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そして神話は動き出す。

「ここが君の部屋だ。寮の規則はテーブルの上にある」

「ありがとうございます」

「では、明日君が入学してくるのを楽しみにしているよ」

 あの後無事に森を抜け学生寮まで来れた。この学園は全寮制となっており、当たり前だがここは男子寮。一人一部屋与えられた部屋にはキッチン、調理器具、エアコン、ベッドが完備されている。

 また、寮内にはスーパー、食堂もある。今日は疲れたので食堂を利用しようと思い、部屋を出る。

 食堂は広かった。

「っていうか食堂か?これ」

 男子寮最上階を全て使っている食堂はイメージ的にはレストランに近い。しかし、値段はリーズナブル。下手な大衆食堂より安いと思う。

「しかも美味い!」

 頼んだのはハンバーグだったが、すごい美味い。としか言いようがないが。

 食事を終え、ベッドに入る。明日は入学式、目を閉じ自分の神性を見つめる。

「あの会長、ゼウスの神性だな。」

 ゼウス。オーディーンの主神。学生でありながらあそこまで神性の扱いに長けていた。そしてあの結界。あれ程に複雑な結界を完全に掌握していた。神性を使わずに突破出来る程に。

「ちょっと楽しみになってきたな。」

 そうつぶやき眠りにつく…。


 明けて翌日。この学園は一クラス30名が2クラスABで分かれている。エントランスに張り出されたクラス訳を確認し、自分のクラス、Aクラスへ向かう。

 教室に入ると既に何人か登校していた。黒板の座席割を確認して自分の席に荷物を置く。

「初めまして、俺はガイノス=ディミニウム。ガイって呼んでくれ」

 いきなり後ろの席にいた奴に声を掛けられる。赤髪で短髪のガタイの良い男、ガイがにこやかに握手を求めている。

「俺はカイト=スロノク。カイトで良い、よろしくな」

「オーケー、カイト。そういや、食堂って行ったか?まだなら行ったほうがいい。びっくりするぜ?」

「昨日行ったよ、あれほぼレストランだよな。」

「だよなー、毎日あれを食えると思うと神性様々だぜ!」

 中々フランクな奴らしい。

 暫く他愛のない話をガイとしていると、白衣の男性…おそらくは教師が号令を取り式場へ向かう。

 入学式はつつがなく終了した。会長の言葉はやはり人の上に立つ者の言葉で、新入生代表の少女も堂々としていた。

「あの新入生代表の娘、可愛かったよなー」

 式場からの帰り道、ガイがそんなことを言っていたので思い出す。綺麗な銀髪で腰まである髪をポニーテールでまとめていた少女。

「まあ、可愛かったが…おそらく無理だから憧れだけにしとけ」

「ちょ!ヒデェ!?やってみなきゃわかんねえぜ?」

「ハハハッ」


 クラスに戻ると直ぐにホームルームが始まる。大体の授業の流れを説明すると、自己紹介が始まった。

「まずは私から、皆さんを受け持つクリストファーです。クリス先生と呼んでください。回復の神性を持ってますので怪我したら私のところまで来てください。」

 と言った感じで自己紹介が始まる。

 順番が来たので立ち上がる。

「カイト=スロノクです。解析の神性が得意です。これからよろしくお願いします」

「ガイノス=ディミニウムっす。気軽にガイって呼んでください。素手での攻撃の神性が得意です。よろしく!」

 俺の後に続いたガイも自己紹介を終える。

「カイトって結構レアな神性なんだな」

「まあな、つかガイ。お前素手なの?」

「おうよ!殴り合いが得意だぜ!」

「うわー…ぜってぇ喧嘩したくねぇ」

「イヤ、さすがに喧嘩に神性は使わねぇよ!?」

「でも…鍛えてるんだろ?」

「コンクリなら砕けるな」

「うわー…」

 そんな馬鹿な話をしていると、隣の少女が立ち上がった。

「シリア=シルバリオです。入学式で言ったようにこの学園で皆さんと共に切磋琢磨していければと思います。強化系の神性が得意です。」

 そう、新入生代表の少女。シリアは隣の席だった。最も俺もガイもまだ話してないが。

「シルバリオってーと名家じゃねえか、シルバリオさんってお嬢様?」

「そんな大層な者じゃ無いですよ。それと、同じクラスで席も近いのですからシリアで大丈夫です。」

「シリア…さん。俺はガイで良いぜ。こっちはカイト」

「ガイさんにカイトさんですね。よろしくお願いします」

(おい、勝手に人を巻き込むな)

(良いじゃねぇの、こんな美人としりあいになれるんだぜ?)

(ハァ…)

「よろしくな、シリア」

(イキナリ呼び捨てとか…)

(そう呼べっつったのは向こうだろ)

(ないわー、カイトくんないわー)

(その呼び方やめろ)

「お二人は知り合いだったのですか?」

「いや、今朝知り合ったばかりだぜ?」

「それにしては随分中がよろしいのですね?」

「まあ、こっち来て初めての友達だしな」

「それは羨ましいですね」

「いやいや、シリアさんももう友達でしょ?」

「よろしいのですか?」

「こっちはオールオッケー。な、カイトくん」

「だからその呼び方やめろ。シリアさえ良ければ友達だ」

「ありがとうございます。男性の方のお友達は初めてです」

((お嬢さまだ…))


 自己紹介が終わると、次は実技の説明だった。どうやらクラス分けは神性の適性で決められたらしい。

「ではまずは神性の正確な値を図りましょう。この値によって自分がどのクラスなのか、暫定的に調べられますので」

 神性のランク。神性は総量、技術、速度によってランク分けされる。ゼウスの神性を持つであろう会長は全てSランク。SSランクの適性保持者というように。

「では、三人一組で測定してください」

「シリアさん、カイト。行こうぜ」

「そうだな」

「ええ」

 まずはシリアが測定する。測定器、先端に球のついた測定器に手を触れ、結果がモニターに表示される。測定値はSは示していた。

「うぉ…スゲえ」

「流石は学年トップですね」

「クリス先生、いきなり現れないで下さい。びっくりします」

 ガイが感嘆していると、いきなり隣にクリス先生が立っていた。

「失礼、普通に近づいたつもりでしたが…よく存在感がないと言われるものです」

「この後に測定するのってキツイな、カイト。」

「良いから早く測定しろ」

 その後ガイの測定値はAA十分高い値だった。

「ガイも結構高いじゃないか」

「いやー、結構行くもんだな」

「流石はガイくん、学年二位は伊達じゃないですね」

 クリス先生がそう口にする。

「え?学年二位?俺が?」

「ええ、そうですよ」

「ほぇー」

「凄いですね、ガイさん」

「シリアさんのが凄いでしょ」

 そんな事を後ろで話している中、俺は測定器に手を載せ、目を閉じて自分の中の神性に手をかざす。

 目を開けると、測定値は…Sを示していた。

「すげぇ…」

「Sランク…?」

「…」

 後ろでは三者三様に驚いている。クリス先生の驚き方は一番大きい。当たり前だ、入学前、Aランクの人間がいきなりAAを飛ばしてSまで上がったのだから。

(さて、これで準備は整った。あとはなるようになれだ)

 神性の総量は由来となる神によって決まる。基本的にAA以上は十二柱神クラスを由来とする神性。A以下はその他の神、または神の憲兵を由来とする神性。

(これで三体の神は確認できた。後九体、早く見つけなければ)


 神の戦争は動き出す。神話の終わりに向けて。

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