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最弱テイマーは魔物の王と無双する  作者: ゆる弥


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56.否和城湖

 湖に向けてまた体力作りを兼ねて走っていた。

 蘇芳には敵わないが、段々と一斗のペースには遅れることがなくなっていた。


「はぁ、はぁ。なんで。はぁ、はぁ。普通に並走。はぁ、はぁ。できるんですか?」


「体力が……付いた証拠……だろうな」


『翔真は最近見てないけどステータス伸びてると思うよ? ステータスってね、体鍛えたりとかすると伸びるんだよ』


 たしかに最近身体の作りがガッチリしてきたなぁとは思ってたんだよな。

 ステータスって伸びるんだな。

 初めて知った。

 努力して来たかいがあったな。


 話しながら走っていると遠くに湖が見えた。

 ここからだと対岸が見えないくらい大きくみえる。

 

 その湖の横に大きな町があるのが見える。


『よーし! あの町でご飯食べて少しギルドで情報収集しよう!』


「「了解」」


 ラストスパートで全力で走る。

 すると横にいた一斗も全力を出してきた。


「まだ負けません!」


「今日こそ勝つ!」


 うおぉぉぉと言いながら2人とも町の門に向かって駆ける。

 最後の最後で隣にいた一斗が体力が尽きたのか後ろに下がった。


 今だ!

 うおぉぉぉぉ!


ジャキィィン


 突然、目の前を交差した槍で止められた。


「止まれぇぇぇぇい!」


 咄嗟にブレーキをして止まる。

 後ろを振り返ると、ぷぷっと一斗が笑いを堪えていた。


 くっそぉぉぉ。

 あのヤロー、わかってて引いたんだなぁ。

 恥ずかしいことこの上ないぜぇ。


「すみませんでした。受付何処ですか?」


「あちらにお並び下さい」


 少しの列ができているところがあった。

 関所のようなものだろうか。

 ここは随分厳重なんだなぁ。


「不思議ですか?」


「えっ? えぇぇ。凄く厳重なんだなぁと思いまして」


「中に入ればわかるのですが、否和城というお城が湖の真ん中にあるのですよ。大事にされているものなので変な輩が入らないように関所の様に厳重に審査して入れているのです」


「そうなんですか。俺達めっちゃ怪しい感じになってませんか?」


「はっはっはっ! いきなり走ってくるから何奴かと思いましたが、ちゃんと止まってくれましたし、しっかりと会話もできる。問題ありませんよ。あちらで受付してください。ギルドカード見せれば大丈夫ですから」


「わかりました! ありがとうございます!」


 3人で受付の列に並ぶ。

 前の人を見ていると少しの会話をして身分証を確認。

 問題なければ通す。

 といった感じにしているようだ。


「こんにちは。観光ですか?」


「あっ。解放者なので観光と同時にギルドで周辺の情報収集しに来ました」


「ギルドカード見せて頂けますか?」


「はい。これです。プルーフ」


「はい。ありがとうございます。その年でCランクですか! 将来有望ですね!」


「いえいえ。そんなことないです」


 お世辞に照れてしまった。


「はい! 通っていいですよ。そちらは同じパーティーの方ですか?」


「そうです! こいつは俺のテイムしている魔物ですけど、一緒に入っていいですよね?」


「テイマーだったんですね! テイマーで解放者なんて珍しい! もちろん、テイムされていれば一緒に入って大丈夫です!」


「よかったぁ」


 胸をなでおろして先にすすむ。

 門をくぐると湖が目の前に広がる。


 湖の周りは森林で囲まれていて真ん中には西洋を思わせるお城が聳え立っていた。

 真ん中の一番高い塔が空に向かって高く伸びているのが見える。

 雄大な景色に圧倒される。


「いい景色ですねぇ!」


「そうだな。綺麗だ……」


『あのお城って中に入れるのかなぁ? 入ってみたいよね?』


「それも含めてギルドで情報取集してみよう」


 町を散策しながらギルドに向かうことにした。

 町は活気づいていてあちこちで屋台が出ていたり、呼び込みの声が聞こえる。


「お腹すきましたよねぇ?」


「だな。先に昼飯にしようか?」


『賛成!』


「何食べるかなぁ……」


 周りをキョロキョロしながら昼飯に食べる店を探す。

 

『ねぇ! あれ美味しそうじゃない!?』


 蘇芳の指差した方向には、否和城蕎麦の文字が書かれているのぼりがたっていた。


「蕎麦か。いいな! 一斗はどうだ?」


「いいですね! 天ぷら蕎麦……ジュルリ」


「おいぃ。ヨダレ垂らすなよ!?」


「わ、わかってますよ! 早く行きましょ!」


 のぼりのある店に向かって駆けていく。

 しょうがねぇなぁと思いながらも駆け足でついて行く蘇芳と俺。


「いらっしゃーい! 空いてる席にどうぞ!」


「はぁい」


 4人がけのテーブル席が空いてたのでそこに腰かける。


「座敷じゃなくていいのかい?」


 おばちゃんが優しく聞いてくれる。

 座敷の方がゆったり出来ると思って声をかけてくれたんだろう。


「ありがとうございます。見てもらったらわかると思うんですけど、コイツが魔物なんで……」


 蘇芳の足元を2人で見る。


「あらまぁ! そういう事ねぇ! あなた裸足で歩いてるのね!」


『あっ、靴とか入らなくて……』


「えっ? なんて言ってるの?」


「足がでかくて靴が入らないんですって言ってます!」


「あっはっはっ! たしかにおおきいものねぇ! 気にしなくてもタオル貸すのに! ホントにいいの?」


「あっ、大丈夫です! お気遣いありがとうございます!」


「今お水持ってくるね」


 お水を取りに行くおばちゃん。


「良い人だなぁ」


『ねぇ、翔真? 僕デカすぎて履けないとは言ってないよ?』


「まぁまぁ。似たようなもんだろ?」


『違うと思うけどなぁ……』


「はい! お水! 注文決まったかい?」


 メニューで1番に目に飛び込んできた物を頼む。


「はい!……えーっと、天ざるお願いします!」


『僕も!』


「あっ、ふた──────」


「あっ、自分もそれで!」


「3つください!」


「はい! 天ざる3つね! 少々お待ち!」


 水を置いて奥に消えていく。


 少し待つと運ばれてきた。

 自家栽培の野菜の天ぷらにえび天。

 食べてないのにそばの香りがする。


「「『いただいます!』」」


 ツルッと啜る。


 口の中に広がる蕎麦の香りと麺のコシがたまらない。

 うまっ!


 次はアスパラの天ぷらだ。

 外の衣はサクッと中のアスパラはジューシー。


 夢中で食べてしまい、あっという間になくなったのであった。


「「『ご馳走様でした!』」」


 お会計を済ませて店を出る。


「いやー。美味しかったなぁ」


「ですね! こんなに美味しいお蕎麦初めて食べましたよ!」


『そうだね! 僕も食べたことない!』


「いや、蘇芳はそもそも初めてだろ」


『あっ、そうだった』


「なんなんですかぁ? まったく……」


 くだらない話をしながらギルドを探す。


「あっ、あそこだな!」


 道の先に大きく太陽のようなマークが見える。

 扉は開け放たれていて中が人で溢れていた。


「昼間なのに何なんだろうな?」


「今日はこれで整理券終わりでーす! また来週をおまちくださーい!」


「くっそぉ! 惜しかったのによぉ」


「もうちょっとだったのに……」


「やったー! 初めて取れた!」


「よっしゃ! ぜってぇてっぺん取ってやるぞ!」


 えぇ?

 どういう状況なのこれ?

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