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第13回放送【ニヴァリカ共和国について】

オルトレイ「にゔぁ、にゔぁ、にゔぁりーか、にゔぁりーかー、きょうわーこーくー」



キクガ「壊れたかね?」



アッシュ「キクガ、テメェが働かせすぎなんだよ」



リアム「可哀想」



アイザック「おいたわしや」



オルトレイ「全員そこに並べ。脳天を余すところなくぶち抜いて柘榴みたいに加工してやろう」



アッシュ「出来るものならやってみろ」



オルトレイ「お前との実力は僅かながらオレの方が上だぞ、戯けが。喧嘩を売る相手は選んだ方がいい」



キクガ「私は?」



オルトレイ「お前の場合は息子が絡まなければ怖くはない。身体を拘束されても意外と動けるものだからな」



リアム「仕方がないね、ぼくが轢き殺す?」



オルトレイ「若造に負けるほど弱くはないぞ、阿呆」



アイザック「吾輩は大人しくしてるのだよ」



オルトレイ「雑魚が」



キクガ「ところでオープニングからやけに血の気が多い訳だが、何故かね? また徹夜でもしたかね?」



オルトレイ「このオレが? そんな訳なかろう、どこぞの名門魔法学校の学院長とは違うのだ。オレは超健康優良児だからな」



アイザック「それは答えを言っているようなものだがね」



リアム「グローリアさんだっけ」



アッシュ「また髪パスタをやったって聞いたぞ」



キクガ「眠る時はベッドに縄で縛ってから転がした方がいいかもしれない訳だが」



オルトレイ「そんな訳でオープニングを始めろ、キクガよ。もうこれで5分ぐらい経過しているぞ」



キクガ「おっと、すまない訳だが。――皆さん、こんにちは。『らぢお♪がやがや冥府』のお時間です」



アッシュ「今日の話題は、まあこの馬鹿が言ってたのが正解なんだけど」





現世の話題:ニヴァリカ共和国について





リアム「最初の歌、何だったの?」



オルトレイ「ニヴァリカ共和国出身の歌手が歌っているものだ。かなり耳に残るメロディーだから覚えている」



キクガ「一体どんな時に流れるのか気になる訳だが」



アイザック「今のは観光地である海に招致する際の歌だがね。あのあとに『海の綺麗なニヴァリカ共和国へおいでませ』と続くのだよ」



オルトレイ「お、知っているか。さすがだな」



アイザック「興行で行ったことがあるとも。かの国は海がとても綺麗なところだった。人魚に愛される街と呼ばれるだけあるな」



アッシュ「海か。ニヴァリカ共和国は生活圏が反対側だからな」



リアム「あれ、でもハルアは何度か行ったことあるって言ってたな。エドワードと一緒に海で泳いだりしてたって」



アッシュ「あいつ、色々と経験させてもらってるんだな」



オルトレイ「その分、巻き込まれているようだがな」



リアム「言わぬが何とやら」



オルトレイ「頭のいいことを言う」



キクガ「今回はそんなニヴァリカ共和国についての話題な訳だが。写真はいつもの如く、オルトに頼んだ」



オルトレイ「任せろ、綺麗な写真を撮ってきたぞ」



リアム「またユフィーリアの水着写真とかじゃないよね?」



オルトレイ「戯けが、あんなの簡単に見せられるか。あのあと『娘を紹介しろ』と独身の職員からせっつかれて大変だったんだぞ。ぶっ飛ばすのが」



アッシュ「やたらあの時期、医務室が騒がしかったのはそのせいか」



キクガ「義娘に何を……?」



オルトレイ「戯け、まだ婿にも嫁にも出しておらんわ」



アイザック「与太話はいいから写真の公開をしてくれんかね。吾輩、待ちくたびれて首がもげ落ちそうだ」



キクガ「もげたらどうなるのかね?」



アイザック「もちろん、首だけで喋るぞ」



リアム「見てみたいな。切っていい?」



アイザック「それで『イイヨ』とか言う阿呆はいないと思うぞ?」



アッシュ「ほれオルト、写真写真」



オルトレイ「公開だ。ばばんとな」





挿絵(By みてみん)





アイザック「おお、やはり綺麗な国だ。この輝く海、豊かな大地、そして海風に生える白亜の宮殿。素晴らしい!!」



キクガ「これは見事な写真な訳だが」



アッシュ「相変わらずいいの撮ってくるよな。前回もそうだったけど」



オルトレイ「褒めても写真か説明しか出せんぞ」



リアム「十分すぎるぐらいに出ちゃってるね」



キクガ「それではその調子で説明も頼もうかね」



オルトレイ「仕方があるまい。このフリップをオープンだ」





ニヴァリカ共和国

北西部に位置する国で、世界で最も人魚が観測された国家として有名。共和制を敷いており、蒼海議会と呼ばれる国民投票によって選ばれた10人の議員によって国が運営されている。象徴であるオセアーノ家は国民からも愛されており、生誕祭や年末年始の祝賀会なども盛大に執り行われている。

近隣にある海『マーレ海』は世界最大級の珊瑚礁を有していることで人魚の生息地としても有名であり、毎年多くの観光客が人魚との触れ合いを目的として訪れる。北側に位置するので比較的気温が低い傾向にあり、夏場は特に避暑地としても訪れる観光客はいる。


オセアーノ家では人魚との結婚の逸話が実しやかに囁かれており、王族防御の際は水葬として遺体を海に返すことがある。ただし例外として望めば火葬・埋葬など他の葬儀方法も認められるが、望まなければ通例として水葬になる。人魚が混ざっていたりすると、遺体を海に返さなければ呪われると言われているから。

また、人魚がすぐ近くにいるからか国民は歌が上手い、もしくは歌うのが好きという者が多くいる。ニヴァリカ共和国出身の魔女・魔法使いは歌唱系の魔法に馴染み深く、その方面で活躍することも多々ある。





オルトレイ「以上だ」



リアム「共和国って?」



キクガ「いわゆる国王陛下が政治に関与せず、国民1人1人が国の運営を担っていく体系な訳だが。オルトの説明にある通り、国家の運営を委託されているのが『蒼海議会』と呼ばれる10人の議員だ」



アイザック「その選ばれし10人が国を導いていくのだよ。オセアーノ王家はあくまでニヴァリカ共和国の象徴――ニヴァリカ共和国の顔として諸外国と交流していくのだがね」



リアム「分かりやすい」



オルトレイ「オレの説明が分かりにくいと言っているようなものだな?」



アッシュ「これだけズラズラ書かれりゃ分かりにくいだろ、特にこの脳筋の英雄様にはな」



キクガ「しかし、ニヴァリカ共和国は人魚が多く観測されるのか。知らなかった」



オルトレイ「人魚は南の海にいるという印象を持つ連中は多いだろうが、基本的に人魚は『綺麗な海』に生きる場合が多い。ニヴァリカ共和国の近くにあるマーレ海の綺麗さは世界でもトップクラスだ、何せゴミも落ちていないからな」



アイザック「それに人魚は綺麗な珊瑚礁を好むと聞いたのだがね。最大級の珊瑚礁があるなら人魚も多く住んでいるのだよ」



オルトレイ「あそこの珊瑚礁、綺麗だよな。潜ったことあるが」



キクガ「潜ったのかね。スキューバダイビングが出来るとは」



オルトレイ「何て?」



アッシュ「だい、何?」



リアム「知らない言葉でみんなが混乱してる」



アイザック「異世界の文化かね? 教えてくれたまえよ、興味があるぞ」



キクガ「ううむ、こちらでは空気飴などで普通に濡れずに海を泳ぐ方法がいくらでもあるから説明がアレなのだが。空気をしこたま詰めた容器を背負って海に潜ることを示す訳だが」



オルトレイ「そんなことをせずとも魔法でどうにかしてやる」



アッシュ「異世界には魔法がねえからな。それでも海を潜る術を見つけるのが凄えわ」



リアム「考えられないね」



キクガ「とはいえ、今でも魔法は使えない訳だが。冥府天縛には助けられている」



アッシュ「魔法とか抜きにして冥府の2番手にのし上がるのは何なん?」



リアム「頭がよくて身体能力もよくて人柄もいいって何それ?」



アイザック「嫉妬待ったなしだなぁ」



オルトレイ「そんな有能冥王第一補佐官、ニヴァリカ共和国で死にかけたって聞いたがな。お前何したんだ」



キクガ「人魚だったオセアーノ王を水葬にせず、ご遺族に望まれるがまま葬儀行列をしようとした訳だが」



オルトレイ「阿呆」



アッシュ「馬鹿か?」



リアム「二度死にたいの?」



アイザック「それまで褒めていた雰囲気が一気に台無しに」



キクガ「凄い言われような訳だが」



オルトレイ「人魚の呪いは凄まじいぞ。解呪の方法はあるが、何百年と時間がかかる。魔法で簡単に切れる訳でもなし、ついでに言えば人生にまとわりついてくるものだから娘の絶死の魔眼でも切れんしな」



キクガ「もしあの場で葬儀行列をしていたらどうなっていたのかね?」



オルトレイ「現世に行ったらまず入水自殺を図るだろうな。そして冥府に戻る。現世へ行く、入水自殺、冥府に戻るの無限ループ完成だ」



キクガ「なるほど、息子に二度と会えないと言われた理由を理解した訳だが」



アッシュ「人魚って俺たちの間でも触れちゃいけねえって言われたことあるな。執着心が強い連中だからってな」



アイザック「人魚の呪いは精神に根付くからなぁ。特に無意識に働きかけてくるのだよ。無意識のうちに入水自殺をして冥府に叩き戻されるという寸法だがね」



キクガ「これにはユフィーリア君に感謝だ。オセアーノ王の遺体を海に投棄してくれなければ、今頃私は海に取り憑かれていた訳だが」



オルトレイ「我が娘の優秀さに涙を流して感謝しろよ」



キクガ「きっと親御さんの教育の賜物な訳だが」



オルトレイ「お、おう」



アッシュ「何だその反応」



リアム「気持ち悪い」



オルトレイ「そこの脳筋馬鹿2人、並べ。眉間に風穴をぶち開けてやる」



アッシュ「やってみろ」



リアム「回避してあげる」



キクガ「喧嘩をしない」



アイザック「無理やり話題を変えよう。ニヴァリカ共和国は海側に面しているから魚料理が多いだろう? オルト殿は料理に目がないし、食べたことはあるかね?」



オルトレイ「ああ、魚料理な。確かにニヴァリカ共和国は魚料理が基本だ。オレはあそこでアクアパッツァが好きになったのだよ、白身魚の美味いこと美味いこと!!」



キクガ「ほう、なるほど。オルトがそこまで言うなら美味しいのだろうな」



オルトレイ「美味いぞ。あと人魚の肉とかな」



アッシュ「食ったらダメな奴」



リアム「不老不死になるよ、それ」



オルトレイ「迷信に決まっているだろう、そんなの。世の中には不老不死になる方法なぞ山ほどあるのだ、人魚の肉を食った程度で不老不死になるか。あれは貴重な肉を独占したいが為に誰かが触れ回った根も葉もない噂だ」



リアム「あれ嘘っぱちなの?」



オルトレイ「不老不死になるのは人魚じゃなくて人面魚の方だな。上は美女、下は魚は人魚だが、顔だけ不細工な人面の魚が世の中にはいてな。あれは不老不死になるとか言われているがな」



キクガ「やはりいるのか、人面魚」



アッシュ「いるみたいだぞ。魔法動物の1種だから食ったら魔に染まって不老不死になるんだろ」



オルトレイ「よく知ってるな」



アッシュ「エドワードが食ったことあるって」



リアム「不老不死になったってこと?」



アッシュ「魔女と契約してんのに? 食ったの最近だからもう意味ねえぞ」



キクガ「なるほど、そんなことが」



アイザック「釣れるのが驚きだがね」



オルトレイ「ちなみにそれどんな味とかしたか言ってたか?」



アッシュ「血の味がして不味かったってのは覚えてるらしいな」



オルトレイ「血抜きをすれば……?」



リアム「調理方法を考えてる」



キクガ「さて、今回の『らぢお♪がやがや冥府』はここまでな訳だが。午後の業務も頑張っていきましょう」



オルトレイ「人面魚のキッシュ」



アッシュ「ついに料理名まで」



キクガ「いつまで考えているつもりだ」



リアム「ばいばーい」



アイザック「次回もお楽しみに、であるぞ」

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