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魔獸の主人 ~強さよりも可愛さ重視の命がけ子守り日記~  作者: ゅぇ
序章 ~現実から異世界転送編~
4/12

4、はじめての運命共同転送体験

「とにかく運命共同デスタンコモンすれば全部共有できるんだろ? 俺と一緒になればチビ玉にも肉体ができるんじゃないのか?」

『そんな無茶苦茶な理論が通じるわけない……ですが、それに今はかけるしかありません! お願いします! どうか私を助けてくれませんか?』

「まかせろ! いくぞ!」


 俺は強く念じる。


「……」

『……?』


 更に強く念じる!


「よっしゃ! えい! とぉ! このっ!」

『……?』

「え~っと……運命共同デスタンコモンってどうやるんだ!?」


 教えてもらってないのに使えるわけないわな。

 

『最初っからおっしゃってください! 今の時間で浸食率が5%は増えて――』

「――いいから早く!」

『今すぐ私に触れて下さい。そして思いを込めて私に命名を!』

「了解!」


 手を伸ばせばすぐそこには弱々しいチビ玉。

 光の玉をどうやって触ればと一瞬だけ悩む……

 とりあえず光に手を突っ込んでやれ!


「俺の名前は日向野育人ひがのいくと! 君の名前は……白玉しらたま! 一緒に生きよう、運命共同デスタンコモン!!」


 不思議な感覚だ。

 白玉しらたまに触れた手が熱い。

 胸の奥も熱くなる。

 でもそれが心地良い感じで……

 俺の手の中に少しづつ重みを感じていく。

 間違いなくその手に何かが乗っている。


『あなたに感謝致します』


 その手に乗ったモノが俺を見つめる。

 それはとても小さな真っ白いヒヨコ。

 くっそ可愛いんだけど!!


「ヒヨコかわいすぎ!」

『ヒヨコですか? え? あれ? 私の体……えぇえぇ!?』


 俺の手で可愛く踊るヒヨコに癒されてるのもいいんだが……

 何か嫌な予感がする。



 ジャラララッ、ジャララララッ……



 やっぱりか!

 空から大量の鎖が俺めがけて下りてくる。

 狙いは白玉しらたまなんだろうけど……

 こんなのに当たる程トロいつもりなんてないからな!



 ジャラララッ、ザザッ……



 よし、前に走り出して上からの鎖は避けれた。

 前から二本鎖が来るのも見えてるぞ!



 ヴォンッ、ジャララッ、ジャラララララッ……



 体を右にひねり二本の鎖を避けきった。

 いける。

 これ位のスピードなら……

 ん?

 数が増えてきてる!?

 大丈夫、これくらいなら避け続けれる……


 ジャララッ……


 頭を下げろ!


 ジャラララッ……


 左足を上げて右手後方へ!


 ジャララララッ……


 しゃがめ。

 すかさず前に飛ぶ。


 ジャラララララッ……


 止まるな!

 身体を後ろにひく!


「ふぅ……」

『凄い……さすがです御主人様マスター!』

「え? 何?」

『これからはそう呼ばさせてもらいます』

「なんか照れくさい――」

『――上空から全方位攻撃きます! その数……100!』

「えっ? ちょっ、それさすがに避けれないし!?」


 無理ゲーですか?

 いやいや、あきらめるな俺!

 とにかく走り抜いて攻撃外まで逃げるしか……


『分析終了。右斜め前に15メートル程進んでください!』

「え?」

『私を信じて下さい!』

「……了解!」


 15メートルってのもなかなか微妙な距離だが……

 感覚だが右斜め前に走り出し15メートルらしき距離にまで移動する。


『止まってください! ココがポイントです! ここでグリコのポーズを! 私を右の手に!!』

「本気!?」

『着弾三秒前! 早くっ!』

「やけっぱち!」


 俺が素っ裸の投げやりグリコをきめた瞬間――



 ――ギュララララッジュララララララッヴゥララララララララッ!!!



 視界を埋め尽くす鎖の雨……

 オワタ。

 俺はギュッと目をつぶり覚悟をきめる。

 痛いんだろうなぁ……



 ……?



 あれ?

 体のどこも異変なし?

 痛覚は遮断してるのかな?


『被弾率0%。なんとかしのげたようです』

「嘘っ? グリコで!?」

『はい……とはいえ、次は避けきれなさそうですが……』


 白玉しらたまが手のひらで天井を見つめて青ざめている。

 俺もつられて天井を見上げると暗くてよく見えない……

 嫌……

 ヤヴェえぇえぇっ!?

 暗くて見えないんじゃなくて、天井いっぱいに鎖が落ちてきてるのか!?


『攻撃数……多数、確認不能ですね……』

「言われなくても分かるって……今度はどこでどんなポーズすりゃいい?」

『……多少強引ではありますが、残された能力ちからで異世界転送をします!』

「転送できるならすぐやってくれ!」

『……ですが、ほとんどの能力ちからを奪われている為に私ができる方法では――』

「――説明は後! 即実行!」

『分かりました。転送開始!』

 


 キィイィーン



 まぶしっ!?

 予告なしフラッシュ目潰しとは酷いよ白玉しらたま

 しかも、甲高い音と共に閃光の威力が増しているような気も……


「ちょっと! 白玉しらたまさん? どうなってんの?」


 目があけれない光を放つヒヨコってなかなかシュールな絵だけど……

 マジまぶしい、マジうるさい!

 目を押さえるべきか?

 耳を押さえるべきか?

 どうすべき!?

 ぶっちゃけ今は目を閉じて耳を手でふさいでますが。


「コレどうなんの!?」



 キィイィイイィーンッ



 ちょっ!?

 さっきより光も音も強くなった!?

 これ以上やられたら鼓膜破れるから!

 目が焼けちゃうから!


「手加減してもらえませんかね!?」



 キィイィイッィィイィイーンッ



 また増した!?

 殺す気ですかっ!?

 これ運営の仕返しだったりする!?

 いろいろ言う事聞かなかったからおしおきされてるのか!?

 どくろ〇ぇ様お許しくださぁぁあぁあいっ!!


「ぐっ……うわぁあぁあぁーっ!」


 ふざけてる場合じゃねぇ……

 マジで頭が割れる……

 くそっ、覚えてろよ……

 


 絶対にレポートでくそぼろに書いてやっからな!!



 ヴバッ、グボボッゴボゴボボッ……



 ぐるじぃいっ……

 今度はいきなり水攻めかよ!?



 ゴボゴボッ、ブグブググッ……グヴァッ……



 ダメ……だ……

 息が……もた……な……ぃ……

 ……誰か……助けて……



『卵の孵化条件が達成されました』



 パリッ、パキパキパキッ

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