分野に成績順で優先的にグループ分けされていた。貼り出された紙に由布君の名前を見つけたとき、嬉しいと思うと同時にこんな可愛くもない陰キャの女子と一緒のグループ分けされて「なんかメンバー微妙だったわー」とか友達にいってるんじゃないかなぁ、とか思ってしまって憂鬱になった。


 メンバーのうち女の子2人は今まで話したことない子(もともと知り合い自体少ないんだけど)で残りの男の子は私の部活の同期の友達だった。

わたしはなんというか集団のコミュ障で、一対一の会話なら初対面であろうと目上の偉い人だろうと永遠に話し続けられるし、物怖じしないんだけど、どうにも複数人での会話が苦手で空気と化してしまう。

多分これは、相手が自分の話を聞いてるって安心感がないと話す自信がなくなるんだろうな。

だから初対面の時はひとりひとり攻略していかないといけないから、自分を理解してもらうって難しいよなっていつも感じる。とくにわたしみたいに一見テンションの低い人間はすぐに興味ないとか誤解されるからはやめに手を打たないと誰からも距離を置かれてしまう。


 初めにグループで集まって食堂で昼食を食べた。

由布君がなんとなく司会みたいになっていた。

「話すのはじめてだよなー。俺は由布光。みんなのことは何て呼んだらいい?」

自己紹介が終わってしまうとみんな大人しいのか人見知りなのかシーンとした空気が流れていた。

由布君はどうにかしたそうにまわりをチラチラみたりして

「ひなちゃんはさぁ、バイトとかしてるの?」

沈黙が苦手なんだろうなと思った。いつもキラキラグループにいるし誰とでもすごく距離が近く話している印象だったから、机の上で組んだ手がすごく震えていたり、なんとか話題を絞り出そうと考えている姿が意外だった。

わたしはそんな由布君がかわいそうになって、せめて私の前では「自分ががんばって話さなきゃ」って気持ちにならなくて済むようにしてあげたいなと強く思った。

「バイトはずっとしてたんだけどやめちゃったんだよね~。そうそういろいろあってさぁ。車廃車にしちゃって(笑)。その前にもJAF3回呼んでるんだけど~・・・。」

私のあほな武勇伝は話し始めると永遠にあるので、結局私がペラペラあほ話を紹介するだけで初めの顔合わせは終わった。

(はぁ~。また変にがんばっちゃったなぁ・・・。みんな笑ってくれたし沈黙はなくなったからいいけどさ。)

「ひなちゃんってめっちゃやばい人じゃない?あの子大丈夫?」

そう由布君に言われたのは解せない。

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