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五人目 時津雅直の場合・・・存在

カロンの骨。

骨って何なんでしょうな。

カロンの骨って、なんか意味あるんでしょうくわぁ?

ふざけて始まる、カロンズボーン。

第五話。

五人目時津雅直の場合・・・存在


空白の時間で・・・・・・考える事がある。


自分はいてよかったのだろうか。

僕はそう思うことが多々ある。

僕は、何のためにここにいて、何のために存在しているのか。

それは、まだ誰にもわからないことだ。だからこそ、それ関係の本は売れている。

けれどその本にも僕は救われない。


助けて・・・・。


ビルの谷間に見える真紅の円。紅の太陽。

それに僕はとらわれた。そして僕の最後を見てほしいと思う。

ビルの谷間に見える真紅の円。紅の太陽。

それに僕は魅了された。それゆえに、見える場所で散りたい。

ビルの谷間に見える真紅の円。

ビルの谷間に見える

ビルの谷間


ビルの谷間から送られてくるかぜが背中を押す。

何も怖がることなんてないんだよ。僕らがきちんと連れて行ってあげるから。さあ、お行き。

風が語りかけてくる。

「ありがとう。」

呟き終わると同時に、ビルの谷間から見える真紅の円と、ビルの谷間から送られてくるかぜにつれられて、僕は、風になった。人ではなくなった。

ただ単に、存在していようといるという意味がなかったからだ。

僕がいなくてもここは生きていける。

僕がいなくても世界は永遠に回り続けるんだ。


ビルのしたのコンクリートの歩行者用通路、早朝、警察が事件とみなしてやってきた。



暗い霧に包まれている。

光がない。

僕を魅了して止まなかったあの真紅の太陽は?


無音に包まれている。

風がない。

僕に語りかけてきてくれたあの、神聖な声は?


「なにを言う。君は自殺したんたぞ。そんなものはなくなるに決まっている。それと君の浅学について、地球は永遠じゃない。消えてなくなる日が来る。おろかな人類という寄生虫に蝕まれた大きく偉大な一つの生命体は・・・・。」

少年のような声が、聞こえた。

「我が名はカロン。貴様に今一度だけ、人生を期限付きでやろう。」

いらない・・・・・。そんなものを必要としていない。

この世界でも、僕の存在はない。そうなんだ。そうだったんだ。

「自分が何かわからないのだな。」

はい。そうです。僕は誰で何のために存在して何のために・・・・。

「ならば特例措置。話を聞いて開放してやろう。」

開・・・放?

「存在を、風にしてやろう。」

僕を魅了したものに、僕がなれる?

「そうだ。君は存在しなくてもいい。けれどそこにいてくれるだけでいい存在になるんだ。」

それこそ僕がなりたかったもの、成し遂げたかった事のひとつだったのかもしれない。

「存在はあったほうがいいのか?」

いいえ。存在は要らない。僕はこのまま存在しないものとしていなくなりたい。消えたい。

「ならば、話はそれだけだ。逝くがいい。哀れな一人の寄生虫よ。偉大な生命体を守る一つの壁となり、守るのだぞ。」



彼は逝った。


「このような形でよろしいのですか、カロン。」

カロンはこちらに歩み寄り、低くつぶやく。

「人、それぞれ・・・・なのだよ。人それぞれ・・・・。」

カロンは自室へと消えた。

カロンは最近何かが変わった。

昨日なんて、カロンは血だまりの中で倒れていたじゃないか。

それが今日はあんなに元気になるなんて。

メリアは腕時計の昨日を起動させた。

そして気が付いた。

「カロン。貴方もそろそろなのね・・・・。」

いつも五月蝿くやんちゃで小賢しくて憎たらしくて殺意が持てるカロンは、もうそろそろなのだ。

「カロン、貴方は何をおいていくつもりなのですか・・・・。」

メリアは、ないていることに、心底驚いた。

カロンは、どこかに消えていってしまうようなそんな感じで。

「アゥ!アゥアゥ!」

「パロ・・・。」

メリアは久しくパロのぬくもりを感じ取った。

「パロ、貴方も感じているの?」

パロはうなずいた。知っているのか否か。

「パロ、さあ、行きなさい。」

パロを開放するとパロは廊下へと走り去った。

そして、死者蘇生装置の上で、サイタがいる。

「貴方も・・・・なのね。」

メリアは、ゆっくりと部屋を後にした。





「カロン。メリアは私の者だ。カロン、君にはわたさない。メリア・・・。登美永・・・・私を呪い殺してくれ。」

カロンの基地の前で、セロンは、一人重装備で入ってきた。


「セロン・・・・・。君・・・なのか。僕を・・・僕を・・・。」

カロンの脳裏に何かがよぎる。そして、カロンはベッドで倒れ、そのままその日を終えた。

カロンズボーン、第一部いよいよクライマックスって感じですな。あと二人!

頑張れ、カロン!はて、何を?

我は一体何なのだ?


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