第16回放送【冥府総督府について】
キクガ「さて、今回の『らぢお♪がやがや冥府』で最終回な訳だが」
オルトレイ「おお、やっと解放されるのか。長かったなぁ」
アッシュ「寂しくなるな」
リアム「後任が来たの?」
アイザック「そんな話はあったかなぁ」
キクガ「『らぢお♪がやがや冥府』は今後、不定期で我々が運用していく形になった訳だが」
オルトレイ「我々?」
アイザック「我々とな?」
キクガ「我々とは我々な訳だが。この場にいる5人」
アッシュ「まだ巻き込まれんのかよ」
リアム「聞いてないよ。事前に言っておいてよ」
キクガ「事前に言ったら逃げるだろう?」
オルトレイ「この野郎。まあ仕方がないから付き合ってやらんこともない」
キクガ「ツンデレか」
アイザック「聞いたことがあるぞ。いわゆる『べ、別にアンタのことなんか好きでも何でもないからね』というあれだろう? ほほう、オルト殿はツンデレという訳か」
オルトレイ「拳は何発必要だ?」
アイザック「このやり取りも何度目になるだろうな」
アッシュ「おっさんが懲りねえだけだろ」
アイザック「おっさんとは酷い!!」
リアム「事実だもの。ぼくやアッシュさんは若くして死んじゃったからおじさんだよ」
アイザック「悲しきかな、自分の死んだ年齢が恨めしい」
オルトレイ「やーいやーい、おっさん」
キクガ「オルトは50代なのに全然年相応には見えないので混乱する訳だが」
アイザック「ある意味でずるいよなぁ」
オルトレイ「ふはははははは、悔しかったら規則正しい生活を送るんだな」
キクガ「さて、そろそろ本題に入る訳だが。最終回の話題についてはこちらな訳だが」
話題:冥府総督府について
キクガ「最後は我々が勤務する冥府総督府について語っていこうと思う」
オルトレイ「給料を上げろ」
リアム「人手がほしい」
アッシュ「こっちは万年人手不足なんだよ」
アイザック「渡守の船をもう少し頑丈なものにしてほしいのだがね。いつ転覆してもおかしくない木製の船だと心許ない」
キクガ「文句を言う為の最終回ではない訳だが」
オルトレイ「冥府関係者がこれだけ集まって語ることと言えば職場に対する愚痴だろう。新卒相手に何か言えばいいのか?」
リアム「冥府はいいとこ、一度はおいで」
キクガ「一度しか来れない訳だが」
アッシュ「安心しろ、死者蘇生魔法というものがある」
アイザック「それはもはや答えだなぁ」
キクガ「さて、まずはオルトに頼んで撮影してもらった冥府総督府の写真な訳だが」
オルトレイ「地獄みたいな光景が撮影されたぞ」
キクガ「ここは地獄のようなものだが?」
アッシュ「確かに」
オルトレイ「仕方あるまいな、ほら公開だ」
アッシュ「うわ地獄」
リアム「想像以上に地獄」
オルトレイ「説明も書かされているのだがな、これ。オレだけ何で働いてるんだ」
アイザック「頭がいいからではないかね?」
キクガ「頼りにしている訳だが」
オルトレイ「ちくしょー、いいように使われてる」
冥府総督府
世界が創生されて以来、地下深くに築かれた死者の異次元世界。冥府に到達できる要素に必要なものは『死』のみ。それは臨死体験なども含まれており、死者蘇生魔法適用の一時避難場所にも使用される。
かなり広大な面積を有しており、また死者の罪によって投獄される刑場が変わる。全部で5階層存在し、さらに奥にある深淵刑場は七魔法王が第七席【世界終焉】の管轄地域とされている。冥府総督府が【世界終焉】から委任される形で深淵刑場の管理監督を引き受けている。
冥府総督府で働く獄卒は、元々は刑場で罰則を受けるはずだった死者かもしくは天界行きを拒否した使者で構成されている。主にヘッドハンティングで所属する羽目になるらしいが、厳しい審査がある。
また冥府の王である『冥王ザァト』は創生以降変わらず君臨し続ける冥府の支配者であり本来の第四席【世界抑止】だが、冥王登用試験次第では冥王交代の可能性もあるようだ。
オルトレイ「ほらよ」
キクガ「オルト、最後の記述は?」
オルトレイ「本人が言っていたからな。あとは知らん」
アッシュ「あの目玉野郎、冥王登用試験次第では退くのか?」
リアム「でもあるんだよね、冥王登用試験」
アイザック「あるとも。ただ、誰も受けるつもりはないみたいだがね」
リアム「そうだよね、冥王様は冥府の顔だもんね」
アッシュ「冥王登用試験なんてものがあるのは初耳だな」
オルトレイ「いつでも受けていいなどとオレにも言われたが、責任ある立場は呵責開発課の課長だけで十分だ。ぶっちゃけオレのような魔法使いが冥府の王など務まる訳がなかろう」
キクガ「そうとは思えない訳だが。君はとても聡明で、冷静な判断が出来る。名門魔法使い一族として当主も務めていた。それなら十分に王として務まるのでは?」
オルトレイ「阿呆抜かせ、誰が冥府の王なんぞになるか。それならキクガ、お前がやればいいだろう。何せお前は叩き上げで地位を上げてきた優秀な人材だ、オレよりも冷徹な判断を下せるだろうな」
キクガ「そうなったら誰が冥王第一補佐官をやるのかね。元よりこの椅子に座ろうとしていたボンクラに任せるのか?」
アッシュ「誰かを雇えよ」
リアム「それな」
アイザック「答えが出ちゃったな」
オルトレイ「お前の息子を引き込むか」
キクガ「ショウを殺すつもりか」
オルトレイ「そうではない。奴は冥砲ルナ・フェルノの適合者、つまり半分くらいは冥府に片足を突っ込んでいるのだよ。冥府総督府は地下にある異次元空間、その空間へ軽率に穴をぶち開ける奴など後にも先にも奴しかいない。半分ぐらい染まっているなら通ってもらえればそれでいい」
キクガ「彼には地上で幸せになってもらいたい訳だが」
アッシュ「じゃあもうこのまま現状維持が最適だな」
リアム「冥王様には我慢してもらおうね」
オルトレイ「それが1番だ」
キクガ「さて、冥府総督府についての説明をしようかね。一応は5階層に分かれているとお伝えしたが、各階層についての説明を私からさせてもらおう」
アイザック「これ新卒用の資料とかじゃないかね?」
オルトレイ「多分」
キクガ「フリップは、これかね? はい」
キクガ「間違えた、これだこれ」
オルトレイ「いつぞやのオレの気持ちが分かったか」
キクガ「可愛かったから撮影してしまった訳だが」
リアム「笑顔が可愛いね」
アイザック「よく撮れているのだがね」
アッシュ「恥ずかしがることねえだろ」
キクガ「すまない、こちらだ」
第1刑場:殺人を犯した罪人が収容される刑場。主に殴打による暴行の刑罰が執行される。殺人の犯した具合によって使用武器が変わる。
第2刑場:詐欺を犯した罪人が収容される刑場。舌を引き抜かれる、目玉を抉られる、髪の毛を引きちぎられるなどの『身体を引きちぎられる系』の刑罰が執行される。
第3刑場:姦淫を犯した罪人が収容される刑場。血の池に沈められる、針山を登らされるなどの刑罰が執行される。性別によって血の池か、針山か判断される。
第4刑場:窃盗を犯した罪人が収容される刑場。火で炙られる刑罰が執行される。焼かれる箇所は窃盗したものによって異なる。
第5刑場:上記全てを犯した罪人が収容される刑場。なので上記全ての刑罰がフルコースで執行される。
深淵刑場:最も重い罪を犯した罪人が収容される、二度と出られない刑場。元々は第七席【世界終焉】の管轄だが、冥府総督府で委任されている。真っ暗な刑場で轢き潰され、引き摺られ、岩に縛り付けられて滅多打ちにされたりなどの刑罰が永遠と執行される。
リアム「ぼくの仕事、案外辛いんだよ」
オルトレイ「でも仕事だろう。諦めろ」
アッシュ「シュヴァルツレディは楽しく乗り回してるじゃねえか」
リアム「だって暗いんだもん」
キクガ「暗視用のゴーグルを支給している訳だが?」
リアム「どっかいった」
アイザック「備品をなくしたのかね、貴殿は」
キクガ「あとで反省文を提出するように」
アッシュ「しっかし詐欺に殺人、姦淫とか……人間ってのは罪を犯すものだな」
アイザック「でも獣人の罪人もいるのだろう?」
キクガ「もちろんだとも。誰しも罪は何かしら犯す訳だが」
リアム「あんまり聞きたくなかったな」
オルトレイ「それでも刑場にぶち込まれる罪人は意外と少ない。大抵は軽い罪で許されるものだからな」
キクガ「その為に『簡易刑場』がある訳だが。いわゆる軽い罪を犯した罪人が収容される刑場だ」
リアム「ぼく見たことないんだけど、どんなことされるの?」
キクガ「注射やデコピン、臑毛剥がし、鼻毛抜き、歯医者」
リアム「これぼくの感覚がおかしいのかな。全然罰に聞こえてこない」
オルトレイ「注射は痛いだろう」
キクガ「その他、耳掃除も導入予定な訳だが」
アイザック「うわあれはさすがに」
アッシュ「耳がゾワゾワするんだよな」
リアム「キクガさんに引き摺り込まれた時は死を悟った」
オルトレイ「大不評」
キクガ「仕方がない。ではまた全員に耳掃除の良さを知ってもらう為に」
リアム「オルトさん、冥府総督府にある職場の説明もお願い」
オルトレイ「任された。あらかじめ用意しておいたぞ」
アッシュ「露骨に避けたな」
アイザック「まあ、避けて当然だがね」
キクガ「あとで覚えておきなさい。まずはリアム君からだ」
リアム「怖いんだけど」
オルトレイ「それでは職場の発表だドーン!!」
冥王裁判課:冥王による死後の裁判に関わる部署。どこの刑場に罪人を振り分けるのか、正確な判断が必要になる。また法律言語も覚えなければならないので、ある程度の知能は必須。
獄卒課:獄卒を束ねる一般的な部署。主な仕事内容は刑場で罪人を呵責すること。この部署にはいつでも獄卒が多いが、その分、人手も足りなくなってくる。体力勝負な部署である。
呵責開発課:呵責内容を開発する為の部署。現行の法律に則り呵責内容の変更を申し出たり、新規に導入したりする。手先の器用さが重要視される。
記録課:死者の生前から死後までの状況を記録する為の部署。その記録した内容は冥王裁判課でも使用される。速記および記憶力が肝となる。
送迎課:主に死者を冥府まで送り届ける部署。花形役職として幽刻の河を渡る『渡守』の存在がある。
オルトレイ「ちなみに送迎課の仕事は死体を腐らせて元に戻らせることのないようにすることも仕事の一環だ。喋りだけが重要ではないのだ」
アイザック「吾輩だけだぞ、口が回るのは」
キクガ「でも君のような渡守がもう少し増えてもいい気がするのだがね。送迎課は職人気質なところが多く見受けられる」
リアム「ぼくのところは?」
アッシュ「テメェは一応、獄卒課の所属だからな」
キクガ「担当は違うが、君はアッシュの部下な訳だが」
リアム「そっかぁ」
オルトレイ「いつも馴れ馴れしい態度をしていたが、ようやく理解したか?」
リアム「これからも馴れ馴れしい態度でいくよ」
アッシュ「もうどうでもいいわ」
アイザック「諦めちゃった」
キクガ「さて、今までの『らぢお♪がやがや冥府』は楽しんでいただけたかね? 今後は不定期で開催する訳だが」
オルトレイ「まあ何だ、面倒だったがなかなか楽しめる企画ではあったな。また呼んでくれてもいいぞ」
アッシュ「何様だ」
オルトレイ「オレ様」
リアム「つまんな」
アイザック「手厳しい意見が出ているのだがね」
オルトレイ「あとで実験台にしてやろ」
キクガ「それでは午後の仕事も頑張りましょう。『らぢお♪がやがや冥府』これにておしまいな訳だが」




