買い物
多めに報酬を貰い浮かれ気分で帰っていたので忘れていたが、この道は商店街へ続いていることを思い出した。
「アイリ、もしかして商店街の方に向かってる?」
「うん……あ、そっか。この時間は人が多いから行きたくないんだね」
「食料なら別のとこでも売ってるからそっちにしよう」
「ごめんソフィ、新しい服とか作りたくて布も買いに行きたいの。この前通った時に良さそうなお店見つけてね」
そういう事か。
いつも服など作ってくれてるので何も言えなかった。
「わかった……」
「はやめに買い物終わらせるからね」
「ありがとう」
商店街に近づいてくるにつれて通行人が多くなってきた。
またあの人の多い場所を通らないと行けないのかと思うと気分が落ち込み、近づいて来るにつれ進む足がどんどんと重くなる。
手を引くアイリが「しっかりしてー!」と言ってくる。
いっその事朝みたいにおぶってはくれないだろうか。
―――結局おぶってもらった。
商店街一歩手前で私は完全に足が動かなくなりその場で立ち止まったので、「買い物が終わるまでだからね!」とおぶってくれた。
人がいない時は嬉々として提案してくるのになぜ人が多いとしてくれないのだろう。
しかしすれ違う人の視線が鬱陶しい。
おんぶされて移動するのは別におかしくないはずだ。
実際のところ、見てるのはこの耳と尻尾の方なのだろうけど。
肉屋とパン屋に寄り食料の方は揃った。
荷物は私が持っている。
おぶってもらったままなので負担は全てアイリが背負っているが。
ちなみに背負わてる人が荷物を両手に下げているのでより注目度が上がるような見た目になっている。
「ソフィ、そろそろ歩こう?次は布を買いに行くから、さすがにこのままじゃ買い物できないからさ」
「……わかった……」
大人しく降りることにした。
アイリが荷物を持とうとしてくれるがここまでおぶってもらった上、降りた途端荷物を渡すというのも気が引けるので私が引き続き持つことにした。
アイリが店に入り布を選んでる間、私は店の外で待つ。
「一緒に選ぼうよー」と腕を引っ張られたが店の中を荷物を持ったままついて歩くのは疲れるので今回は外で待ってると伝え今回限りという約束で渋々了承してもらった。
それに、布を買う際は毎回どんな服を作ろうかとあれでもない、これでもないと私を見ながらあちこち動き回るのでついて回るのは疲れるのだ。
だけど待つと言うのも割と嫌なもので、ちょっとの時間しか経ってないはずなのにかなりの時間待ってるように感じてしまう。
店の壁に寄りかかっていたら眠くなってしまった。
私はその場で膝を抱え少しだけ目をつぶった。