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ひとりの帰り道

 月を眺めながら色んなことを考えながら歩く。

 なんで私だけこんなに捕まるんだろう。一番の原因は警戒心が無さすぎることだろう。

 大体いつもアイリの傍から離れて一人になってぼおっとしてる時に連れ去られてる。

 その度私がその場で懲らしめたりアイリがとっちめて衛兵などに突き出してくれる。

 アイリまで一緒に捕まったのは一回だけだったな。その時初めて、自分の力の強さを知ったんだっけ。

 それに私が今回みたいな感じで誘拐されると毎回半狂乱になって探してくれるから申し訳ない。


 というかいつになったら大通りに出れるだろう。

 なんか同じとこを回ってる気がする。さっきもこの一面花だらけの家見たような。


 ……やっぱり同じとこを回ってる。こんな壁まで花だらけの家見間違えるはずがない。


 ……ダメだ。何故かこの家の通りに戻ってきてしまう。

 何か魔法でもかけられてるのだろうか。

 いや、いくら私がひとりで行動することがあまり無いとは言ってもこんなに迷うことは無いはずだ。

 絶対魔法だ。そうに違いない。


 ……現実逃避しても仕方がないから道端に座って休むことにした。

 今頃探してくれてるんだろうなって考えて少し寂しくなった。

 するとどこからか走る音が聞こえてくる。

 少し警戒したけどすぐに解いた。

 だって屋根をかける足音なんて私は一人しか知らないから。


「アイリ!ここだよー!」


 すると足音は一度立ち止まりこちらへ向かって走り始めた。


「ソフィ、ソフィ……!怪我は無い?酷いことされなかった?あぁ、ソフィ変なやつに目をつけられやすいってわかってたのに油断しちゃったわたしが悪いの。ごめんね……ごめんね……!」


「大丈夫、ありがとう。ごめん、私も油断してた……」


 屋根の上から飛び降りてきたアイリと抱きしめ合う。

 ずっと探してくれてたみたいで髪の毛や尻尾はボサボサで服は泥だらけだ。

 抱きしめたままでごめんねと言い続けるアイリを落ち着かせるために頭を撫でる。


「アイリ、帰ろう。疲れたから休みたい。あと道に迷ったから案内お願い」


 私が言い切る前に浮遊感に襲われる。

 アイリに抱き上げられた。


「自分で歩けるからいいよ、街を駆け回って疲れたでしょ?」


「わたしがこうしてたいの」


「そっか。うん、わかった」


 それからの帰り道は二人とも黙っていた。

 宿に戻ったら女将さんが心配そうに出迎えてくれた。

 私達のためにこんな時間まで起きててくれたのだろうか。


「遅いから心配したよ。そんな泥だらけになっちまって。ほらお風呂入っておいで」


「ありがとうございます」


「何があったか知らないけどとりあえず今はゆっくり休みな」


 アイリはコクリと頷きお風呂へ向かう。

 私は自分で動くに動けないので女将さんに会釈だけして一緒に連れてかれた。


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