一つ差恋愛 意外な出会い編
「正直最初は結構驚いたもんだ。それまで話したことが無い後輩からいきなりメッセージが来たからな・・・」
石海裕城。ごく普通の中学三年生。
裕城は年末にたまたまSNSに投稿をした。まあ大した投稿でもなく裕城はまさかこの投稿からあんなことが起こるとは思っていなかった。
二日後裕城の投稿にコメントが来た。
「海上自衛隊に入るんですか?」
その投稿は親との喧嘩の愚痴を綴ったもので裕城は将来自衛隊に行く的な事を行っていたのだ。
「何かいいですね。頑張って下さい!裕城さんって浅葉の三年生ですよね??」
どう返信したらわからなかったのか裕城はとりあえず返信をした。
「そうですよ〜」
その返信に更に返信が来た。
「おぉ、やっぱり!(*^_^*) あやは浅葉なんですけどわかります?二年生です」
イマイチ誰かわからず裕城はスマホを片手に少し考えた。
「あー!演劇部の子か!!」
その子は大山彩葉と言う後輩である事をぽーんと裕城は思い出した。
忘れないうちに裕城は返信をした。
「演劇部の二年生ですよね?」
返事はすぐに来た。
「そうですよ。今は活動してませんけどね〜」
それから少しして会話は終わった。
裕城はこの時まだどんな未来が待ち受けてるかなんて知る由もなかった。
数日して裕城は同じSNSに別のSNSのIDを載せた。
載せてか少し経って彩葉から個人チャットにメッセージが届いた。
「追加ました!よろしくおねがいします!」
最初は「あーあの子か」程度で特にそれと言って会話もしていなかった。
しかし徐々に会話の回数は増えていった。
会話が増えたある日彩葉がこんなことを言ってきた。
「センパイ。冬休み暇なので本貸してもらえませんか?」
少し迷ったが裕城はこう返信した。
「塾の帰りに取りに来てくれるならいいよ」
彩葉は喜んだ様子で返事を送って来た。
「ありがとうございます!」
実はこの時裕城は彩葉の顔がイマイチわからないでいた。
「あれ・・・彩葉ってどんな子だったけ?」
裕城はそう思いつつ大好きなライトノベルを袋に詰めて塾に行った。
塾でモヤモヤしつつ授業に参加した。
「マジでどんな子だったっけ・・・」
そう思いつつ授業を受けていたらあっという間に時間は過ぎて行った。
結局顔が思い出せないまま塾の授業は終わってしまった。
「あの子どのくらいで来るかな」
そう思いつつ塾の近くのコンビニの前で待っているとメッセージが来た。
「すいません。20分遅れます」
マジかと裕城は思った。仕方なく裕城はイヤホンを付け音楽を聴いた。
が案外20分はあっという間に過ぎた。
「センパイ!彩葉です!!」
甲高い声がイヤホンをしていた裕城の耳に入った。
裕城はその甲高い声のする方向を向いた。
「これ本。22冊あるよ」
その時裕城はしっかりと顔を見ていなかった。
「ありがとうございます」
彩葉がそう言って裕城の目を見た。
「・・・」
裕城はその時心の中でこう思った。
『え、ヤバイ・・・タイプだしメッチャ可愛いんだけど』
そう裕城は一目惚れしてしまっいたのだった。
実はその時一目惚れしていたのは裕城だけでは無かった。
彩葉も裕城に一目惚れしていたのだった。
『リアルコナン君じゃん・・・カッコイイ』
二人の間の空気は数秒間止まっていた。
先に裕城はこう言った。
「じゃあ読み終わったら少しずつ返してね」
自分の思っていることがバレないように裕城はその場から立ち去った。
数日経っても裕城の頭から彩葉は消えなかった。
「彩葉って凄く可愛いな・・・」
そう思いつつ朝日の上る青空を見て裕城は黄昏れていた。
黄昏れている裕城に友達が声を掛けた。
「裕城、女の子が階段で呼んでたぞ。それも後輩が」
その瞬間裕城の心臓の鼓動は早くなった。
「マジか・・・OKありがとう」
廊下に飛び出し彩葉を探した。
すぐそばに彩葉は居た。
裕城は緊張して何を言ったらいいかわからなくなりついこう言った。
「おはよう!」
軽く彩葉は頷いた。その時の彩葉の頬は綺麗なピンク色をしていた。
彩葉は照れくさそうに裕城に本を渡した。
「これありがとうございます」
そう言って彩葉はすぐに階段を駆け上がっていった。
ふと裕城はその時思った。
「向こうは俺のことどう思ってるんだろう?」
しかし裕城の心の中では。
「後輩の事好きになるとか無理有るよな・・・それに向こうはどうせ俺のことなんか興味ないだろうし。あきらめるか・・・」
でも裕城の頭からは全く彩葉が離れなかった。
「やっぱ諦めらんねーわ」
ついそう思って遠くに飛んでいたヘリを見上げた。
更に数日が経過し裕城はどうしても聞いてみたかったので彩葉にメッセージを送った。
「もしかして俺のこと好きなの?」
送ったその日に返事は来なかった。
しかし次の日に返事が来た。
「裕城パイセンは彩葉の事好きなんですか?」
答えるのためらいつつこう返信をした。
「うーん・・・」
彩葉はその返信に対してこう返事を送ってきた。
「あー彩葉の事すきなんだ。冗談ですww」
裕城は少し迷いつつ返信をした。
「好きって軽く言いにくいじゃん」
しかしこの返信に対して彩葉は驚く返事を送ってきた。
「彩葉はねふつーに好きって言える」
裕城は一瞬頭が真っ白になった。
しかしすぐに返信をした。
「俺もだよ」
本当か疑っていたようで向こうはこう返事をしてきた。
「それって本当のやつですか?」
それに対し裕城は驚きが収まらないままこう返信をした。
「うん」
裕城と彩葉は二人揃ってスマホの画面に映る文章に喜んだ。
そう二人は始めてしっかりと対面した時からお互い好きになっていた。
一話 完 つづく!!