六人目 亜禎耀誇・・・同一人物
カリンの骨
カロンの骨
拝啓 登美永様
この度の貴方の発明品、死者蘇生機械は素晴らしい作品でした。
つきましては、私は機械を作り、部活動唯一の女性も取る貴方が憎いので、殺害しようと思います。
そのあかつきには、貴方を死者蘇生機械で生き返らせようとお思います。
それでは、余生をお楽しみください。
Kh
それを受け取った中学生、登美永と言う子は、それから数日後、手紙に書かれているように、この世界から消えてしまった。
地方紙の片隅に、ちらりと載った事件だった。
今日も私は書を開く。 そして自作ノートにそれらをまとめる。
今日の仮題は世界の不思議超百科を読むことで決定。
雪男から始まったそれは、あまり私の興味をそそらなかった。
ただ一つを除いては・・・・。
ドッペルゲンガー
私が最近しょっちゅう見るもう一人の私。同一人物。
それを見たものはドッペルゲンガーによって殺されてしまうとかかれていた。
つまりは、死に易くなるってことらしい。
私は死ぬのか。
だとしたら聞いておきたいことがあった。
それから私は有り余っている有給休暇を全て一気に使うために、連邦軍特殊工作部隊秘密侵略道具開発部部長の仕事を休んだ。目的はただ一つ。
ドッペルゲンガーにあって一つの事を聞くこと。
私にいたはずの双子のお兄ちゃんを探す。
連邦軍特殊性別々身体構造研究調査部に贈られてひどい目に合わされているらしいと母から聞いた。
なら連邦軍にお兄ちゃんを送らなければいいじゃないかと思ったが、連邦軍はわが国最大にして最強。逆らうものには,死を持って感謝を現す残酷な奴らだ。
私はそこに入ろうと思ったけどすれすれの点数で落ちた。入れるのはその次に偉いといわれる連邦軍特殊工作部隊秘密侵略道具開発部だった。
未だにお兄ちゃんは発見できていない。
話に聞くと人間とは思えないようなひどくアレな身体実験をさせられているらしい。
恥ずかしい。
「ねぇ、私が貴方を探してイルの?」
前に私が現れる。
「ねぇ、貴方が私を探してイルの?」
右に私が現れる。
「ねぇ、私があなたナノ?」
上に私が。
「ねぇ、貴方がわたしナノ?」
私が世界に現れる。
私の大切なものを壊して、私で世界があふれ出る。
私で世界が埋め尽くされる。
私で、私で、私で、私で、私で、私で、私で、私で、私で、私で、私で、私で・・・・・・・・・・。
いや。私だけなんていや。私だらけなんていや。
私は一人でいい。
ドッペルゲンガーの貴方なんて要らない!
必要ない!
世界に私は私だけでいいの!
「わたしも、わたしなのよ」
「わたしも、わたしなのよ」
「わたしも、わたしなのよ」
「わたしも、わたしなのよ」
「わたしも、わたしなのよ」
違う、私はドッペルゲンガーにこんなことを聞きたいんじゃない。
私は貴方に消えろといい続けてるだけじゃない。
「おし・・・・えて。おにちゃん・・・・何処?」
私たちが、私に歩いてきて耳につぶやく。
「私のお兄ちゃんたちはね、連邦軍で部分部分にばらばらにされちゃったの」
私たちが教えてくれる。
「私のお兄ちゃんたちをばらばらに醜い肉の塊にしちゃったあいつらにはね、わたしたちがばらばらにしてあげたのよ」
オニイチャンハイキテハイナイ・・・。
「私たち、お兄ちゃんに会いたかったのに。あいたかったノニ・・・」
その言葉がどんどん私をカオスへと導いていく。
私たちによって私の中には黒いものが生まれる。
「ねぇ、私たちで出来る事、なぁい?」
答える。
「れんぽぐんを爆破させる、」
翌日、新聞には大きく一面を飾った。
『連邦軍特殊工作部隊秘密侵略道具開発部新兵器大爆発か?』
首謀者には、女性の名が出ていた。
「そこまでして会ったドッペルゲンガーは大切だったか?」
絶景の美少年がこちらに微笑む。
「いいえ、いらないわ。私に私たちは必要じゃないもの」
「そうか、ならば、帰るか?」
美少年は問う。
「ええ。私はもう、いいわ」
「ならば、この扉から、還るがいい」
私は、心の中にいる私たちと一緒に扉をくぐってお兄ちゃんの元へと帰っていった。
メリアは血肉沸き踊るメロドラを見て泣いていた。
『ボクと年下美少年とのいとおしい愛』
いわゆる少年と少年の愛物語だった。
どうでもいいか。
「メーリー-アー」
カロンが駆け込んでくる。
ささっとメリアはチャンネルを変える。
これを見ているとばれたらねちねちやられると知っているからだ。
「『ボク少』、おもしろいー?」
ばれていた。
カロンは自室で服を脱いだ。
全裸だ。
テレビをつける。
ベッドに転がる。
その姿勢でSTOPウォッチを手にするとささっと服を着込んだ。
「よし、新記録!」
単に服の早着込みだった。
テレビの早着込みのコーナーは、いつもカロンで埋まっている。
「カロン。許してくれとはいわん、もう一度、死んでくれ。」
セロンがカロンの基地に入り込んできた。
「ワゥッガウゥ!」
パロがセロンに噛み付いてくる。
「邪魔な・・犬がぁ!この、私にたてつくと言うのかぁぁ!」
セロンはパロの顔を散弾銃で吹き飛ばした。
パロは、数メートル吹き飛んで肉の塊になった。
「お前もはむかうのか?」
後ろにいたサイタの頭を蹴り飛ばし、首をつかんで壁に叩きつけた。
「私は、今日、カロンの首を取るんだぁぁぁ。」
二度に告ぐ散弾銃の音は、カロンにも、メリアにも聞こえていた。
カロンはゆっくりと武装し部屋を出て音のするほうへと近づいていく。
メリアは自分の手を見つめて、それから部屋を走り抜け、音へと向かう。
「きてくれたのかい?セロン君」
「ああ。きてやったぞ。カロン」
しばらく、沈黙が続き、カロンが口を開く。
「また、殺しに来たのかい?」
セロンが散弾銃をカロンに向けて言う。
「もちろん」
「やめてください!」
メリアの叫び声とともに、カロンの頭に散弾銃の玉が、
メリアの叫び声とともに、セロンの腹にサバイバルナイフが刺さった。
そしてメリアが息を呑むのと同時に、二人は通路に倒れた。
次回カロンの骨完結予定!
カロンとセロンとメリアの関係は?