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第4回放送【ヴァラール魔法学院、カフェ・ド・アンジュについて】

キクガ「皆さん、いいお昼休みをお過ごしでしょうか。早いものでもう4回目の放送になります。『らぢお♪がやがや冥府』のお時間です」



オルトレイ「まーた引っ張り込まれた」



キクガ「毎度恒例、司会進行はアズマ・キクガとオルトレイ・エイクトベルでお送りします」



オルトレイ「そろそろ交代しない?」



キクガ「博識な君に抜けられてしまうと困る訳だが」



オルトレイ「イィン、そんなことを言われたら残るしかなかろう」



キクガ「そして今回の放送でもゲストの方がいらっしゃっています。この方です」



アイザック「ご機嫌よう、諸君。幽刻の河にて人気の渡守、オリバー・ハンサムが」



オルトレイ「えー、アイザック・クラウンだな」



アイザック「何故に本名をバラすのか!?」



オルトレイ「オメェの娘に言われてんだよ」



キクガ「『父は偽名を使う必要がないのに使うものだからいい加減に本名で生きろ』と。なので遠慮なくバラしていこうと思う訳だが」



アイザック「アイゼルネ〜、パパはちょっぴり悲しいぞ〜!!」



オルトレイ「娘とはそういうものだ。慣れろ」



キクガ「ショウにもいつか反抗期が……?」



アイザック「あのお坊ちゃんはそのようなことはないだろうなぁ。何せあれだけお目目キラッキラ輝かせて『尊敬しているのは父さんです!!』なんて豪語できるのだからな。心配しないでいいと思う」



キクガ「ショウ……!!」



オルトレイ「うおッ、お前の涙腺どうしたのだ!?」



キクガ「歳のせいか、最近緩くなってきた訳だが」



アイザック「そのままシモの方も緩くなると本格的に老いのサインだ、気をつけたまえよ」



オルトレイ「お前、その美形で下ネタを口にするんでねえよ」



アイザック「吾輩、事実を言ったまでだが?」



キクガ「さて、気を取り直して。今回の話題はこちらな訳だが」





現世の話題:ヴァラール魔法学院、カフェ・ド・アンジュについて





キクガ「本日の話題はヴァラール魔法学院に併設されたレストラン、カフェ・ド・アンジュについてな訳だが」



オルトレイ「まーたヴァラール魔法学院の設備か。いくつ紹介すれば気が済むのだ、あの名門魔法学校」



キクガ「それほど設備が充実しているということな訳だが」



アイザック「カフェ・ド・アンジュとは、確か天国に近い喫茶店と有名なお店だったかね。麗しい天使様が従業員として働いているのは奇妙な感覚なのだよ」



オルトレイ「あそこに行くと浄化されそうなんだよな。清浄な空気で」



キクガ「君はナメクジか何かかね?」



オルトレイ「ナメクジって言うんじゃねえやい」



キクガ「それでは、まずカフェ・ド・アンジュの写真からご覧いただこうかね」





挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)





キクガ「ほう、光で溢れていて開放感がある訳だが」



アイザック「これで地上から離れているのだろう? 高高度にこんな店を構えるとは考えられないのだがね」



オルトレイ「天国に近いって、ほぼ天国にあるようなものだろうに」



アイザック「なるほど、従業員の天使はお迎えも兼ねていると」



キクガ「そのような話は聞いたことはないのだが……」



オルトレイ「そりゃそうだ。死んだら死んだで、まずは冥府を通過せねばならないからな。そこから天界行きになるか、それとも冥府の刑場行きになるのか裁判を受けるし」



キクガ「次にカフェ・ド・アンジュの紹介をしようと思う」



オルトレイ「それは宣伝も兼ねてないか?」



キクガ「もしかしなくてもその通りな訳だが。冥府にて取り上げるから写真撮影をしてもいいかと聞いたところ、許可の条件としてしっかり宣伝をしろと」



アイザック「ふぅむ、いいように使われていそうな予感がしないでもないのだがね」





ヴァラール魔法学院併設レストラン『カフェ・ド・アンジュ』

名門魔法学校に併設された4店舗のレストランのうち、天空に浮かぶ喫茶店。天使などの天界関係者が経営を担い、サンドイッチなどの軽食から始まりパンやケーキなどの販売も充実している。

高高度にある店なので転移魔法が必須とされており、また見晴らしもいいので高所恐怖症は顔を青褪めさせる店の構造と言える。女性人気が高く、大人気商品であるふわふわなパンケーキ『パンクック』は調味料や季節の果物などで様々なカスタムが可能。





オルトレイ「ほう、パンクックか。いいものを出すな」



キクガ「このパンクックはショウもお気に入りな訳だが。季節ものの果物や様々なソース、クリームなどで自分だけのオリジナルのパンクックを組み合わせるのが楽しいらしい」



アイザック「興味があるなぁ。吾輩、そういう自由度のある料理とか大好きなのだよ」



オルトレイ「カスタムが出来るのは評価が高いな。さて、オレの場合はどうするか」



キクガ「私も何度か食べたことはあるのだが、ふわふわとした生地に山盛りのクリームが非常に美味しい訳だが。クリーム自体はあっさりとしているので甘いものが苦手なお客様でも余裕で食べることが出来る訳だが」



アイザック「甘党なアッシュ殿は喜びそうだなぁ」



オルトレイ「今度連れて行ってみるか。興奮で尻尾がぶんぶんだろうがな」



アイザック「それは見てみたい。ぜひ吾輩も連れて行ってくれたまえ」



オルトレイ「何を言う。アム坊も誘って5人だ5人」



キクガ「5人?」



オルトレイ「おいおい、キクガよ。まさか自分を頭数に入れていないとは悲しいことを言わんよなぁ?」



アイザック「我々は仲良しこよしではないか。絆を深めようとも」



キクガ「十分に仲良しこよしだとは思う訳だが。まあでも、悪くない誘いな訳だが」



アイザック「それにしても、他にもメニューはあるのだろう? カスタム出来るパンクックはもちろん、サンドイッチや他の軽食も充実していると説明にはあったのだがね?」



キクガ「そうだとも。サンドイッチの他にはサラダ、カレー、パスタなどがある」



オルトレイ「軽食か?」



キクガ「喫茶店の代表的なメニューな訳だが」



アイザック「まあ、お洒落なカフェというより魔法学校に併設されたレストランだから、それぐらいわんぱくであってもいいと思うがねぇ」



オルトレイ「専門店で食べるカレーやパスタよりも、思わぬところで提供されるそれらの料理が何故か妙に美味いという謎の理論だよなぁ」



キクガ「どうしよう、分かる気がする。蕎麦屋のカレーが美味しいみたいな」



オルトレイ「蕎麦な。あれは美味いよなぁ、自分で蕎麦打ちとか無心でやる自信がある」



アイザック「おや、まだ挑戦していないとは珍しい。挑戦しないのかね」



オルトレイ「もうやったわ。極めたと思っている」



キクガ「この前、むしゃくしゃしたとか言って蕎麦打ちを夜中に始めて大量の蕎麦を作り出し、食べきれずに私とアッシュの家に押し付けたのは記憶に新しい訳だが」



オルトレイ「局所的な記憶喪失に陥らせてもらおう」



アイザック「口がよく回るなぁ」



オルトレイ「喧しい。むしゃくしゃしていたのだ、あの時は」



キクガ「他にはそうだな。カフェ・ド・アンジュは焼きたてのパンも充実している訳だが。ユフィーリア君がよくバゲットを購入している訳だが」



オルトレイ「硬めのパンは美味しいよな。オレも好きだ」



アイザック「おつまみにも合うのだがね」



キクガ「他には惣菜パンに甘いパンなどを購入して、中庭などで食べることも生徒たちの間では流行している訳だが」



オルトレイ「美味いよな、パン。クロワッサンとかあったら絶対に買っちゃう」



アイザック「クロワッサンはとてもいい選択肢だと思うがね。ダ・マンドとかついているものも吾輩は好き」



キクガ「メロンパンやクリームパンがないのが悔やまれる訳だが」



オルトレイ「メロンパン? メロンを使うのか?」



キクガ「表面がクッキー生地でメロンのような網目をつけたパンなのだが……」



オルトレイ「ふむ、そこまで特徴が聞ければ再現できなくもない。任せろ」



アイザック「おお、料理人の血に火がついた。これは期待できるぞ〜」



オルトレイ「お前に食わすパンはない」



アイザック「そんなご無体な!?」



キクガ「それを言うならゴムタイヤ……あれ?」



オルトレイ「さて、何度か行っているキクガ君や。他にカフェ・ド・アンジュの美味い料理は知らんのか。教えてほしいなー?」



アイザック「吾輩もー♪」



キクガ「ふむ、そこまで言うのであれば。代わりにこちらも教えてほしいことがある訳だが?」



アイザック「何かね」



キクガ「天使の階級を教えてほしいのだが。ここはやはり、知っておいた方が損はない訳だが」



オルトレイ「いいだろう。交換条件成立だ」



キクガ「アイザック君は答えられないのかね?」



アイザック「おや、もしかして煽られている? 吾輩では知識が虫食いのようになっているのだがね、ここは博識なオルトレイ殿に花を持たせた方がいいかと思ったのだよ」



オルトレイ「要は回答に自信がないからオレに任せるという訳だ」



アイザック「言わんでくれたまえよ」



キクガ「アイザック君が可哀想だから、あらかじめ私が用意しておいたフリップがある訳だが。こちらだ」





ウイングチキンのカレー:高跳び鶏と呼ばれる鶏肉を使用したカレー。ピリッとした辛さが癖になる味。


天野菜のサラダ:種類の豊富なドレッシングを選ぶことが出来るサラダ。器が大きめであり、下部には麦が入れられているので腹持ちも抜群。


ローストポークのレモンソースサンドイッチ:ふわふわとした肉の柔らかさが特徴の『天空豚』を利用したサンドイッチ。酸味のあるレモンソースと肉の相性が抜群。


夕焼けナポリタン:茜色のナポリタン。肉厚な腸詰と濃厚なお味が病みつきになる。


クロワッサンサンドイッチ:サンドイッチはサンドイッチでも、クロワッサンを使用したサンドイッチ。香ばしいハムなどの加工肉、天野菜の瑞々しさ、ピリッとしたマスタードの相性が最高。パンもバターの風味が強く、具材によく合う。





キクガ「私の主観になってしまうのだが」



アイザック「パンクック以外も有名なのか。これはますます行きたくなるなぁ」



キクガ「ちなみに写真も撮ってきた訳だが」





挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)





オルトレイ「ほうほう。これは実地調査に行かねばな」



キクガ「経費では落とせない訳だが?」



オルトレイ「チッ」



キクガ「舌打ちしない」



アイザック「ほれ、オルトレイ殿や。次は貴殿の番ではないかね? 天使の説明をしたまえよ」



オルトレイ「仕方ない、約束だからな。あらかじめまとめておいてやったぞ」





天使:1番の下っ端。翼が2枚。天界においては雑務を担当したり、冥府の裁判を終えた天界行きの魂の送迎を担当。


上級天使:天使より階級が1つ上。翼が4枚。天使をまとめる天使。現場監督みたいなものを兼ねている。


特級天使:上級天使よりも階級が上。翼が6枚。上級天使の上司に当たるので現場組では1番偉い。


智天使:特級天使よりも階級が上。翼が8枚。天界の管理が主な業務であり、一般の魔女や魔法使いに魔法の力を貸すのも彼ら。魔法の力の貸与は一時的なもので弱い場合が多い。


熾天使:天使の中でも最上級。翼が10枚。天界を取り仕切る最高責任者で、現在は4人しか存在しない。一般の魔女や魔法使いに神託を授け、強力な加護を与えることが出来る。





オルトレイ「こんなものだな」



キクガ「翼の枚数で変わるのかね?」



オルトレイ「枚数が増えれば増えるほど偉くなるが、智天使と熾天使は普通の人間では認識できない。尊い存在だからな、目が潰れる」



キクガ「そうかね。気をつけよう」



アイザック「ちなみに魔族と天使が仲が悪いとはよく聞くが?」



オルトレイ「まあ、悪いには悪いが場合によるとしか言えんな。仲良い奴は仲がいいし、毛嫌いしている天使もいる。世の中、人それぞれだ」



アイザック「いい感じで締められたなぁ」



キクガ「さて、今回の『らぢお♪がやがや冥府』は楽しんでいただけましたでしょうか。次回もお楽しみに」



オルトレイ「そろそろ違う場所がやりたい」



キクガ「それは放送作家次第な訳だが」

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[良い点] やましゅーさん、おはようございます!! 新作、今回も楽しく読ませていただきました!! 幽刻の河の船頭、そしてアイゼルネさんの父親として登場した元サーカス団団長で遅刻をしてはキクガさんに叱…
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