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あなたへ。

手紙。

作者: アリウム

 拝啓 時猫様



 真白で覆われていた世界が、段々と色めき出し温かみを帯びてくる季節。あなた様は如何お過ごしでしょうか。


 さて。縁を切ってだいぶ経ちまして、なぜ今頃になって手紙なのかと疑問にお思いになるでしょう。しかしその疑問は捨て置き、もう1度私の言葉に耳を貸していただきたい。

 今まで散々あなた様に面倒や迷惑をかけるだけでなく、嫌がらせまでしていました。その事を、心よりお詫び申し上げます。


 申し訳ありませんでした。



 許してくれ。なんてことは言いません。許してほしいなど思いませんし、許してくれるなんて露ほどにも思ってません。ただきちんと、謝りたかった。ただそれだけで御座います。

 ところで、試験の方は大丈夫でしたか。

 私とは違い、自らの能を高めるために頑張ってらっしゃいました。

 その姿に尊敬し、そしてほんの少し妬いてました。

 その頑張りが報われることを願ってます。


 さてさて。再び話は変わりますが、私は何度もあなた様に嘘をつきました。それはあなた様に構って欲しかった、のかもしれません。あなた様が逐一かわいらしくそして、興味深い反応をしてくださるのでついつい興に乗ってしまいました。大きな嘘から小さな嘘まで。本当に申し訳ありません。

 けど。そうですね。先にも述べましたが、あなた様が構ってくださった事が何よりも嬉しかったのです。とても。

 あなた様と接している時は大変楽しく思っていたことは本当の事でございます。あなた様と話している時は特に、心が弾み、癒されるようでした。あなた様の独特な柔らかい空気がとても好きでした。


 さて。ここまで長々と語ってしまい、申し訳ありません。もう少しだけ、付き合っていただければ幸いです。

 私とあなた様は、友人という間柄でしたが、長年友人と呼べる者がいなかった私にはあまりにも手に余る存在でした。距離感を計りかねていました。だから、あなた様や雪音様と言った方への友人としての距離が分からず、正しい距離を掴むことが出来ずに、関係を壊してしまいました。深く反省しております。

 壊れたものは簡単に直せず、ましてや何度も壊したものを直すには、それなりの覚悟と時間が必要だと思います。直せない、ということもあり得るのですから。

 やり直しませんか?なんて都合の良いことは言いません。

 仲良くしましょう。なんてことも言いません。

 もう一度友人になりたい。なんて厚かましいことも、言えません。


 私は距離感を間違えたのだと思ってます。

 私は友人を持つべきじゃなかったとも思います。

 なので、改めてあなた様に告げます。


 私と、仲の良い他人になって下さい。

 友人ではなく、知人でもない。

 1歩遠くから眺める、他人でいて下さい。

 どうかもう一度、やり直させてください。


 P.S.暖かくなってきたとはいえ、まだ夜は冷えます。風邪など引かぬよう体調に気をつけて下さいませ。




 世界一の嫌われ者より。

読んでいただきありがとうございましたm(*_ _)m

手紙は届いたのでしょうか。それだけが不安です。

さて、気分が乗れば返信(時猫さんから世界一の嫌われ者への手紙)も書きたいと思います。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 『許してくれ。なんてことは言いません。許してほしいなど思いませんし、許してくれるなんて露ほどにも思ってません。ただきちんと、謝りたかった。ただそれだけで御座います。』  この部分、人によ…
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