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兵隊さん達の実力

真っ黒集団は再集合していた。全員の服が水を吸っていて身体にまとわりついて動きづらそうである。

さっさと脱いで乾かせば良いのにそのまま着ているのは正装だからかな。

クラウさんも運ばれてきて相変わらずぐるぐる巻きにされて寝転ばせられているようだが、先程までとは違い動いている。

上から下までぐるぐる巻きだからまるで芋虫みたいだけど生きていてくれてて良かった。

まずはひと安心である。

再集合した真っ黒集団は、場所を変えるようだ。

4人でぐるぐる巻きにされて暴れるクラウさんを抱え上げている。


でももう遅い。

時間稼ぎ完了である。

森の切れ間から兵士さん達が続々と現れる。

あとは任せておけば大丈夫だよね。

真っ黒集団は抵抗していたが次々に切り伏せられ捕らわれていく。

最後に黒い法衣をかぶった人が残った。傍らにはクラウさんが転がっている。

クラウさんには杖を向けて兵隊さん達を牽制している。

「それ以上近付くならこの娘を殺す」とでも言っている雰囲気だ。ここからでは聞こえないけど。

でも兵隊さん達は動きを止めたから間違った妄想ではないだろう。

だが動きを止めたのは森から出ていた兵隊のみ。後方のいまだ森に居た兵隊さんの一部が少しずつ移動していく。

相手が人質を取ることなんて想定内だったようだ。

黒い法衣を着た人だけを狙えるポジションにつくと、躊躇なく魔術を使った。

黒の法衣を着た人物は目の前の兵隊さん達のみ注意が向いている。

そんな時に土魔法の音も光も熱も発しない石つぶてが飛んできても気がつかない。

石つぶては黒い法衣を着た人の右肩に当たった。

石つぶての大きさは小さくダメージは殆ど無さそうだ。

当然、黒い法衣を着た人は倒れることもなく、石つぶてが飛んできた右側を見ている。

なんでそんなダメージの少ない攻撃をしたのかは直ぐに分かった。

黒い法衣の人が右を向いた瞬間に左側に居た兵隊さんが駆け出してきて、そのまま体当たりをしたからだ。

黒い法衣の人は体当たりをした兵隊さんと共に倒れる。

杖の先が人質から離れればもう兵隊さん達を留める枷はない。

その後、他の兵隊が群がりあっという間に捕縛されていた。

流石は兵隊さんである。

シチュエーション別に日々訓練を行い状況に慌てることなく、それぞれが必要な行動をする。

その行動にまったく無駄がない。

兵隊さんを敵に回すことはしないように気を付けなければいけないよね。

それにしても土の魔道具って威力が弱いのになんで店で売られていたのかようやく分かった。

土魔術は魔物に対して威力がまったく無くて役に立たないと思っていたが、牽制や注意を剃らすために使う物なんだね。

そう言えばアタシも魔王(ヨミさん)の気を剃らすために使っていたじゃないか。ほとんど役に立っていなかったけど。

敵と対峙した時に見えない場所から背後に石つぶてを落とされて音がしたら無意識にでも振り返ってしまうよね。

その間に対峙している人に斬られてしまうかもしれない。

多対一のシチュエーションならそれだけで勝負が決してしまう。

なるほど勉強になりました。

土の魔道具は動物を誘導して罠にかけたり使い道は他にもたくさんあるしそもそも使えない道具が売られている訳がないよね。


そんな事を考えていると、眼下ではクラウさんが解放されていた。

そしてこちらを見て頭を下げている。

水魔法を使った時に潜伏スキルが解除されてしまったけど、その後直ぐに潜伏スキルが使えたから見つかっていないと思ったのにバレたのか。

でも今でも身体は見えていない。

たまたまなんだろうか?

真っ黒集団は服を脱がされ普通の集団になって数珠繋ぎで縛られている。

それを兵隊さん達が囲んで移動を始めた。

水浸しな場所からとりあえず移動をすることにしたのだろう。

アタシはクレーターの天辺を忍び足で移動しながら着いて行くことにした。

何にしても荷物を渡すために一度接触しないといけないからだ。

2時間後、岩砂漠の手前で行軍を止めて夜営の準備をしはじめた。

接触するなら暗くなってからだと決めてアタシもたいしてお腹がすいているわけではないが夕食を取ることにした。

そして夜の為に岩場の影に潜み早めに眠りについた。



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