68.黒幕
フロア一面に人がウジャウジャいる。
「うーわ。なんじゃこりゃ!」
目を凝らすと奥に偉そうに立っている奴がいる。
「お前達何しに来た!? 俺の城をめちゃくちゃにしやがってぇぇぇ!」
「はっはっはっ! お前達が気に入らないから来たんだよ! お前の部下に襲われて困っててなぁ!」
「そりゃあご苦労だったな! でも、俺にはこんなに動かせる駒がいる!」
よく見ると男は仮面をしていた。
正体を知られたくないのだろうか。
「じゃあ、本体は弱いのか?」
『あれ? どこかで聞いたセリフだねぇ』
「はっ! 翔真さんじゃないですか!」
「あぁ。確かに……一斗さん、おねしゃす!」
「はーい!……雷・撃・波!」
ブーーーンッバリバリバリバリッ
黒幕に向かって行く。
その射線を駆け抜ける。
切っ先を向け太刀を引き絞り突撃する。
「絶孔!」
切っ先がピタリと止まる。
「グッ!」
切っ先を押そうとするがビクともしない。
「教えてやるよ。お前もテイマーだろう? なんでそこまで強いのかは分からねぇが、俺は弱い魔物しかテイム出来ない。が、万に近い数の魔物を従えている。あとは、分かるだろ?」
「人魔一体の効果か……」
「はっはっはっ! そうだ! 一体の魔物のステータスは1でも万集めれば恩恵は巨大だ!」
「しかし、ステータスには制限が……」
「あぁ、まだだったのか……それは残念。レベル50になれば分かることがあるだろうが、お前はここで死ぬ」
切っ先を掴んだまま引っ張られ、ぶん殴られる。
ドゴォォォォッ
顔に来る激痛。
その後は気が付くと宙を舞っていた。
体制を整え着地する。
『翔真! 大丈夫? 力で負けた!?』
「どうなってるんですか?」
「わからねぇが、テイマーでステータスが上らしい……」
『コイツら倒せば……』
「アッハッハッハッハッ!」
話し合っていると突如黒幕が騒ぎ出した。
「絶望したかぁ!? 絶望した顔を見るのが楽しいんだよぉ!」
「はっ!」
鼻で笑ってやった。
「俺はなぁ、親が死んだと言われた時に絶望でどん底に落ちたんだよ! それからは蘇芳に出会い、いい事尽くしだ! こんな事で絶望してたまるかぁ! 俺達は最強だぁぁ」
魔力を爆発させ身体に纏う。
周りの従者が押し寄せてきた。
「ふーっ。かかってこい!」
『今回ばっかりは僕も手伝うよ』
2人で横に並ぶ。
「一斗は後ろに控えてろ。1人も通さねぇ」
『さっ、やってやろう』
「『おぉぉぉぉぉぉぉ!』」
魔力を乗せた右拳を振るう。
2、3人巻き込んで吹き飛んでいく。
どこぞのヤンキー漫画のように人が舞う。
「はっはっはっ! やってしまえお前達!」
次々来る輩を全て打ち砕く。
起き上がってくる者はいない。
その意味を黒幕は理解していなかった。
ワンフロアの人混み等20分も2人で殴り続ければ片付くのだ。
「さぁ、後はお前の周りのヤツだけだぞ?」
すると、俺の後ろを指差して声を上げた。
「おい! 真仲! こいつら殺れ!」
微動だにしない父さん。
「動けないなら無理矢理にでも!…………ん? なぜ接続出来ない!」
「お前の考えそうなことはわかるんだよ! 先に魔物だけ始末した!」
驚いた表情になったが、頭を掻き出す。
「どいつもこいつもくそがぁぁぁぁ!」
地団駄を踏み、こっちに向かってくる。
「直々に相手してやるよ! おらぁぁ!」
殴りかかってきたのを何とか避ける。
カウンターに震撃を放つ。
が、聞かない。
「無駄ァァァァ!」
ドゴォォォ
ボディーブローが効くじゃねぇか。
くっそ!
口から血が出る。
内蔵を傷つけたようだ。
「ほら! やっちまえ!」
横にいたやつにトドメをささせようとする。
剣を振りかぶってきた。
そんなトロイのが当たるかよ!
「ウラァァァァ」
バギャッッ
襲ってきたやつを返り討ちにする。
――――――――――――
レベルアップ確認。
ステータスが上昇します。
最大レベル50に到達。
新たな能力を付与。
――――――――――――
突如力が漲ってきた。
魔力が爆発する。
ブワァッと魔力が広がる。
「な、なんだその魔力は!?」
「なんだか分からねぇが、力が漲ってきたぜぇぇぇぇぇぇぇ」
「くそぉぉ!」
殴りかかってきた拳を掴む。
「な、なぜだ! 俺の方がステータスが高いはず!」
「おれと、蘇芳を舐めんじゃねぇぇ!」
全体重と魔力を乗せた拳を叩きつける。
「絶拳」
ズドォォォォォォォォォォンッッッ
黒幕が全身から血を吹き出し倒れる。
黒い魔物が身体中から出てくる。
「えぇぇ。気持ち悪い」
『ホントだぁぁ』
「これは気持ち悪いですねぇ」
不思議に思っていた仮面を取る。
…………だれ?
「えっ!? だれ?」
見たことない人の顔であった。
「コイツは……」
「あぁ。父さん、知ってるの?」
「コイツは、テイマーだからと昔から馬鹿にされてた見たいでな。虐められてたのを見かけた時に母さんが助けてあげたんだ」
「ん? もしかして、だから捕まえて傍に置いてた……的な?」
「そうかもな。自分が優位に立ちたかったんだろうな」
「俺もテイマーだけどな……こんなに違うとは……俺は恵まれてたんだな」
「翔真がテイマーなんて知らなかったぞ!」
「そりゃ、いなかったからね!? っつうか、、早く助けに行こう!」
奥の部屋に駆けて行き扉を開けようとすると鍵が閉まっていた。
「俺が壊すよ!」
ガチャ
あれ?
開いた?
「どうしたの? 騒がしいわねぇ」
「母さん!」
「ゆめ! 大丈夫か?」
「あら? 優真。……ん? 翔真!?」
母さんが驚いているが、それ以上に驚いているのはこちらである。
「えっ? なんで? なんともない?」
「あの子は丁重に扱ってくれていたわよ?」
「そうだったのか……やはり助けたから……」
「そうかもね。いつも私にお礼を言ってくれていたわ」
なにがしたかったんだ? アイツは……
「復讐……か?」
父さんが思い立ったように言うと。
「そうかもしれないわね。皆を見返したかったんじゃないかしら?」
「いやー、しかし、翔真に助けられるとはな! テイマーなのにどうしてそんなに強いんだ?」
「それは、この! 蘇芳をテイムしたからです!」
「この方は魔物なのか?」
コクコク頷く蘇芳。
「言葉が分かるのか?」
「俺は普通に会話できるけどね。あとは、許可した人となら心と言葉を共有できるんだよ。蘇芳は魔物の王なんだ」
「王だと?」
「そう。だから、魔物から俺への恩恵が凄いんだ。だから勝てたんだろうな……そういえば、最後の能力って……」
――――――――――
人魔一体
感覚共有
魔力共有
身体共有
魔物眼
限界突破
――――――――――
「あぁ。だからか……」
『僕もね、ステータス凄いことになってたけど、翔真もっと凄いんじゃない?』
「見ない!」
『なんで?』
「見ません! これ以上化け物扱いされたくない!」
「翔真さん、もしかしなくても、能力閉じても人外能力じゃないですか?」
耳を塞ぐ。
「聞きたくない! 俺は人間なの!」
「「ははははっ!」」
両親が腹を抱えて笑っている。
「翔真、良い仲間が出来て良かったな!」
「素敵な仲間ね?」
「うん。最強の仲間だよ? じゃあ、磐当領に帰ろう!」
「久しぶりに帰るか!」
「そうね!」
まだいた残党を始末しながら塔を下る。
うちの両親、ほんとに強かった。
さすがRランク。
こうして救出作戦は終わりを迎えたのであった。




