人はもともと
広島に集まったのは、
仲のいい人たちだった。
仕方がないか、そうか。
仲の悪い人たちは来ないか。
小学校でも、中学校でも、
それからも、すっとそう。
気の合う人たちが
近くに集ってゆく。
人が集う姿を見てきて、
思ってきたことがある。
喧嘩好きな人たちと、
争いの嫌いな人たち。
それぞれの人たちは、
ほとんど同じ日常を
過ごしてはいなさそうで、
近寄りもしなさそうで。
多分に思い込みと偏見が
あっただろうけれど
それはそうだろうけれど、
やはり、別だと感じてきた。
その感じ方が争いを
生むのではないかと、
考えることもあった。
今でも考えている。
違う人間がいる。
何を考えているのか。
言っている意味が
わからない人と人。
それまで、仲の良い人も、
一夜でわからなくなる。
自分が何をしたのだろうと、
考えても何も見えない。
あの大国の指導者は、
どういう心境なんだろう。
孤独なんだろうか、
俺は俺なんだろうか。
当たり前のことしか
思いつかない自分が
想像できるわけもないが、
話しかけるならと考えた。
仲の良い人たちが
輪になってどこの誰に、
話しかけるのかと、
ドラマ仕立てを想像した。
現実はこれからもまだまだ
厳しいことだらけ。
広島をあとにする人たちは、
それぞれに何を思うだろう。
もともとは一人の人で、
もともとはただの人で、
大人になりきれない
子供のままの人もいて。