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第二話

時間をやや送って、話を再開しよう

そのあと、やたらババくさい口ぶりで話す少女を部屋に入れ、部屋の明かりを点けた

明かりのついた室内に謎の少女の全貌が浮かび上がる

全身隈なく褐色の肌に若葉のような青々とした緑色の髪が腰ほどまでまっすぐ伸びている

真夜中に全裸で乗り込んでくる上この風貌

明らかに普通の人間には見えない

取り敢えず適当な服を着せてから質問タイムだ


「お前誰?」

「人に成ったばかりじゃからの、名はまだない」

「どこから来た」

「おおよそ、富士の麓あたりじゃろうかの」

「俺に何の用だ?」

「用という用はないんじゃがの、何と無く?」


一応言葉は通じるようだ、話が通じるかは別問題だが


「おい、儂とて貴様のことは何も知らん、人を名乗らすならまず自分からと言うじゃろうが」


会いに来た人のことを何も知らないとか、頭おかしいんじゃないのか?

いや、そのツッコミはもう遅いのだろう

なんといっても一糸まとわぬ姿で登場するババァ口調の女の子なのだから


「…篠塚隆司」

「リュウジ、良い名じゃな」


そう言って彼女は屈託のない笑顔を見せる

結構可愛いじゃねぇかこの野郎


「用がないなら帰ってくれ」

「用はないがそれでもお主に会いに来たのじゃ、それだけ確かなのじゃ!」


とにかくそればかりを主張し続ける

いい加減頭が痛くなって来た


「わかった、わかったから静かにしてくれ」

「では…」

「とりあえず今夜はここに泊まれ、俺はもう寝る」

「そうじゃな、夜も遅いし儂も一度休むとしよう」


追い出そうかとも思ったが、流石に可哀想に思えた

それに何か悪巧みを考えてるやつなら、こうも奇天烈な接触はしてこないだろう

と言うか寝起き直ぐにこの非常事態、頭がショート寸前だ

続きは明日起きてから考えよう…

そうして俺は謎の女の子と一緒にベッドへ…


「…待て、何故ついてくる」

「お主の寝床はそちらにあるのじゃろう?なら儂もそこで寝るのが当然じゃろう」

「悪いな、このベッド1人用なんだ。お前はソファでも使え」

「えぇー!?せっかく遠路はるばる会いに来たのじゃ、儂をもっと労ってじゃのう」

「俺だって朝からバイトなんだ、とにかくベッドは俺が使う、異論は認めん。さぁ帰った帰った」


そう言って寝室から締め出し俺はベッドに潜り込んだ

流石に折れたのかそれ以上迫ってくることはなく、俺は再びの眠りについた…

と、思ったのだが

もう少しで意識が事切れるという寸前、何か気配を感じてまた少し目が覚めた

目を閉じているので状況はよく分からないが、どうせまた先の少女が抗議にきたのだろう

もう言い返したり起き上がる気力もないので、俺は背を向け無視を決め込むことにした

すると…


「…なんじゃ、思ったより広いではないか」


そう聞こえた瞬間勢いよく布団が引き剥がされ、ほぼ同時に背後に何者かが潜り込んで来た

いや、何者かなんてどうでもいいし、それは分かりきっている

問題はそこではないのだ


「ちょ、おま…!」

「つまらぬ嘘を言うでないぞリュウジよ、こうして寄り添えば二人で寝られるではないか」

「それどころじゃねぇんだよ…!早く出ろ!」

「こらリュウジ、夜も遅いのじゃから静かにせい」

「誰のせいでうるさくしてると思ってやがる!?」


つい15秒前まで微睡みの中にいたのが嘘のように飛び起き捲し立てる

仕方がないだろう、なんといっても背中に感じたあの柔らかい感触は紛れもなく…


「お、お前なんて格好で…」

「うーむ、何か着るのはどうも落ち着かなくてのう」

「それがダメだから服を着るんだよ!」


彼女はさっき着せた服を脱いで全裸に戻っていたのだった

背中にほぼダイレクトに伝わってきた感触に息も鼓動も乱れっぱなしだ


「わかったわかった、服は着よう。じゃからわしも寝床に入れてくれ」

「まだそんなこと言うかお前は!?」


そんな俺の興奮と混乱などどこ吹く風で依然として彼女はベッドに潜り込もうとする


…その後、俺は説得(というか強行)に押され、改めて服を着た少女とともにベッドで一夜を明かしたのだった

ちなみに、女の子と一つのベッドで寝たことなどなかった俺は結局一睡もできなかった

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