七人目 登美永雄姿Ⅳ PEACEMAKER
カエレナイ
七人目 登美永雄姿 PEACEMAKER
P-177.それは私につけられた研究番号。私の研究の名前ではなく、研究物体番号。
私の血は特効薬となり、毒となる。よく言われた。おまえはPEACEMAKERになるんだって。
P-177。それは、私の幼少時代のサイッテーな思い出。
だからカロンにそれは言わせたくなかった。
それは部室でも同じで。
私をからかうカロンをセロンが止めて、私がへこませる。
体の一部を拳、もといは物で。
それは二人の些細な喧嘩の時も同じ。
「二人は今、ただけんかしてるだけ。何でしょ」
パロを廊下に置くと私は立ち上がる。
戻らない時間があったとしても、私にとってはそれがすべてだから。
私にはその時間しか残されては居ないから。
今から私は時間を取り戻しにいきます。
二人を動かなくしてでもあの時の様に。
私は、パロが好きだった。
なんだかんだ言っても。
動物虐待はいけないことなんだよ?
雄姿、謙太。
バカヤロウ。
「いい加減やめなっさいっっっっっっっ」
メリケンサックモドキをつけた私の拳は、二人の腹部に直撃する。
私は口を開く。
あの時の様に。
「もう、部活始まっちゃうよ?」
あの時と違うのは私の頬はぬれていて、彼らの手には人を殺める物が握られていて、それでちょっとふざけ合っている事。ただ、それだけ。
セロンが狂乱の目で私を見つめる。
「何言ってんの?おれらさぁ、もーちゅーがくせーじゃねーっつぅの。ばっかじゃねぇ・・・」
謙太はもう、コワレテシマッタ。
カロンが私を視ずに呟く。
「これは部活動じゃないんだよ・・・・・」
雄姿はもう、カワッテシマッタ。
私も現実はわかっている。
もう、戻れない時間があることを。
帰りたい。
返りたい孵りたい還りたいかえりたいカエリタイ。
私はあのころの私たちに帰りたい。
私はPEACEMAKERになれない。
私がなれるのはすべてを壊すSomething
私はすべてを終わらせる。
カロンもセロンもメリアも。
すべてを終わらせる。
カエラセテ