七人目 登美永雄姿 RUINS
それは、いつ起こるかも定かでない、いつかのお話。
起こるのか、起こらないのかも、誰にもわからない。
カロンの骨
俺はセロンが友達として好きだった。
なのに、これですべてが終わった。
俺が立っているこの場所には、セロンという名前だった謙太はいないし、メリアという名前だった由香利も居ない。
俺はここで一人きりになった。
残されているのは俺のシロ。
装置だけが残っている。
死者蘇生装置。これがすべての始まりで終わりなんだと思うと、馬鹿らしくなる。
ふと死者の面をなおそうとして手を顔にやると、そこはカロンではなく雄姿の顔だった。
死者の面はメリアの首に残っていた。たぶん。
今の雄姿には見ることが出来ない。
見たくもない。
自ら招いたこの惨劇を。
自分で見られるほど大人じゃない。
誰がこんなことを予測したんだろうか。
死者の面はたぶんこの瓦礫の下で朽ち果てるだろう。
セロンがつけていた生者の面も同じく、朽ち果てる運命なのだろう。
俺はこんなところにいたくない。
どうしたらいいんだろうか。
何で俺はこんなところに立っているんだろう。RUINS廃墟に立っている俺はなんだろうか。
カロンの骨。
俺が自ら名づけたこの場所も、すでになくなった。
俺がカロンの骨と名づけたものはたくさんある。
この場所に、俺の大切なものに。
俺の骨はカロンの骨ではなく、雄姿の骨だ。
カロンの骨は、ここで無くなる。
カロンの骨っていったい何なんだろう。
俺は何でこんなRUINSにいるのか・・・・。
わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない
俺はひざを抱えて一人、うずくまる。
カロンはここで、消えるかも知れない。
二人の亡骸を感じ取りながら、俺、雄姿とカロンは消えていくだろう。
これは、いつかのお話。