HHDを壊してくれ
俺は普通の高校生。
彼女がいるわけでもなく可愛い幼馴染がいるわけでもなく一人暮らしして居るわけでもない。成績はは中の上。
1つだけ自慢できることがあるとしたら音ゲーが上手いこと。すでに114514回はやっている。ちなみに好きな音ゲーはYubeat。個人的にはMyiMyi勢は嫌いだ。
そんな僕だが、1つ思っていることがある。これだけ平凡ステータスがあれば死んだ時にほぼ確実に異世界に行くことが出来るのではないか。
だが異世界に行けるようなチャンスはなかなかあるようなものではなく、そう奇跡でも起きなければ。
最近、毎日のようにこんな事を考えながらゲーセンの待ち時間を過ごしている。だがあろうことか今日の待ち時間は無駄になってしまった。
「ふざけんなよ!!!!なんだこのクソ筐体は!!!」
筐体のガラスは割れ、ボタンは飛び、音にはノイズが入る。誰がどう見てもプレイができない状態だ。
プレイ中の人が筐体を殴りつけてしまったのだ。合唱していたスク水フェスティバル勢の人達や雑談をしていた人々が静まり返り、ゲーセンからはゲームの音しかしない。ゲーセンにあってはならないはずの静寂だ。
そんな音を聞きつけてか、どこからともなく店員が駆けつけてくる。
「何をしているんですか!?筐体を壊すなんて!!警察呼びますね!」
「うるせえ!!黙れよクソ野郎が!!」
大声を上げた店員に怒ったのか筐体を壊した奴がガラスの破片を持って襲いかかる。このままだと明らかに店員は死ぬ。
だがこれはチャンスだ。この状況で店員を助けて自分が死ねば明らかに自分は異世界に転生する条件を満たしている。
そう思った瞬間、自分の体は自分が思うよりもずっと早い速度で店員と男の間に滑り込む。そしてガラスの破片が突き刺さるであろう位置はなんと都合のいいことか、ちょうど心臓の辺りだ。
そして刺された。胸から焼けるような痛みが湧いてくる。今まで聞こえていたはずのゲーセンの音も聞こえなくなり、視界が白く染まっていく。
脳からドバドバと出されるドーパミンのせいか、段々と痛みは無くなっていき、逆に気持ちよくなってくる。
死にそうになりながら、こんなことを考える。もし何か特殊能力が貰えるとしたら、絶対に痛みを感じなくて寿命以外では死なない能力にしよう、と。
正直この痛みは一瞬だったが、そう望むぐらいには強烈なものだった。
ーーーー
気がつくと白い空間に居た。自分の実体はなく、魂みたいになっている。そして目の前には超美人が居た。
「ここは輪廻の間。私は転生の女神。今から貴方を異世界に転生させるから欲しい能力を教えてね。時間がないから手短におねがい。」
どうやら本当に転生できるらしい。なんということだろう。それにしても時間が無いとはどういうことなんだろう。
「それならとても防御力が高くて寿命以外では死なない感じの能力をお願いします。」
俺は即答する。
「それなら貴方が望まない形で死なない能力をあげるわ。似た能力が無いからこれでもいい?」
「じゃあそれでいいです。」
「それから、この能力は安い方の能力だからあと少しぐらいならなんの問題も起きることがなく能力を付け足すことができるよ。どうする?」
そう言われて、俺は少し考える。それ以外の能力と言われると色々と欲しかった能力があるが、ここは物語のテンプレ的なことをやってみたくなった。
「能力っていうか願いなんですけどいいですか?」
「もちろん良いわよ。」
「じゃあ俺のパソコンのHHDをーーー
「HHDを?これ?」
そういうと女神は俺の目の前にHHDを出す。
「そう。それをぶち壊して下さい。」
「わかったわ!」
ドガァァァァァアン
「じゃあ、もう時間が無いから早速転生させるわね…ってあら?爆発させて壊したら魂まで吹き飛んじゃった…あーあ、また怒られちゃうなぁ…」
見てください、こちらが小説家になろうでら希少な爆発オチです