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ショートショート10月〜4回目

歩数と私の関係性

作者: たかさば

 寝る前に、スマホの歩数計をチェックするのが私の日課である。


 極力歩くよう心がけてはいるものの、気を抜くと信じられないくらい体を動かさないで一日を終えてしまう事もあり…、翌日不足分を補う事を誓うべく、必ず確認するようにしているのだ。また、歩きすぎたと思った時には、足りない分のカロリーを補充してもよろしかろうと…、翌日にちょっと良いおやつを買いに行く予定を立てたりもする。


 ……ふむ、今日は雨が降ったわりには歩いているな。4141歩、ちょっと縁起が良いのもテンションあがるぞ。ふふん、今日は良い夢が見られるかも?


 機嫌よくスマホを閉じ、充電器にセットして…ベッドに入る。


 昔は手のひらサイズの歩数計を持ち歩かなければならなかったというのに…、ずいぶん便利になったものだ。


 たくさん歩いた日にかぎって持っていくのを忘れたり、いつの間にか電池が切れていたり、踏んで破壊してしまったり、洗濯してしまったり、どこかで落としてしまったり…。おかしいな、苦い思い出が次々とあふれるのはどういう事だ。


 歩けば歩くほどキャラクターと仲良くなるやつもあったな。レアな乗り物ゲットを目指して、毎日二万歩くらい歩いてさ。

 歩けない日は手に持って振ったりして、あの頃はホントに一生懸命で…アレはアレでわりかし全身運動になっていたような気もする。


 一昔前のゲームといえば、テレビの前に引きこもってコントローラーを握りしめてレベルアップに勤しむのが当たり前で、運動とは無縁の世界だったというのに…、ずいぶん健康的になったものだ。

 とはいえ、中には連射とかで筋肉が鍛えられるパターンもあったことを考えると、もともとゲームとフィットネスとの相性がいいのかなと思わないでもない。


 そういえば、音楽に合わせてステップを踏むやつがあったな。めちゃめちゃハマって、やけに下半身が鍛えられてゴツくなっちゃってさ。あの頃はやけに歩数計が数字を稼いでいたんだよね……。


 おそらく私は、かなり相当めちゃめちゃ歩数を蓄積してきたはずなのだ。

 ずいぶん体を動かしてきたはずなのに、なんで私は…こうもずんぐりむっくりなのか……。各種ホーム用フィットネスゲームなんてのもすべからく手を出しいろいろやってきたのに、ホント成果がでないというか、なんというか。


 ゲームだしというヌルい感覚でやってるから、お遊び程度の効果しか出ないのかも…しれない。


 スポーツジムに入会した時、何か運動をしていますかと聞かれて『フィットネスゲームをやっている』と言ったら、実に微妙な笑顔を向けられた事を思い出す。

 真面目に一年間毎日通ったらきっちりアスリート体型になって、プロの指導はすごいなと感心したんだよね。で、退会して五年かけてもとの体型に戻ってさ……。


 もう一度、ジムに入ろうかしら……。


 でもなあ、加齢もあるから、以前のようにすんなりと結果は出ないに違いないぞ。

 仲の良かった年上の奥さんたちがメキメキと鍛え上がっていく私を見ながら、恨めしそうな目を向けていたことを思い出す。若い人は新陳代謝が違うだの、筋肉がつきやすいだの、脂肪がピチピチしててすぐに燃えるだの…、毎日こんなに歩いているのにちっとも痩せないとプンプンしててさ。

 あの人たちはいつも…スポーツドリンクをガブガブ飲みながら、小腹が空いたと言ってはポケット菓子をモグモグしてて、よく動いたからカロリーを補充しないといけないと言い訳を……。


 ………。


 私は、おやつを食べる習慣をやめようと…ぼんやり、思いながら……ぐぅ……。


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