第14回放送【アーリフ連合国について】
キクガ「素敵なお昼休みをお過ごしの皆様、こんにちは。今回も『らぢお♪がやがや冥府』をお届けします」
オルトレイ「うえーい!!」
アイザック「うえーい」
アッシュ「うるせえ」
リアム「いつになくテンションが高い」
キクガ「何かそんなに楽しいことでもあったかね?」
オルトレイ「楽しいことだと? それはあるに決まっている。何故なら今回、このラジオで取り扱う題材がオレの割と好きな部類の国だからな」
アイザック「吾輩も何度か訪れたのだが、ここ以上に豪勢な歓待を受けたことはないのだよ。いやぁ、夢をお届けする吾輩たち移動式サーカス団がよもや魔法みたいなひと時を過ごせるとはなぁ」
キクガ「それぐらいに素敵な国だと言うことは、2人の温度でよく分かっていると思う訳だが」
アッシュ「暑いから行ったことねえな。生活圏の真逆だし」
リアム「ぼくも行ったことないかも。旅してたのになぁ」
アッシュ「アム坊の場合は神造兵器とかなかったからじゃねえか?」
リアム「それもあるかも」
アイザック「あの国を訪れたことがないとな。これはもったいない、それで冥府にて獄卒の仕事に打ち込んでいるとはもったいない!!」
オルトレイ「あの国の文化は一度でもいいから体験しておけ。損はないぞ、今までの常識が覆される気分だ」
リアム「そんなに?」
キクガ「さて、この2人が興奮気味に語ってくれている国の仔細がこちらな訳だが」
現世の話題:アーリフ連合国について
キクガ「今回は南に広がる砂漠の真ん中にあるオアシス、アーリフ連合国について語っていく訳だが」
オルトレイ「ふうー!!」
アイザック「ふうー!!」
アッシュ「そんなに好きなのか、その国」
オルトレイ「何せ商人の戦場とも呼ばれ、多くの行商が世界各国から集まるのだ。商売人が犇めき、様々な商品が入り乱れるアーリフ連合国は掘り出し物が多いぞ」
アイザック「やはり宝飾品や遺跡から発掘された土偶や呪物などが多いのだよ。あれらは何とも浪漫のあるものばかりだ」
オルトレイ「お、分かるクチかアイザック。世界中を巡ってきた中でもあの国は独特よな」
キクガ「2人の世界になってしまっているかね?」
アッシュ「熱量が半端じゃねえんだよ」
リアム「宝石とか色々あるってこと?」
キクガ「アイザックやオルトは何度も訪れているだろうが、我々はまだ訪れたことはないな。これほど興奮状態に陥るのであれば、現世に視察へ出かけるのも吝かではない訳だが」
アッシュ「いいな、行きてえ」
リアム「キクガさん、ぼくもついていっちゃダメ?」
キクガ「もちろんいいとも。ただ、リアム君の場合はハルア君に案内してもらった方がいいのでは? 彼は何度かアーリフ連合国を訪れている訳だが」
リアム「そうなの? じゃあそうしようかなぁ」
アッシュ「あの坊主が何度も訪れてるってことはエドワードの奴も何度か連れていってもらってるってことか」
キクガ「ショウも一度だけ訪れたことがあるようだが、あの時は観光を楽しめる雰囲気ではなかったらしい。この際だから有給でも取得して連れて行こうか」
オルトレイ「他人がアーリフ連合国について熱く語っている時に、何をそんな羨ましい計画を立てているんだ。オレも娘に言えばついてきてくれるかな」
アイザック「吾輩もアイゼルネについてきてもらえるだろうか。ぜひ成長した娘をエスコートしたいなぁ」
キクガ「娘を持つ組と息子を持つ組で分かれてしまった訳だが」
オルトレイ「そんな話は置いといて、だ。今回もオレがしっかり撮影してきたぞ」
キクガ「君が申請してきた領収書、あれはさすがに経費で落とせないから君の机に返却しておいた」
オルトレイ「冥府の拷問として導入しようとしているのに!?」
キクガ「土偶など購入してきて何に使うのかね」
オルトレイ「鈍器?」
リアム「それでオルトさんの頭を叩けばいいってこと?」
オルトレイ「止めろ馬鹿野郎。オレの頭が弾け飛んでもいいのか」
キクガ「自分の金で買いなさい、そんなガラクタ」
アッシュ「土偶はガラクタだな、間違いねえ」
アイザック「浪漫が分からない奴らだなぁ」
オルトレイ「土偶はいいだろう、古代の文明溢れる代物だぞ。かけられた呪術は刑場の罪人たちを苦しめる装置として一躍買うだろうしな」
キクガ「土偶で殴る以外に使い道がなさそうな訳だが」
オルトレイ「土偶で殴るな、貴重品だぞ」
アイザック「ところで写真はこれかね? 公開しても?」
キクガ「ああ、すまないが公開してほしい訳だが」
アイザック「承知した。では公開」
アッシュ「おお、賑やかな商店街だな」
リアム「こういう狭いところの雰囲気、ぼくは結構好きだな」
オルトレイ「これぞアーリフ連合国の醍醐味だからな。本当は表通りでもよかったのだが、あそこは人通りが多すぎて写真撮影に向かなかった」
キクガ「君なりにちゃんと撮影場所を選んでくれたのかね。苦労をかけた訳だが」
オルトレイ「気にするな、楽しかったからな」
アイザック「表の商店街は露天商みたいな形式の店も多いからなぁ。あっちも雰囲気があって吾輩は好き」
オルトレイ「同意だな。どっちも趣がある」
キクガ「そんなアーリフ連合国の説明がこちらだ」
アーリフ連合国
南東に位置する国で、砂漠のオアシスとも呼ばれている。世界最大級の砂漠『メゾネッタ砂漠』のほぼ中心に位置するので年中無休で暑く、風が吹けば砂嵐に見舞われることが必至。日差しが強いので建物も日焼けに強い素材で構成されており、住民も暑さ対策として身軽で涼しげな格好を好む。
行商人の連合がいくつも犇めいていることから『連合国』の名前をつけ、世界各国から行商人が集まる商売人の国。ただしこの国で商売を始めるには最高責任者の許可を得る必要があるので注意が必要。
宝飾品が盛んで、宝石魔法の発達が目覚ましい。また多くの呪物が近くの神殿や遺跡などから発掘されるので、呪術に関しても腕前は他の国と比べて発展している。独特の魔法形態が構成されているので、名門魔法使い一族もこぞって注目する。
また、観光地としても有名で近年ではリゾート施設も建設されている。ただし奴隷文化は未だに根付いているので人攫いなども横行しており、麻薬などの違法な薬物の取引も盛んなので陰ながら犯罪が多発しているので注意が必要。
オルトレイ「今回も気合を入れたぞ」
キクガ「文字の多さから気合いの入り方が凄まじい訳だが」
アイザック「あそこの最高責任者は長者番付でも堂々の1位、殿堂入りを果たすほどの有数な金持ちなのだよ。その目は未来を見通すと言われるほどピタリと当たる商売を言い当てるのだから『凄い』以外の感想が思いつかない」
アッシュ「砂漠か……」
リアム「砂漠は暑いよね。アッシュさん、雪国育ちだから溶けちゃいそう」
アッシュ「そうかもな」
リアム「否定しないってことは本当に苦手なんだな」
アッシュ「そもそも、この毛皮だからな。暑くて仕方ねえだろうよ」
オルトレイ「それは確かにあり得るかもな。何せアーリフ連合国、日差しがかなり強い。もはや痛い」
アイザック「湿度は高くないから蒸すことはないのだがね、それでも日焼けは免れんよ。化粧で誤魔化すのも大変だから布を被って移動した記憶がある」
キクガ「蒸すような暑さしか味わってこなかったから、それはそれで少しばかり経験してみたい訳だが」
アッシュ「正気か?」
キクガ「君は毛皮を剃るか、いっそ人間化の魔法薬でも被ったらどうかね」
アッシュ「くうーん……」
リアム「毛皮を剃れって言うから」
オルトレイ「さすがに可哀想だぞ」
キクガ「これは私が悪いのか。すまないアッシュ、そこまで君を傷つけるとは思わなかった」
アッシュ「いや、その、サマーカット辺りにしてくれたら何とか」
キクガ「あのチリチリ状態になるのかね?」
アイザック「ふさふさが何とも可愛らしいことに」
リアム「ねえオルトさん、何度か行ったことあるんでしょ? どこが楽しかった?」
オルトレイ「ふぅむ、アーリフ連合国の文化を楽しむのであればまずは『煙草屋』がいいのだがな。あれはちょっと身体に悪いからな」
アッシュ「煙草は確かに身体に悪いけど、テメェはたまに吸ってるだろうが」
オルトレイ「戯け、説明を読んでいなかったのか。煙草とはアーリフ連合国の隠語で、合法麻薬だ」
リアム「うわ」
キクガ「オルト、さすがに薬物に手を出すのは犯罪だが」
オルトレイ「合法と言っただろう、ほんの少しの酩酊感を味わうものだ。魔力回路がちょっとばかり汚染されるから健康でいたいのであればお勧めはせんが、雰囲気を味わいたいのであれば体験してみるといい。ちなみにオレは体験した」
アイザック「あそこは1回体験すべきところだがね。商売の話も聞けるし悪いことをしているような気分になる」
オルトレイ「とはいえ、許されているのはアーリフ連合国だけだからな。他でやったらまず間違いなく処されるから注意した方がいい」
キクガ「依存性はあるのかね?」
オルトレイ「ない、依存性を作ったら違法に分類されてしまうからな。アーリフ連合国で扱う合法麻薬は酒に酔うようなものだ、酩酊感を味わえる為に調合されている」
アッシュ「俺には無理だな、鼻が馬鹿になる」
アイザック「止めておいた方がいいかもしれんなぁ。何せあそこは空気の澱みが凄まじい、アッシュ殿のように嗅覚が優れていると馬鹿になる」
キクガ「他にお勧めの場所はないのかね?」
アイザック「オークション会場はお勧めだがね。あそこにはいくつもの掘り出し物が多く出揃う、行商人たちの戦場だ。食品に反物、宝飾品、どれも高品質」
オルトレイ「オレはよく宝石を買うな。質の悪い宝石を買って、絵の具にして絵を描くのが気持ちいいのだ。贅沢なことをしていると楽しくなっちゃう」
リアム「宝石を絵の具って凄いことをするね」
キクガ「珍しくもない。そういう技法はすでに確立されている訳だが」
アッシュ「オークションか。まさか奴隷なんかも売られてたりとか」
オルトレイ「あるに決まっているだろう。奴隷が合法なんだから」
アッシュ「買ったら国外に持ち出せねえじゃねえか。大半は奴隷制度を禁止しているだろ」
オルトレイ「だからこその従僕契約だ。契約を結んでから外に連れ出せば、奴隷ではなく従僕として呼ばれるからな」
アイザック「あとは見目麗しい奴隷は養子縁組をして、子供として連れて行くこともあるがね」
リアム「華やかだけど裏側は怖そうだね。ぼくも奴隷で売られそう」
オルトレイ「そうなったら買ってやる。人体実験してやろう」
リアム「怖。殴ろう」
オルトレイ「拳を構えるな!?」
キクガ「単純な疑問なのだが」
オルトレイ「この危機的状況を救ってくれたお前には感謝しよう。何でも答えてやる」
キクガ「ではお言葉に甘えて。――連合国とは謳っているが、どの商会が集まって連合国を名乗ったのかね?」
オルトレイ「いい質問だな。アーリフ連合国には主に3つの行商人連合が幅を利かせている。その最高責任者は最も金を稼いだ行商人がなると言われており、現在ではカーシム・ベレタ・シツァムが務めているな」
アイザック「ちなみに3つはこちらなのだよ。あらかじめオルト殿が書いていた」
アッシュ「用意がいいな」
ゴルゴタの乙女:女性しか所属していない行商人連合。反物や染物が有名で、特に色鮮やかな布の取り扱いに定評がある。繊細な刺繍による絨毯は世界各国の王族も買い求めるほど品質がよく模様も豪華だが、値段が高すぎる。
宝華の宴:宝石を専門的に取り扱う行商人連合。多数の炭鉱や採掘場を所有しており、採れる宝石を独自に切断・研磨・加工して流通させている。品質が高く、魔力も多く含んでいることから宝石魔法を使用する際の媒介の他、王侯が身につける装飾品に使われることもある。
夢幻放浪:絵画専門の行商人連合。魔法画家や静止画を取り扱う画家まで取り込んでおり、絵の売買を執り行っている。画家を志すならばこの行商人連合に見つけてもらうことで売れると言われている。また所属する画家には個展を開く際の資金を援助するなど、身内に関してもサービスが充実している。
オルトレイ「以上だ。これらが集まってアーリフ連合国を作り、それから一気に巨大化させたのだ」
アッシュ「あの最高責任者はどこに所属してたんだよ」
アイザック「所属しておらんよ」
リアム「え、でもこの3つが最大手なんだよね? じゃあどこにも所属してないで最高責任者になったの?」
オルトレイ「言ったろう、最も稼いだ行商人が最高責任者になると。つまり最大手の行商人連合が束になってもあのカーシムには勝てんのだよ」
キクガ「一体何をしたらあの豊かな国で勝てるのかね」
オルトレイ「土地」
キクガ「土地」
リアム「土地」
オルトレイ「あと傭兵などの人材派遣、カジノなどの賭博経営、リゾートホテルなどの宿泊施設も経営、魔法出資など他にも色々あるがな。未来予知にも匹敵する目利きで稼ぎになるものを言い当てるものだから恐ろしいな。噂では神託を受けてるんではないかとなっている」
アッシュ「でもその根幹が土地」
オルトレイ「あいつ、世界各国の地主だ。世界中に土地を持ってるから、寝転がっているだけで家賃収入が手に入る。アーリフ連合国の土地も元々はカーシムの持ち物で、そこに行商人連合がやってきて店をやったから家賃を吸い上げているだけだ」
キクガ「だから彼の許可なく商売が出来ないのか。納得した訳だが」
アイザック「大家だからなぁ」
アッシュ「妥当だな」
キクガ「さて、今回の『らぢお♪がやがや冥府』はこれにておしまい。午後の仕事も頑張りましょう」
アッシュ「お疲れさん」
アイザック「それではまた次回だ。さらば!!」
リアム「ぼくも商売できるかなぁ。ハルアの写真集とか売りたい」
オルトレイ「何だほしいのか、あるぞ。ヴァラール魔法学院で売ってる」
リアム「何してんの?」
オルトレイ「本当にな」




