3、スキルと卵と……呪いを選んだ
ドラゴンとの関係……
なんかピンとこないよな?
聞いてみるか。
「――話が戻るんだけど、飛竜騎士の場合って、ドラゴンとの関係は召喚獣と服従魔獣のどっちになるんだ?」
『どちらでもありません。ドラゴンとの関係は「運命共同」となります。これは特殊なスキルであり、通常ならば習得するコトは出来ません。ですがあなたには、このスキルを使える才能があるんです。だからこそ、あなたが稀少な存在であり英雄となれる理由なのです!』
チビ玉さん盛り上がってきたね。
『運命共同とは、信頼しあい絆が生まれたモノ同士が、肉体的にも精神的にも1つとなる奇跡の技だといわれています。意識を共有しあい、互いに考えている事が伝わるようになり、生体エネルギーをわけあう事でどちらか一方の食事だけでも生きていくコトが可能となります』
「すげぇ……じゃ~運命共同で繋がれば心は通じあい、俺が飯を食ってればみんなの食費もかからないってこと!?」
『……先に警告しておきます。運命共同で繋がるというコトは、命を相手に預けた状態だというコトです。どちらかが怪我をした場合には痛みが伝わりあい、死んだりした場合には……たとえ片割れが無傷であれ同時に死にます。生も死も共有してしまう危険なスキルなのです』
運命共同。
言葉の通りに生きるも死ぬも運命を共にする能力ってコトか……
『本来、ドラゴンや多くの上位種の魔獣は、生育環境や食事が特殊なモノが多く、飼育はほぼ不可能だと言えます。魔獣召喚契約するにも捕獲するにも、力が巨大すぎて通じません。つまり、運命共同でしかドラゴンなどの上位種の魔獣は扱うコトができないんです! あなたがどれだけの凄い能力があるのかを分かって頂けますか!?』
あぁ。
よく分かった。
今の俺がやるべき答えがハッキリと見えた。
「……これはつまり……下位種の魔獣を選びたい放題ってことだ!」
『……下位種の魔獣と運命共同する気ですか?』
「もちろん」
これで俺の夢が達成される。
見えてきたぞ……モフモフパラダイス!!
『本気なんですか? 魔獣が死ねば……あなたも死ぬ事になるんですよ?』
「いや、守るし」
『ですが強い敵と遭遇した場合には――』
「――お願いします」
『……何を言っても無駄のようですね。あなたに「使役魔化」や「眷属同化」のスキル取得の才能があればそちらを薦められたのですが……仕方ありませんね』
チビ玉さんの言い分が至極まともなのは重々承知しております。
んが、しかしっ!?
男は時に、ロマンの為ならば……
命懸けでバカやらなきゃあかんのですよ!!
「ふっ……分かってもらえてうれしい限りです。まずは運命共同習得でお願いします!」
『了解致しました。運命共同スキルには膨大な数値を変換に使用しなくてはいけませんがよろしいでしょうか?』
「やっちゃってください!」
頭を下げてお願いしてみました。
目にはプラプラ揺れてる俺の息子がうつるわけで……
素っ裸で礼とかシュールな光景だよな……
っ!?
ヒュン
えっ!?
今……チビ玉さんが胸を突き抜けてったように見えたんですが!?
あわてて前を見るといつの間にやら水色に光っているチビ玉さん発見。
焦った。
気のせいか……
ん?
んん?
……ほんのり俺の体も水色に光っているような?
『無事習得ができました。おめでとうございます』
「そうなの?」
え?
なんか全然実感わいてこないけど?
おっ、チビ玉さんがいつもの白っぽい感じに戻ってる。
『職業はどういたしましょうか?』
「ぶっちゃけ職業なんでもいいや。職業つくにも数値使う感じなら後回しにして、先に卵選びがやりたいかな」
『……そうですか。下位種の魔獣の卵は先程に伝心した通り――』
「――嫌々、コレって全部じゃないでしょ? 進化とかしなくていいから全種類見せてよ」
これがまた……可愛いのがいないんだよ。
カッコ良さそうのはいるんだけど違うんだよねぇ。
「もし出来るなら……見た目可愛いの優先とかで選べないかな?」
『……伝心致します』
キタキタキタきたぁぁあぁあーっ!!
なんでもっと早くにコレ送ってくれなかったかなぁ。
今俺の頭の中は、にゃんこにわんこに様々なモフモフ達が……ぐへへっ。
んっ?
……なんだとっ!?
パンダやペンギンまでいるではないかっ!!
ジュルルッ……
たまらんぞコレ。
マジでガチなヨダレものですぞ。
「最初っからコレ教えてくれてたら」
『育成方法不明なモノや、剥製などの観賞用にしか利用されていない下位種の魔獣なので、戦闘には不向きだと判断していました。申し訳ありません』
確かに今欲しいと考えてる奴らは……戦えないだろな。
大きさも小型犬位っぽいし。
『育成の記録もなければ、進化したという前例も今の所はないようですが……あくまでもそれは下位種の魔獣を成長させようとした人がいないというだけのコトです。成長次第では進化する可能性も十分にあるかと思われます』
「それ困るんだけど」
『え?』
だって進化って……絶対に不細工になるじゃん!!
デジ〇ンやポ〇モンがいい例だよ。
ピ〇チュウからラ〇チュウに進化させる奴なんて極悪非道な奴に決まってるし。
「進化キャンセルとかできる?」
『……進化キャンセルですか? 進化を止めるようなスキルは存在致しません』
「えぇえっ!? そこなんとかしてよ!」
ドラ〇も~ん!
どの御三家ポ〇モンも、進化した成れの果てを見てみろよ!
あんなに可愛かったのに……
レベル上げで進化キャンセルボタンを押し忘れたが為に何度泣かされた事か……
あんな思いはこのゲームではしたくない!
『……進化を止める方法がないわけではありません……』
あるんじゃーん!
マジ止めようかと思ったよ。
『……ですが絶対にお薦めはできませんよ』
「なんで? 強さとかは求めてないんだよ? 弱いまんまでいいから」
『……本当にいいんですか?』
「いいんです!」
『……では、方法は1つだけです……』
「んで? その方法は?」
『……あなたが呪われる事です』
「OK! どーんとこいっ! 呪いの1つや2つ、いくらでも……って、えっ? 呪いっ!?」
えっと……
さすがに……
無理っぽいぞ?
『あらゆる進化を衰退させる「進化衰退」という呪いが存在いたします。それは、本人を含めた周囲666センチ以内に無差別で影響する「感染型」な呪いです』
666センチ!?
オー〇ンか?
なんか数字が中途半端すぎて凄さを感じないけど……
『かなり強力な呪いなので一度呪われてしまえば解呪は不可能です。つまり、この呪いを受け入れた時点で、側にいる魔獣はおろか他の人間も、スキルも、職業も、装備も……一緒にいるというだけで何もかもが進化しなくなります』
「強くなれないと?」
『いえ、成長は致します。更なる強みへの足掛けを失うだけです』
普通はこの話しをされた時点で「ダメだろそれぇえぇえっ」なんて思わなくちゃいけないんだろうけど……
なんか大丈夫そうな気がする。
うん、大丈夫だな。
「よし、その呪いもいっちょ頼みますわ」
『……話しは聞いておられましたか?』
「聞いてたけど?」
『……この呪いはまったくもって役に立たないうえに、そのくせに、呪いを付与させる為にはかなりの数値を変換しなくてはいけませんが……よろしいんですね?』
「了解。よろしく」
数値が減るのは痛いところだが……不細工進化を見ずにすむならよしとしよう。
『……分かりました』
ぉおーっ。
チビ玉さんが今度は黒く変わった。
なんともまぁ、まがまがしい感じになっちゃって……
あっ!
ヒュン
また体を突き抜けたよ。
うわっ……
体から黒いモヤ出始めたけど……コレは気持ち悪いわ。
『……これであなたは呪われました』
おっ?
チビ玉さんがまた元の色に戻ってますな。
しかし、色の変化もしかり……元の場所に戻ってくるのが早いね。
「さてさて、これでいよいよ卵選びかな?」
『最低限必要なモノとして、「語学通訳」のスキルや戦闘用のスキル、職業、装備など、まだ数値を変換しておかなくてはいけないモノが――』
「――そんなの後々。最悪なくたっていいんだから。それより、残った数値全部使って下位種の卵は何個位いけそうかな?」
『……本当に全てを下位種の魔獣の卵に使用する場合、残りの数値からして……六個が限度かと思われます』
「六個かぁ……」
十個位欲しかったけど、仕方ないか。
「よし。じゃー早速……って、この場合はどうやって選べばいいんだ?」
『イメージして頂けばこちらで準備いたします』
「OK!」
俺はもらったイメージの中で可愛い奴をセレクト!
本当はワンコやニャンコにしたいんだけど……
どうせなら現実では絶対に飼えそうにない凄そうなのを選んでいく。
これはなかなかおもろいコトになるぞ……
『……ハズレパンダー、リズムラッコ、ファイアレオ、アイスペンギン……ですね……』
「おっ? マジで伝わってる」
パンダにラッコは絶対にはずせないでしょ!
ライオンは本来なら興味ないんだけど、このファイアレオって奴は子猫みたいな大きさで超可愛いんだよね。
そしてペンギン!
だってリアルにペンギン買おうとしたら100万かけて施設つくらなきゃいけないって話しだし、ペンギン飼いたいって思うのは男のロマンみたいなもんだと思いませんか?
『……あの、よろしいでしょうか?』
「ちょっと待って。残りの二個は悩むんだよねぇ……」
やっぱりワンコやニャンコが欲しい……
でもリスとか狼もすてがたい……
くそぉーっ……
どうする俺!?
『――待ってください。お願いですからこれだけは聞いてください。どうかあなたの為にも、選んだ魔獣達の為にも聞いてください』
あちゃー……
やっぱやり過ぎたかな?
完全に見た目可愛さ重視で、戦えないのばっかり選んだしね。
『せめて戦える中位種の魔獣を一体だけ選んではみませんか? 残りの数値で下位種の魔獣を二体を選びたいのはよく理解しております……ですが、一体だけにはなってしまいますが、今までの流れに負けていないとっておきの中位種の魔獣が存在致します』
なんですと!?
気になるじゃないか……
「……聞かせてもらいましょう」
『ありがとうございます。中位種の中に、確かな強さを持ち、気位が高く性格が難ありで、食料確保も難しい、飼育不可能とまで言われている幻の魔獣がおります。その名を……ユーカリナイト』
こっこれは!?
チビ玉さん点滅で流れくる新情報。
間違いなくイイ!
まさにこれは……
コアラだぁぁあぁ!!
文句なし!
素直に従います!
「じゃーっ、最後の子はそれでお願いします」
『ありがとうございます。これですべての数値の変換が完了いたしました……最後に確認ですが、運命共同のスキル習得、進化衰退の呪い付与、ハズレパンダー・リズムラッコ・ファイアレオ・アイスペンギン・ユーカリナイト以上五種の魔獣の卵の生産……これにより、職業、戦闘スキル、生産スキル、装備品、語学通訳などは未取得として変換しないモノとする……この状態で異世界への転送となります。これが最後です。本当によろしいでしょうか?』
後悔するのは先の自分にまかせた!
今、この瞬間は後悔なし。
「……お願いします」
頭を下げてお願いしよう。
自分でもめちゃくちゃなコトを言ったと思う。
でも、やっていける……
いや、やってみせる!
体からはまだうっすらと呪いのせいで黒いモヤが出っ放しで、俺の息子からも黒オーラ発動なんて気持ち悪い絵だけども……
この呪いだって俺には絶対に必要なんだ。
『……頭をあげて下さい。頼まれなくてもあなたを導くコトが私の仕事ですから。すべて言われた通りに変換終了しております。ただ……一言よろしいでしょうか?』
頭を上げてチビ玉さんを見て……ん?
なんかチビ玉さんの周りに黒いモヤかかってない?
「あの、チビ玉さんのまわ……」
『チビ玉ではありません! 黙ってお聞き下さい! あなたはバカですか? それともマゾですか? 究極のドMですか? 人が一生懸命分かりやすいように説明しているというのにちゃんと聞く耳をもっていましたか? 無視ですか?』
「えっと……いきなり毒舌ってキャラチェンジ?」
『毒舌ではありません! 苦言を届けているだけで……私、どうしてこんなコトを言ってるんでしょうか?』
これってゲームのバグ?
しかも原因が俺のせいかも……
チビ玉さんの周りにかかった黒いモヤって俺から出てる奴だよね?
これが進化衰退の影響?
でもこれ進化とか関係なくない?
『……この呪いは……そういう事でしたか。私はいつの間にか利用されていたんですね……やはりあなたは英雄になるべき方のようです』
チビ玉さんの発言が意味不明すぎる。
『……どうやらこの状況に気付かれたようです。これ以上ココにいるのは危険だと判断致します』
なんだ急展開か?
いまいち話についてけない流れだな。
別にこれといった変わりはないんだけど……
そういえば、なんだか視界が赤くなってきてる?
うん、赤い。
赤い、赤いけどやり過ぎじゃない?
なんかドンドン全部真っ赤になってきてますけど!?
「ちょっと! これどうなってんの?」
『大丈夫です。すぐにでも異世界転送を……』
ジャラララララッ、バシュンッ
「え?」
突然空から鎖がふってきてチビ玉にまきついたみたいなんですけど。
『……くっ、せっかく自分を取り戻したのに……このままではすべて吸収されて……』
「え? これ何かのイベント? 大丈夫?」
鎖に繋がれたチビ玉が点滅しはじめたけど……
今までの様子と違って光が弱くなっていってる気がする。
『……くっ、浸食率15%……能力をいくつか封じられてしまいました……浸食率17%、20%、25%……このままでは知識や記憶まで失ってしまいます!』
「え? どうしたらいいんだ?」
『精神体のままでは抵抗できません……肉体さえあれば……』
「そんなコトいわれても……あっ!」
凄いコト思いついちゃったかも!?
これがもしイベントならそういうコトなのか?
『……浸食率40%を超えました……私はダメなようですね……』
「あのさ……俺と運命共同するのはどうかな?」
『へ?』
こういうイベントじゃないの?