12、ヒロイン目線→憧れは決意へ
……この人は怖くない。
第一印象は素っ裸。
最悪な出会い。
なのにそう感じた。
なんでだろう?
上手く説明が出来ない……
でも気持ちはシンプル。
この人はイヤじゃない。
「えっと……仲良く……仲良くしてもらえないかな?」
私の口から出たやっとの言葉……
これは本音。
今までの人生は目の前に男性がいるだけでダメだった。
本当に何もかもがダメだった。
見るのも、話すのも、傍にいるだけでも耐えるコトが出来ない私。
どれだけ努力しても変えるコトが出来なかった人生。
それがまるで嘘みたい……
今、目の前にいるこの人の性別は間違いなく男。
私よりも可愛い顔してるけど性別だけは誤魔化せない。
あれだけ人生で拒否してきた男なはずなのに……
やっぱり全然イヤじゃない。
もしかしたら……
胸がない女子とか?
いやいやいや。
……裸を見ちゃったわけだし男で間違いないか。
あっ!
その、あれ、大事な所は見てないから!
そっ、そこは目をつぶってたから!
そこだけは勘違いしないで!
……とにかく、顔が可愛いとはいえ男だってコトはよーく分かってる。
だからこそ……
今、私が感じてる気持ちは奇跡かも!?
こんな風に思える日が来るんなんて夢かもしれない……
この人と話したいと思ってる。
もっと一緒にいたいと思ってる。
男に対して今までこんな気持ちになれたコトなんか一瞬たりともない!
……裸がなんだ!
装備がないとか、スキルがないとか、弱いとかそんなのどうでもいい!
「それでもいい! ……一緒にいちゃ……ダメ?」
私の精一杯の気持ち。
告白に聞こえたかもしれない……
誤解されるかも……
でも、それでもいい。
だって告白するようなモノだし。
こんな気持ちにさせてくれる男性が現るのは、人生最初で最後かもしれない……
運命の出会いだ!!
「えっと……このマント返さなきゃだし、とりあえず俺の装備がそろうまでは一緒にいてもらっていいかな? その後のコトはまたその時に考えるとして――」
「――ありがとう!」
期待した反応じゃない……
ずいぶんと曖昧な答え……
多分、私の気持ちになんてまったく気づいてない感じ?
……でもいいや。
決めた!
慌てる必要なんてないよね?
まだ出会って十分もたってないわけでしょ?
だったらこれからだよ!
これからちょっとづつこの人を知っていこう……
――――
――
―
それからいろんな話しをした。
育人君はおもしろい。
それに普通じゃない。
どっちかといえばおかしいのかも?
でも、もっと好きになった。
私には考えられないような壮絶な人生を過ごしていて……
普通の人なら不幸過ぎて立ち直れないような出来事づくしなのに……
それを笑い飛ばせる強さを持ってる。
うらやましい。
私のコトも少し話すコトが出来た。
実は育人君と一緒で私も施設育ちだったりする。
でもそのせいで私は何度か怖い思いをした。
それは男性恐怖症になっちゃう位の悲惨な体験……
「わかる! 俺、その気持ちマジわかる! あのおぞまし目といい、キショイ息づかいや寒イボ立っちゃうあの手つき……姫ちゃんも辛かったよな……」
不思議なコトに、この思いを誰よりも分かってくれた。
それどころか育人君の体験をよくよく聞いていたら……
私の体験なんてカワイイものかもしれないって思えるようなガチンコな話しばかりだった。
育人君は凄い。
凄すぎるよ。
私もそんな風になりなたい。
―
――
――――
「やっぱり初心者の森って言うだけあって出てくるのザコばっかだな」
「……うーん、育人君が凄いだけかと」
『姫さん。御主人様を甘やかさないでくださいね』
「なんだよそれ!」
森の中に出てくる魔獣は育人君が全部戦うコトになっていた。
白玉ちゃんっていう白いヒヨコさんの命令なんだけど……
私も、ラッコの山彦ちゃんも、パンダの黒雪ちゃんも、コアラの御剣ちゃんも、みんなのんびりと後ろからついていくだけ。
育人君は次から次へと出てくる魔獣を簡単にあしらっていく。
それを細かくダメ出しする白玉ちゃん。
職業も戦闘スキルもないとか言ってたけど嘘だよね?
怪我しそうな雰囲気もなく、危なげなくドンドン進んでいくし……
私の魔法が役に立つ場面はなさそう。
ブン、ブンブン、ブンッ
「……よっと。ホイ。ほいほい、おっとっとっ……」
『右手後方の木にいるガンキャタピラーに気付くのが遅すぎますね。注意力が足りてません』
「えーっ!? 一発も当たってないし」
育人君は拾った枝を上手く振り回して、デッカイ黒い毛虫の糸吐き攻撃をすべて枝にからめとっている最中です。
私が初めてこの森に入った時はあの毛虫の糸に絡まって何度大変な思いをしたコトか……
『たった七匹程度の同時攻撃なら瞬時に判断してさばかなければ、この先私達を守れませんよ?』
「だから一発もあててないでしょが!?」
育人君の言う通りかな。
森のいたる所から糸が飛び出してくるのに対してすべて枝をぶつけて防いでいく。
右から左から上から後ろから……
正直に、どうやったらあそこまで見事に防げるのかが理解できないんだけど……
「どうやったらそんな簡単に防げるの? 私なんて初めての時は糸まみれになったよ?」
「へぇ~。じゃぁ姫ちゃんはどうやってココ抜けたの? 攻撃スキルないんでしょ?」
「私は光壁陣っていうスキルで壁をつくって走り抜けただけだから」
「すげぇ。マジ尊敬」
全部の攻撃を防げてる方が凄いと思うんだけど……
「俺はね、音を聞いてるだけ。あのデカい毛虫は口から糸を吐く時に独特の音を出すんだけど……」
カチュッ、ビヒューッ……ブンッ
「ほら、音が聞こえた方向に枝を振るだけだから簡単だろ?」
カチュッって音は微かに聞こえるけど……
それがどこの方向から聞こえるかなんて絶対に分かるわけない!
育人君ってやっぱ普通じゃないよね?
「……簡単じゃないし、マネできないのはよぉーくわかった」
「えぇ。あんなに分かりやすい音出してくれてたら、攻撃予告してくれてるようなもんだろ?」
「普通の人はそんなに耳がよくないと思うよ?」
「そうかなぁ? おっと――」
――バシッ
「え?」
「このネズミも弱いくせにしつこいよなぁ」
弱い?
全然弱くないよね?
だってそのネズミってサッカーボール位あるんだよ?
まぁ実際にそれを簡単にはじきとばしちゃってるけど。
しかも片手で。
「……まったく気が付かなかった。いきなり飛び出してくるから」
「はじくだけでいいんだからドッジボールに比べたら楽っしょ?」
そりゃ理屈はそうかもしれないけどさ……
突然にそんなデカいネズミが飛びかかってきたら普通はビックリするし。
なんなら触りたくない……
『デカマウスへの反応も攻撃は見事……ですが、先程からわざと手を抜いていますね?』
「そうなの!?」
手を抜くってどういうこと?
私なんかこのネズミに初めて襲われた時は……
杖を全力でめちゃくちゃに振りまくったっけ?
当たるかどうかはいちかばちか。
超あてずっぽう攻撃だったけど無事に追い払えたって記憶しかないや。
「手を抜くっていうか……こんなに弱いのに殺す必要もないだろ?」
『しばらく動けなくなるように、顎をかすり揺さぶるようなピンポイント攻撃をして脳震盪をおこさせるその技量は見事だと思いますが……敵はあくまでも魔獣ですよ?』
そうだったんだ……
育人君がはじきとばしたネズミは動かなくなるからてっきり死んでるのかと……
でも脳震盪をおこしてただけなんだ。
ってかその技量ってどれだけ高度な技なの!?
顎をかすってゆさぶる攻撃ってよく意味がわかんないし……
「人間を襲うのはよくないけどさ。今は俺達がこいつらの縄張りに入ってるから襲ってくるんだろ? こいつらは親で子供を守ってるだけかもよ? 追っ払うだけで十分だって」
育人君はやっぱりおかしいと思う……
でも、めちゃくちゃ優しい。
「私も賛成! 育人君が大変じゃないなら、傷つけずにこの森を抜けるのはいいと思う!」
「だよねぇ、姫ちゃん分かってる!」
『……今はいいです。ですが、いつかは敵を倒す覚悟は必要ですよ?』
「分かってるって! とにかく早く森を抜けて町にいこうや」
『距離にして30メートルで森を抜けます』
……アレかな?
ちょっと先に見えている、木と木の間から漏れている明かりが森の終わりみたい。
なんのトラブルもなく森を抜けれるなんて信じられないけど……
私が初めて初心者の森を抜けようとした時なんて、魔獣に追われ、逃げまわり、迷子になり……
薬草採取に来ていた町の女性に助けてもらわなければどうなっていたコトか。
ちょっと悔しい。
私も強くなりたいな……
せめて育人君の隣をまかせてもらえるような人間になりたい。
まぁ、ライバルだらけだけどね。
「よーし、みんなついてきてるかぁ?」
「むぅ~」
「キュゥっ」
「……」
「ピクニックみたいで楽しかったか? またみんなで弁当もってくるか?」
さすがはライバル達。
みんな怖がってる様子はなし。
本当にピクニック気分なんだろうけど。
この子達もかなり強いってコトはよく分かってる……
だけど……
負けないからね!
人間なんだから私の方が有利なはず!
……だよね?
「姫ちゃんは大丈夫?」
「え? 大丈夫、大丈夫だよ! 何にもしてないし」
「ボーッとしてたみたいだから疲れてたのかなって」
「ううん。みんな可愛いなぁって見てただけ」
「だよね! マジ可愛いよね!」
「うんうん」
私も……
可愛いって言われたい……
って言ったらひくかな?
ひくよねぇ。
「あっ……」
「え?」
育人君の手が私に伸びてくる……
え!?
もしかしてココでいきなり!?
うそ!?
どうしよう!?
あっ……
でもやっぱりイヤだなんて微塵も思わない。
だったら、このまま目をつぶって身をまかせちゃうとか?
……思ったよりも私って大胆じゃない!?
こんな性格だったっけ私!?
でも目をつぶる位しか思いつかないぃぃぃいっ!!
「……」
「姫ちゃん?」
「……あれ? え?」
「肩に蜘蛛がついてたからとっただけ。 怖がっちゃダメだと思ってとるまで言わなかったけど……言った方が良かった?」
蜘蛛なんてどうでもいいし!
一瞬でももしかしてなんて考えた私がバカなだけか……
『御主人様はニブチンですね……』
「なんか言ったか?」
『別に何も?』
恥ずかしい……
白玉ちゃんには私の気持ちバレバレっぽい。
なんでも分析できちゃう能力あるって言ってたしね。
う~ぅ……
「……この音!?」
「え?」
「姫ちゃん聞こえる?」
「……私は分かんないかも」
「白玉っ!」
『大丈夫です。すでに捉えています。森での戦闘は不利なのでまずは森を抜けましょう!』
「姫ちゃんは山彦をお願い!」
「は、はい!」
言われるがままに山彦ちゃんを抱き上げる。
スリスリしてきて可愛い。
育人君は黒雪ちゃんを抱き上げてる。
でも、やけに慎重すぎるような気も……
白玉ちゃんと、卵二個を抱えた御剣ちゃんはすでに走り出している。
私にはよく分からないけど何かあるんだ。
「姫ちゃん!」
「うん!」
とにかく走ろう!
何があるとしてもみんなが一緒だから!
ダダダダダッ
出会ってまだきっと一時間もたってない……
でも、私が信頼できるようになるには十分な時間。
これ程までに頼りになる仲間とはきっと出会えない!
「はぁ、はぁ、はぁ……森を抜けた……」
ここまできてやっと分かった……
私でも気づける異変がおこってる!?
ズゥン、ドドドッ……
遠くから何かが近づく音。
でもドンドン近づいてくる……
ズズゥン、ドドドドッドォンッ……
近づいてくるスピードが異常に早い。
ちょっと怖いかも……
「大丈夫。俺がやるから下がってて」
やっぱり育人君から見ても私ってば怖がってるよね……
気を使わせてる……
ピョンッ
「あっ」
私の腕から山彦ちゃんが飛び出す。
でも予想はできた。
勇敢な性格なのは私を庇ってくれた時から何も変わってない。
きっと育人君と一緒に戦うつもりなんだ……
黒雪ちゃんも育人君の腕から離れようとしない。
御剣ちゃんも卵を遠くに置いて戻ってこようとしてる。
みんな私と違って強い……
それは肉体的強さだけじゃない。
心が強い。
『ココは御主人様達にまかせて姫さんは私と一緒に下がりましょう』
きっと白玉ちゃんといれば安全だ。
私がいてもいなくても変わらない。
きっと問題なく倒しちゃうのは間違いないだろう……
でもこれでいいの?
そんなの……
絶対によくないっ!!
「私も戦う! 足手まといだろうけど役に立ちたい!」
逃げるのも下がるのも簡単だ……
でも戦うコトだって簡単だよね?
勇気があればいい。
私は強くなりたい。
一緒に横を並んで歩きたい。
一歩後ろを着いて歩きたいわけじゃない!
「えっと……」
『足手まといなんてとんでもありません。姫さんの方が御主人様の千倍強いんですから頼もしい限りです。手伝わせて下さい』
「白玉ちゃんありがとう……」
「え!? えっと、危ないから下がってた方が……」
『役立たずな御主人様は黙っててください』
「酷っ!?」
ごめんね育人君。
これは私のワガママだと思う。
育人君にとって重荷にしかならないコトしてるのかも……
それでもあきらめたくないから!
どうか私を見て欲しい!
「白玉ちゃん指示を!」
『伝心するポイントに光壁陣を展開して下さい!』
凄い。
頭の中にイメージが伝わってくる!
光壁陣を張る場所は森の出入り口に三か所!
ズゴォーン、ドドドドッズゴンズゴンズゴォーン……
深呼吸だ。
みんながいれば私はなんだってできる!
『今から十秒後に展開してください!』
「……光よ、我らを守る壁となり……」
集中しよう。
きっと大丈夫。
『六、五、四、三……今です!』
「……広がり輝け! 三層光壁陣!」
キィィイーンッ、キィンキィーンッ!
できた!
イメージされた場所通りに三つの光の壁!
ドォンッ! ドゴォンッ! ドサドサッ!
壁が出来た直後に何かがぶつかった!?
大きなイノシシ?
『バルーンボアです! 二匹は光壁陣にぶつかって脳震盪をおこしていますが、一匹は直前に避けられました!』
「OK! 二匹も倒すなんて姫ちゃんさすが!」
「ううん、まだ一匹残ってる!」
でも嬉しい。
私の力がちゃんと役に立ててる。
『自信を持って下さい。本当に素晴らしい能力を姫さんは持っています』
私にだけ聞こえる小声で言われた……
白玉ちゃんも優しすぎる。
「山彦と黒雪は目をまわしてる奴らを念の為に押さえ込め! 御剣は姫ちゃん達の護衛!」
ガサガサッ、グォオオオーッ!!
「……俺はこいつと喧嘩ってとこかな!?」
「育人君!?」
飛び出してきたイノシシは他の二匹よりも倍以上デカい!?
一軒家位の大きさがあるなんて!?
そんなの倒せるわけないよ!!
『姫さん! 御主人様に跳躍加護を!』
「汝に空の加護を! 跳躍加護っ!」
私の杖から放たれた光が育人君を包む。
一時的に跳躍力が高まるスキルだけど……
あんなの気休め程度だ……
でもみんなを信じよう!
『もう一度、私が伝心する所に光壁陣を!』
「うん……」
え?
そこって今、育人君がいる場所だよね!?
『御主人様は分かってますよね?』
「まかせろって!」
え!?
どうするの!?
育人君を囮にしてギリギリで光の壁を張るってコト!?
そんなの私がミスしたら!?
無理だって!!
グォオオオーンッ、ドドドドドドォッ!!
走り出したっ!!
このままじゃ育人君が跳ね飛ばされるよね!?
「……光よ、汝を守る壁となり――」
『――姫さんまだです! 今の状態ではまた避けられてしまいます!』
「でもこのままだと育人君が!?」
『大丈夫です』
「え?」
トンッ
飛んだ……
確かに跳躍加護はかけたけど……
あんなにも高く飛べるモノ?
一軒家を飛び越えそうな程の跳躍!?
イノシシの頭を余裕で飛び越えそう……
バッ……グアァアァッ!?
今何かイノシシに投げた?
『今です!』
「光よ、我らを守る壁となって輝け! 光壁陣!」
キィィーン、ズガァァアアンッ!!
……ズドォォーン……
倒れた……
あのイノシシたおしちゃった!?
あっ?
ドンドン体が縮んでってる?
『見事な目潰しでしたね』
「いやぁ、よじ登ってやろうかと思ってたけど……すっげぇ飛べたから楽ちんだったわ」
「あのイノシシに投げたのって?」
「目ん玉に向かって砂をかけただけ。大物程に目ん玉がデカいから狙いやすくて。でも姫ちゃんの魔法のおかげでラクしちゃったなぁ……なんか倒したぞって気にならないね」
なんか……
スケールが違いすぎる。
「怖くなかった?」
「ん~……現実でトラックにひき殺されそうになった時に比べたらトロかったし怖くなかったかな?」
「……へ、へぇ……」
いろいろツッコミたいけど……
触れないコトにしよう。
「でも、もちろん姫ちゃんの魔法があったから怖くなかったのかも。怪我しても後で治してくれるだろ?」
「そりゃそうだけど……」
もしかしたら……
強いって言うより……
きっと……
無謀なんだ。
『今は壁に激突した衝撃で脳震盪をおこして縮んでいますが……症状がおさまればすぐにでも空気を吸って大きくなります! どう致しましょう?』
「へぇ、だからバルーンボアって言うんだ」
『どう処理致しますか?』
「処理って酷いなぁ。このまま放置! 町に向かうの優先!」
言うと思った。
でもそれがいい。
きっと襲ってきたのにも何か理由があってだし……
でも、なんでだろう?
「……この三匹は家族なのかな?」
「親子だったならなおさら放置だな!」
『この三匹は赤の他人であるオス達です。縄張り意識の強いバルーンボアが同種で争いもせずに、しかも御主人様に狙いを定めていたコトは不自然な現象だと言えます。また襲ってくる可能性も想定されます』
え?
それって育人君を狙って誰かが仕掛けたってコト?
「こいつら他人なんだぁ」
「育人君気にするところ違うから! 命を狙われてたかもってコトだよね? また危ない目にあうかもでしょ!?」
『姫さんがいてくれて本当に良かったです。バカな御主人様では説明した所で理解できないコトなので……』
「分かってるって。だけどこいつらが襲ってきたとしても、何が襲ってくるにしても何度だって追っ払えばいいだけだろ?」
どうしてこんなに余裕なんだろ?
自分が狙われてるなんて聞かされたら、私なら不安になる……
狙われた原因が分からないなんて気持ち悪い。
「白玉ちゃん。どうして育人君が狙われるのかが分かる?」
『残念ながら今の段階では推測でしかありません。もう少し情報が欲しい所ですが……』
「森の異常については町の人が何かしら情報持ってると思う!」
『……そうですね。町へ急ぎましょう』
……私は非力。
ここにいる中で一番弱くて役立たず。
それがなんだ!
こんな私でも戦うコトは出来た!
考えれば、工夫すれば何かは出来るんだ!
不安がってる場合じゃない……
育人君は絶対に私が守ってみせる!!